第七話 実戦

【実戦】


アランから勝負開始の合図が出され、俺は相手の攻撃に備える。

正直俺ができることは消すことだけ。

身体能力は普通の人間と変わらないので、俺から攻めるなんて無茶はしない。

しかし、レフィアも動く気配がない。

あいつは俺の能力のことを知っている、だから警戒しているのか。

お互いが構えたまま時間が経つ。

するとレフィアの足の周りに円状の光が現れる。

円はまるで魔法陣のようだった。

そして青色の光を纏ったレフィアがジャンプする。

それはもはやジャンプというレベルではなかった。

あれが人型だと認識できなくなるまでジャンプしたレフィアが、次は赤色の光を纏い急降下してきた。俺めがけて。

咄嗟に俺は右手を伸ばし心の中でこう言う。

消えろ。

黒い竜巻が、急降下してくるレフィアめがけて舞い上がる。

しかし、竜巻がギリギリ届かない高さで、レフィアは黒い光を纏い消えた。

俺は竜巻を戻して辺りを見渡す。

どこにもにいない。

その瞬間、近くで見物していたノーズの近くから人影が飛び出してくる。

そして、瞬時に赤い光を纏ったレフィアが俺の背中を蹴り飛ばす。

「ぐぁぁ!」

俺は前に飛ばされ転がる。

なんとか受け身をとり、背中以外へのダメージは最小限に減らす。

俺は瞬時に頭を回した。

どこから出てきた?どうやって隠れた?あの纏っている光は何だ?

すると緑色の光を纏ったレフィアが、俺を蹴った時についたであろう汚れが消える。

そして、また青色の光を纏い空へ飛び上がる。

背中へのダメージは相当でかい。

あと2発でも食らえば間違いなく負ける。

あの光については多分分かった。

光の色によって効果が変わるんだ。

明らかなのは、青はジャンプ力。赤は攻撃力といった所だろうか。

ジャンプの限界まで飛んだレフィアが、また赤い光を纏って急降下してくる。

ギリギリまで引き付けて消してやる。

しけし俺が引き付けていると分かったのか、レフィアは白い光を纏い、そして、

「くっ!」

光が周りに放出され何も見えなくなる。

しかし視界に黒い光が一瞬見えたので、俺は黒い光めがけて竜巻を出す。

しかし何にも当たらない。

目が慣れてきて、周りを見渡す。

やはりレフィアはいない。

俺は咄嗟にノーズの方を見るが、変わった様子はない。

どこだ?

この場所にいるのは危険だと思い、前に走ろうとした瞬間

「ぐあぁぁぁ!」

次は隣にあった木の側から、赤い光を纏ったレフィアから脇腹にパンチを喰らう。

横に吹っ飛び、なんとか受け身を取って堪える。

「そろそろですね。」

レフィアはそういい、また青い光を纏い空へ飛び上がる。

俺は光について考える。

青はジャンプ、赤は力、緑は多分回復だろう。そして白が光。

黒になった時あいつは消えた。

そして、木の側、人の側から出てきた。

白は光、黒は・・・影か。

なるほど、それならどっちの攻撃にも納得がいく。

黒い光の時は影に隠れられるのだ。

俺は近くにいたアランの側へ、まるでフラついたかのようにみせかけ移動し左手を構える。

空では赤い光を纏ったレフィアが急降下してきていた。

そして空中で白い光に変わった瞬間、俺は目を瞑る。

俺は次は白い光をめがけて竜巻を出す。

レフィアはこう思うはずだ。

まだ自分の能力には気づいていないと。

そして俺の後ろにいるアランの影に隠れるだろう。

俺は目を開け前へ走る。

そして、すぐに後ろに振り向き、目を瞑って左手を伸ばす。

俺が出すイメージをするのは・・・光。

やはりそこに隠れていた。

丁度アランの影から飛び出してきたレフィアの目の前から光が放出される。

「なっ!?」

レフィアは体勢を崩し地面へ倒れる。

そして、その間に近くにあった岩を吸い込んでいた俺は、レフィアの真上にめがけて岩を飛ばす。

急に視界がなくなり、あいつの能力で逃げるとしたら・・・空だ。

青い光を纏ったレフィアが逃げるようにジャンプし、そして・・・

ガン!!

「いっっっ!」

斜め下から飛んできた大きな岩とレフィアが直撃し、レフィアは向こうに飛んでいく。

それと同時に俺は右手を伸ばし、

「消えろ」

竜巻をレフィアの方へと伸ばす。

しかし、目で追えないスピードで後ろから何かがレフィアとともに消えた。

何が起こった?そう思っていると。

「ここまでですね。」

後ろからアランの声が聞こえた。

隣には緑色の光を纏い、傷を回復中のレフィアが立っている。

終わりか。



「いって!」

背中が痛い。脇腹も痛い。

そこにレフィアが来て俺に触れる。

そして緑色の光が俺を包み、痛みが消えた。

「おつかれ様です。手合わせありがとうございました。」

もう終わったのか。

また考え事をしている間に、本当になんなのだろうか。

気絶でもしているのか?

しかしそれなら手合わせなんて出来ない。

「功善様?まだどこか痛みますでしょうか?」

心配そうにレフィアが聞いてくる。

「いや問題ない。こちらこそありがとう。」

そう言い俺はこの場をあとにする。

俺は無意識に何かをしているのか?

分からない。

だが俺の仲間達にこれ以上心配はかけられない。

出来るだけ早くこの問題を解決しないとな。











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