第八話 戦闘準備
【戦闘準備】
部隊の皆の力を把握した俺は、一人一人の強さを確認していた。
鬼であるガイとカーズは能力らしきものは使っていなかった。
だが鬼特有の力である、筋力を増強させる力をうまく使い戦う。そこに圧の力も加わればかなりの戦力だ。
ノーズは熱で、コトはシールドか。
熱の温度をどこまで上げられるのかは分からないが、少なくとも土を溶かすほどの熱は出せる。
それだけでもかなりの汎用性はあるだろう。
コトは一応戦えると言ってもやはりサポートに回すべきだ。
そして俺が事前にコトのシールドを消していれば、俺にもその力が使えるということ。
ノーズの熱においても同じだ。
俺の力はこういう使い方もできる。
竜化ができるギランは単純に戦闘能力が高い。
俺が何か言うまでもなく、最善の戦いができるだろう。
しかし竜化できる時間には制限があるらしい。
使うタイミングはやはり考えておきたいな。
セインの透明化はあまり戦闘向きではない。
透明中に圧を使えばそこは光ってしまうし、だからといって生身で突っ込んでいくのは巻き添えのことを考えると得策じゃない。
こいつの使い方は上手く考えないとな。
そしてランとロンだが、これは正直分からない。
思考や見ている景色を共有できるといっても、実際にそんな経験は俺にはないからな。
メリットとデメリットはあいつらが一番分かっているだろう。
アランとレフィアに関しては俺なんかより全然詳しいだろう。俺が言えることなんて何もない。
とりあえずこんなところか。
頼もしい仲間を持ったと思う。
しかし問題は俺だ。
消す方に関しては大分使えてきた。
問題は出す方だ。
戦闘中にゆっくり出す暇なんてないし、だからといって無闇に飛ばすのは意味がないだろう。
出したものを左手で持つ。
これくらいはできるようにしておきたいな。
「おーい功善!ギンだ!ちょっと来てくれ!」
大きな声で部屋の外から呼ばれる。
「どうしたんだ?」
ドアを開け答えると、
「魔王様がお呼びだ!これは楽しくなるぞ!」
嬉しそうなギンがそんなことを言ってくる。
なぜ魔王様からの招集が楽しいんだ。
「分かった。いくよ。」
そう言い楽しそうなギンの後ろについて行く。
着いたのは俺が最初にギン達と出会った部屋だ。
「さあ入ろうぜ!お前もきっと楽しいぞ!」
そういい喜々として部屋に入るギンに続いて俺も部屋に入る。
「さあ、全員揃ったね。」
机の中央に座っていた魔王様が話を始める。
「今回の招集は、奴等との戦いに関してだ。」
「ほらきた!言ったろ?楽しくなるって!」
「奴等?」
単純に気になったことをギンに聞く。
「国際連合協会のことだよ!」
「なるほどな。確かにそれは楽しみだ。」
つまり俺が望んでいたことということだ。
正義を潰す。こんなにも早くチャンスが来るとは。
「我々の武器を精製している島の未来を見たんだ。すると明日の午後に、奴等によって攻撃を受けることがわかった。」
ほんとに便利な能力だ。
しかし、わざわざ島の未来を見ないといけないのか。
そこは少し面倒だと思う。
「その島の防衛の為に、君達に出向いて欲しい。勿論全員とは言わない。島に一切ダメージがないのなら、どれだけ少数でも構わない。」
「えー、私面倒だからやだなぁ。これ以上レベル上げたくないし。」
「あん?俺達なんてレベルを上げてなんぼだろうがよ!なぁ功善?」
レベルってなんだ。この世界にそんなものがあるなんて誰にも聞いてないが。
「レベルって一体なんだ?」
「なんだ教えて貰ってねぇのか?連盟の奴等が提示する危険度のことだよ!例えば俺なら8500だ!」
「私は5000ー。」
「私は6200だ。」
イズハとウィルインがそれぞれ答えてくれる。
