僕のゲーム物語
総督琉
僕のゲーム物語
僕はシングルプレイヤー。つまり独りのプレイヤーだ。それに今の僕はレッドプレイヤー。つまりプレイヤーを殺したものだ。
僕は女の子。そして13歳。だけど僕の一人称は僕だ。何でだっけな。
そして僕は毎日ゲームにハマっている。だけどどうにも上手くいかない。学校ではクラスの中心にいるこの僕のが、ここではただの厄介者だ。
やはり現実とゲームの世界は違う。それにしても違いすぎる。
僕はダンジョンの入り口で体育座りをしていた。きっといつか良いプレイヤーが拾ってくれると思ったからだ、だけど…
「おいおい。またあいつだぞ」
「本当だ。全く何やってんのかね」
「どうせ弱小プレイヤーだろ。金なさそうだし。装備も低級のものばっか」
「帰ろうぜ。こんな奴に構ってないで」
そしてプレイヤーたちは帰っていった。
僕はもう慣れていたのでそんなことに腹を立てたりはしなかった。
「さあてと。ダンジョンにでも行くか」
僕はとあるダンジョンに向かった。
ここのダンジョンは世界一危険なダンジョン。その名は、転生の市街地。
そのダンジョンには様々な噂が飛び交っていて、その噂に異世界転移というものがある。このダンジョンに侵入した者は、このゲームの世界に飛ばされる。
僕はその噂がずっと気になっていた。だが入ろうにも運営がその門を護っていて侵入できない。
だが、今日に限ってその門には運営の門番がいなかった。だから僕はダンジョンの中に足を運んだ。
中に入るなり、僕は光に包まれた。
すると違和感が二つあった。一つは、つけていたヘッドフォンが無いこと。もう一つは見ている世界がパソコンの画面ではなく、パソコンの中だ。つまりダンジョンの中に移動しているのだ。
「やはり…そうだったのか!」
僕はひとまずこのダンジョンの外に出ることにした。だがここはいつ死ぬか分からない世界。むやみに動くことはできない。
「
雷が空から降ってきて僕を襲う。
「雷魔法!?」
雷魔法は電気魔法の上位互換で、電気魔法とは威力は桁違い。だから雷が落ちた瞬間、その爆発が周囲を破壊する。
僕は瞬時にバリア魔法を纏って、爆発の衝撃を防いだ。
「あ…あぶねー」
「囲め。逃げ場を無くすな」
どうやら僕を狙っているのは一人じゃないらしい。10。いや、30はいる。
「そこまでだ。レッドプレイヤーのフェアリー。今からお前をギルドに受け渡す」
すると火の矢が八方向から襲ってくる。
「火の魔法か。だが僕には無意味だ」
「水神の加護」
水神の加護は火属性の魔法全てを防ぐ。だから火属性の魔法は当たっても無傷で…
「ぶはっ」
僕の腹を火の矢が貫通する。
「どういう…ことだ!?」
僕が困惑していると、僕を倒そうとしてる内の一人のメンバーが僕に言ってきた。
「嘘魔法。これは俺が創った魔法でな、魔法の見た目を変えられる」
そして僕は無数の矢を浴び、そして死んだ。
そして僕は目覚めた。
「ここは…どこだ!?」
僕は手錠をされ、
「ここは城の中にある檻。そして今日は君の死刑執行日」
「は!?」
「ああそうか。君はもう三日間も寝てたんだよ。だからすでに上の者が君の処分を決めちゃってさ」
「そうか」
僕は全身に破壊魔法を纏った。そしてこの檻の壁を突き破り外に出た。だが…
「強制転移」
僕は強制的に王らしき者がいる部屋に移動させられた。それに檻の前にいた男も。
「よくやったね。マスターくん」
そうか。嘘魔法を使って僕を捕らえたのも、ここまで強制転移させたのも、全部このマスターという奴の仕業なのか。
「殺傷魔法。
だがマスターという者は僕の攻撃を剣で受け止め、剣の持ち手の部分で腹を殴ってきた。
「ぶはっ」
僕はあまりの痛さに叫びそうになった。多分、衝撃魔法が加えられている。
そして僕は体を麻痺させられ、王の声に耳を傾けた。
「お主に命を懸けてダンジョン攻略してもらいたい。なぜならお主は強い。だが犯罪者だ。だからダンジョンを攻略すれば、どれだけ人を殺してもレッドプレイヤーにはしないであげよう」
