第十九話 都のピンチ
【都のピンチ】
とりあえずご飯を食い、約束の場所へと戻る。
ソティラを追う連中がどこで見ているのか分からないので、一応能力で消しておくことにした。
目的地に着くと、既に二人が待っていた。
「ちょっと話があるんだけどいいか?」
俺はそう言い二人を連れて、先程借りた宿に戻る。
不思議そうにしながらも二人はついて来てくれる。
宿に着き、俺は部屋の中でソティラを出した。
「うわ、どうしたんですか?」
アランがそう言い俺を見てくる。
レフィアは少し不審そうだ。
「こいつこの国の王女様らしくてな。助けてくれたら何でもするってよ。だからここで調達できると思ってな。」
そう言いソティラの背中を押し自己紹介するよう促す。
「あ、ソティラと言います。このたびはよろしくお願いします!」
と綺麗にお辞儀し顔を上げる。
「王女様って本当なんですか?嘘だったらどうします?」
「嘘だったらその時はその時だ。まずは二人に了承してもらおうと思ってな。」
身につけてる宝石や、金髪で青い目。信用できる要素は沢山あると思っている。
「まあいいんじゃないですか?」
とアランは了承してくれる。
レフィアは?と目でレフィアの方を向くと
「嘘だったら私が消しましょう。」
とかなり厳しいものの一応了承してくれる。
しかしそのセリフにソティラは怖がり俺の後ろに隠れる。
それを見たレフィアが、
「やっぱり今消しときますか?」
と言い赤い光を纏う。
「いや、嘘だったらその時は自由にしてくれ。とりあえず話を聞こう。」
俺はそう言いレフィアを宥める。
こいつこんな怖いやつだったっけ。
そう思いながらソティラに説明を求める。
「3日前です。あるグループがこの都の王族を襲ったのです。私と護衛達はそのとき別の国に訪れていて、ここにいなかったのです。」
グループが王族を襲う?しかも丁度護衛達がいない間にか。かなり周到な計画の上での襲撃だろう。
「そしてつい今朝のことです。何事もなく城に入った瞬間、突然見知らぬ人達から攻撃を受けたのです。護衛は三人いたのですが、一人は私を庇って捕まってしまい、残りの二人は私を逃がしてくれたのですが、そのあとどうなったかは分かりません。」
思っていたより深刻な問題に驚く。
下手をすればこの国の生死に関わる問題だろう。
「そのグループって、何か分かっているのか?」
俺は一番知りたいことを聞く。
「いえ、確認する暇もなく逃げ出したので・・・」
そう言い申し訳なさそうに俯く。
まあそのときこいつに出来たことなんて無かっただろう。
「じゃあ、そいつはを倒せば解決ってこと?」
アランがソティラに尋ねる。
「いえ、流石にそれは危険です。今日出会った人たちにそんなこと頼めません。」
ソティラはそう言い首を振る。
しかし、倒さなくても良いと言うのなら何をすれば良いのか。
「あの城の最上階には、一つの琴が置いてあります。それはこの都のエネルギー源みたいなもので、私の力を吸収しているのです。」
一瞬何を言っているのか分からなかった。
琴がこの国のエネルギー、そんなことよりもソティラの力を吸収ってどういうことだ?
「つまりどういうこと?」
アランが興味津々に聞く。
「その琴には、私の力を与えて国にエネルギーを送っているのです。その琴を私の元に持ってこれれば、力は返され、グループを追い払う事ができます。」
この国のエネルギーをこいつ一人の力で?
しかも力さえ戻ればグループを追い払える。
もしかしてこいつ、とても強いのだろうか。
「じゃあその琴を奪って君に渡せば良いんだね?」
理解したアランは早速立ち上がり準備を始める。
「もしかしてあなた・・・私を知ってる?」
すると、それまで無言だったレフィアが唐突にレフィアに尋ねる。
「はい、一度戦争のときに会いましたよね。あのときは敵同士でしたから良く覚えています。」
いきなりの発言に俺もアランも驚く。
「やっぱりね、姿が大分幼くなってるから気付かなかった。その琴には、自分のエネルギーすらも与えているのね。」
そんかことよりも戦争のとき敵同士ということに俺は驚きを隠せない。
「え?あの時のミサイル野郎?」
そう言いアランまでもが俺の知らない話で驚いている。
「はい、あのときは敵同士でしたが、そちらはただの援軍ですし、戦争の敵という捉え方は辞めましょう!」
とソティラは元気に答える。
アランとレフィアは若干引いていたが、
「まあ琴さえ戻れば追い返してくれるのは間違いないね。王女様ってのも確定だろうし、報酬に期待してやってやりましょう。」
「そうね。」
アランとレフィアも納得してくれて、次の段階に進む。
俺だけ置いていかれている気がするが、その戦争のことはまた詳しく教えてもらおう。
「では、作戦会議といこうか。」
俺はそう言い始めようとしたとき、部屋の扉が開けられた。
「ソティラ様!ご無事でよかった!」
そして一人の男性が入ってきた。
「バルト!無事だったのですね!」
ソティラがそう言いバルトの元へ駆け寄る。
バルトと呼ばれる男性は膝をつき、ソティラと目線の高さを合わせる。
「はい!ソティラ様こそ無事でよかった。この方たちは?」
そう言い俺たちの方を見てくる。
「私がお願いしたのです、助けて欲しいと。すると了承してくれて・・・」
それを聞きバルトはこちらに向き直り、
「王女様を保護して頂きありがとうございます。」
そう言って頭を下げた。
「いや、とくに何もしてないよ。これからだろう?大変なのは。」
俺はそう言いソティラの方へ向く。
「この方達は、私に琴を持ってきてくれると言って下さりました。ちゃんとお礼をするということで話はついています。」
「そうでしたか、それでは私からもお願いします。どうか手を貸して下さい。」
そう言いもう一度頭を下げる。
「しかし、ものすごく言いにくいのですが、グループの正体が分かりました。」
バルトがそう言い俺たちは話を聞く。
かなり危険な奴らなのかもしれない。それはバルトの表情から分かる。
「一体どの人達ですか?こんなことをするのは。」
そう言いソティラは少し怒りながら質問する。
「あいつらは多分、イザナギグループです。」
「「・・・は?」」
俺にはわからない、それがどんなやつらか。
だが、アランとレフィアの表情は、その危険度を表していた。
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