それが高いのかは分からないが、魔王軍の最高幹部クラスの数値だ。きっと高いのだろう。
「なあ俺に行かせてくれ!いいだろウィルイン?」
そう言い前のめりになりながらウィルインに頼んでいる。
「別に私は構わないが、功善君は?」
俺か。
「俺も行きたいな。軽く実戦の練習をしたいんだ。」
「おおいいぜ!一緒に行こう!」
「うん。最高幹部が二人残ってくれるのなら私はそれで構わない。ではギンと功善頼んだよ?」
「はい。」
「おう!」
「では、ギンと功善は明日の準備と打ち合わせをしておいてくれるかな?私は残りの二人と話がある。」
「分かった、行こう功善!」
「あぁ。」
そういいギンについて行く。
部屋を出てすぐギンから明日の話をされる。
「明日なんだけどよ、メンバーはどうする?」
俺の部隊からは一人でいいんだが。
「こっちは一人で構わない。ギンの方こそ好きにしてくれ。」
「お前はそれができると思ってるのか?まあいいさ、一度そっちの幹部と話してみるといい。」
なんだ?できない理由でもあるのだろうか。
「こっちは俺と幹部一人、そして頭二人を連れて行く。魔王様がメンバーは好きにしろって言ってたんだ。そこまで強力な戦力が来ることはないんだろう。」
「分かった。それで、その島にはどうやって行くんだ?」
圧を使った移動なんて言われてもできないが。
もちろん俺の能力では移動なんてできない。
「それは心配するな!ウィルインの能力を借りる。」
ウィルインの能力?テレポートでもするのだろうか。
まあ明日分かることだ、今はいいだろう。
「じゃあこれくらいでいいか?」
「そうだな!魔王様は午後にあいつらが来ると言っていた。だから正午になる前には向こうに着いておきてぇ。十一時に魔王城の入り口に集合だ。」
「分かった、じゃあまた明日。」
「おう!しっかりやれよ新入り!」
ギンに見送られ部屋を出た俺はレフィア達の元へ向かう。
すると丁度こっちに歩いてきたレフィアとアランに出会う。
「いいところに来た。話したいことがある。」
「なんでしょう?」
「明日俺はギンの部隊と共に国際連合協会の奴等と戦いに行ってくる。まあ小競り合いみたいなものらしいし、フォースからは俺一人で行こうと思う。」
「「!?」」
とても驚いた顔をされる。確かにいきなりだとは思うが、こいつらにとってはよくある事なんじゃないか?
「何を言ってるんですか?」
「一人で行かせる訳ないでしょう。僕も行きます。」
まあこの組織に入ってそんなに時間は経ってないしな。信頼されてないのは当然か。
「私達の仕事は、下の者への指示。そして最高幹部の付き人です。」
「だから今後功善様が一人で戦闘に行くことはありませんから。常に僕達どちらかがお供しますので。」
ギンが言っていたのはこういうことか。
忠誠心からか、それとも立場として仕方なくなのか。
どちらにしても、守ってくれると言ってくれるのは悪い気はしないな。
いや、初めて出会えたそんな仲間に感動する。
「そうか、じゃあアラン頼むよ。」
「はい。それと、頭を二人ほど連れて行こうと思います。」
「分かった、ありがとう。明日十一時に魔王城の入り口に来てくれ。そこに皆いる。」
「分かりました。」
「じゃあまた明日。頼むよ。」
「「はい、お疲れ様です。」」
仲間か、やっぱりいいよな。
だが、俺は日本での事件のことを思い出す。
結局仲間なんて、上辺だけの付き合いだろうさ。
俺は気持ちを切り替え、明日に向けて対策を考える。とりあえずあの二人のところに行こう。
明日が待ち遠しいな。
待ってやろクズ共。
思い知らせてやる。
恐怖を。
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