そして僕はそのダンジョンに転移させられた。
「ここが…そのダンジョンか」
ここは転生の市街地だ。ここはビルや家などの建造物が立ち並び、人もたくさん住んでいる。
「ここで僕に何をしろと?」
僕がマスターに聞くと、マスターは答えてくれた。
「今から現れる神の獣を倒してほしい。だが神の獣は強い。油断すればすぐに死ぬだろうな」
僕はその神の獣が来るのをずっと待ち構えていた。
そしてその時は静かにやってきた。後ろにいる千を越える兵が一斉に吹き飛んだ。生き残っているのは百名ほど。
空を見るとその化け物はいた。その神の獣はまるで鳳凰だ。全身に風と炎を纏い、巨大な鳥の姿をしている。
「これが神の獣かよ。楽勝だな」
僕は毒の魔法を神の獣に浴びせた。だが神の獣は毒を纏った。
「ど…どうなってんだ!?」
すると神の獣が僕に毒を吹いてきた。毒は風で威力を増し、とてつもないスピードで僕を襲う。
「シールド」
マスターが僕の目の前にシールドを張ってくれた。だがシールドは一瞬で壊れた。すると僕はマスターのところまで強制転移された。
「大丈夫か?」
かっこいいと思ってしまった。これがつり橋効果という奴だろう。
「フェアリー。あいつは受けた属性を纏う。だからあいつには無属性の魔法しか効かない」
「そんな魔法。一つも…」
僕は困惑していた。だが次の瞬間…
「
他の兵士が岩を操作魔法で浮かし、神の獣に投げ飛ばす。すると神の獣は泣き叫ぶ。
「来るぞ」
神の獣が地に降りると、神の獣は地面を炎の渦に呑み込んだ。僕とマスターは浮遊魔法で難を逃れた。だが生きているのは僕とマスターだけ。
「くそっ」
「まだだ。
雷が神の獣の心臓部を破壊する。そして神の獣は炎や風、毒を散らばらせ、消えていった。
「勝った!?」
だがそれは始まりの過ぎなかった。空から第二の獣が降りてきた。今度は全ての属性を纏った獅子が。
「フェアリー。もう君には元の世界に戻れ」
「何で知ってるの?」
だがマスターの答えを聞く前に、僕は自分の部屋に移動していた。
「ここは!? マスターは?」
僕はパソコンの画面に映っているマスターと第二の魔獣の戦いを見た。マスターは獅子の獣にぼこぼこにされ、負けそうだ。
「そうはさせない。絶対にさせない。マスター。私は…」
僕はパソコンの画面に手を入れた。だがその世界にはいけない。そして獅子の獣がマスターの心臓をしっぽで貫いた。
「ま…マスター!?」
すると僕がワープされた。きっと一時的に僕の部屋に戻してくれていたのだろう。
「マスター。仇は打ちます」
そして僕は獅子の獣に襲いかかった。
「
獅子の獣の体を、僕の弾丸が貫いた。だけど僕は獅子に殴られ吹き飛ばされた。
つ…強い! でも…
「
僕の体は神の肉体についていけず、体がボロボロになりそうだった。だけど僕は自分を信じ、その拳で獅子を殴る。
「
そして獅子は粉々に砕けた。それと同時に僕の体も粉々に砕けた。
するとマスターがボロボロの体を引きずって僕のもとまで来てくれた。
「フェアリー。こんな目に遭わせて…すまない。…俺は…最後の力で…お前をもとの世界に戻す。だから…」
「だから許せって言うんですか? そんなんじゃ僕は許しません…。だってあなたは僕の人生を大きく変えてくれた…。それなのに…自分だけ死んで楽になるんですか?」
「でも…」
「だから…たとえ死の果てであろうと、僕はあなたについていきます。…だから…手…繋いでくれませんか? 手が少しずつ冷たくなってるんです。だから…温めてください」
マスターは僕の手を握ってくれた。
マスターの手はすごく温かくて、心がポカポカして、ここは一番いたかった場所なんだって感じ。だから…このまま手を握っていたいな。
「マスター。大好きです…」
「ああ。俺も…だ…」
僕のゲーム物語 総督琉 @soutokuryu
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