最後通告[代議六]
『オーバードーズの先にて揚羽蝶が踊る秋の記憶因り、薬に塞がれる感情を嘔吐する丑三つ時の声を聞く』
時計は見ておらず、自分についに宿った怪異のようなものに導かれるままにそこに居たことを覚えています。時計を無意味にする為にはこの怪異のようなものが絶対不可欠で、まさにその、求めていた怪異のようなものを手に入れたという、其の念願叶ったかの如き高揚感が『遠く 、高く!』を目指し、霹夢を覚束無い足で求めていく行為であったと記憶しています。恐らく其れは私がその行為に踏み出す為にちょっとだけ手を貸した[code-3の鯉鼠]であれば一瞬にして血の泡を吹いて倒れることが当然のことであったでしょう。しかし生憎私を妨害する本国宇宙連邦より遣わされた、何らかの妨害により、血では無い泡を吹くに留まりました。その味は……身近な調味料の味と、胃液の混合物です。酒だと思ってはいけませんし、笑いどころになります。更に言えば、湯沸かしも其れ単体ではやりません。希釈して何らかに風味を添えるためのものであり、私はそれを最も誤った方法で大量に飲み込みました。胃液は必死になって、それを拒否しようと、私の喉の奥を灼き尽くそうとするが如く勢いで嘔気を喚起してそれを押し返し、対する私は手にした5枚のプラスティックのシートを潰しては、誤って調味料ではなくなった加工物の液体で調味しながら、さっきまで溶けるようにチョコレートを食べていた口で、第一世代の化合物を夢中になって飲み込んでいました。あんなことになるとはあまり思っておらず、そう、あれは正しく魔が差した故の行動で、魔が差した私がした行動は、今までのエマージェント・プロトコルの中に記載された行為の中でも最もあの世へのハードルを視程に据えた行動でした。力強くあの世への扉をノックしようとした行動でした。一朝一夕にこの[cigarette/間違い]-Fは起きません。熟練された、二朝二夕はかかる[cigarette/間違い]-Fを手に入れなければまず行われることのない儀式です。それは、今の私の薬ではありません。ベテルギウスが爆発するように美しければまだ体裁は保てたでしょうが、それよりもあっけらかんと手元から消え、壊れた小脳とオーバードーズの先にある揚羽蝶の誘いと戦う必要が出てきてから、ようやく後悔しました。墨を飲むことになったくらいから私の意識はありました。べたべたした甘さの墨でした。そう、私は言わずもがな書道を習っていた過去から、ああ、これは懐かしい「墨汁」の匂いに似ているなぁ、と感傷にふけるような、生暖かい地獄でした。だから地獄を聞いてください。
「[cigarette/間違い]-F、やっと来てくれたんだね!ああ、長かった!!それも今日でおさらばだ!!今日も今日とて狂ってやがらァ、私の故郷、ドブシティイ!!美しい哺乳類も!!呼吸をする哺乳類も!![code-3の鯉鼠]の死を以て宣言する、[code-3の鯉鼠]は決して許さない!![code-27の恢い海]を崇めよ!!命拾いに感謝しな!!」
「よくないよくない!!やめてやめて!!」
「なんだい、[E-G]。いい口聞くな」
「所詮は["C"hitarra/rac-K]、綺麗じゃない。綺麗なままで死ななくちゃ。[code-3の鯉鼠]、[Er3-S]になる時だ」
「だが[Er3-S]になるのに必要になるのも[E-G]だ、皮肉なことだな」
「[Li1iTH]はお前だクソ[code-3の鯉鼠]」
「和を以て貴しと為す、お前の故郷でも言うでしょう?」
「[code-3の鯉鼠]には失望だ!!頭がよくない意外にも!!こんなの駄目だ!!["L"ose=Wea3]になっちまっているんだ!!それでも[code-27の恢い海]が助けてくれるって?[code-27の恢い海]に甘えちゃ駄目だのに?」
生きた痕跡に遺恨はないか?御前の死は災害として延期された。水が欲しいか?オーバードーズの先にて揚羽蝶が踊る秋の記憶因り、薬に塞がれる感情を嘔吐する丑三つ時の声を聞く。涙の枷は遠く恢き海へ。
「[code-27の恢い海]、この答えは分かった?[code-3の鯉鼠]には絶対に分かんないの」
そんな私の目の前に突如落ちてきたのが[cigarette/間違い]-Fでした。[cigarette/間違い]-Fの先に見えたんです、その時の答えが。
DIE DREIGROSCHENСТИХОТВОРЕНИЕ:) 蜜売家一門 @mayakuMenschenhandel
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