第43話 三人目に期待
勝手に決めてしまった鬼の少女-ルミエをアルバイン大陸に連れて行くことを話したら
「まあ、いいわよ。帽子かぶっていれば人族で通じるだろうしね」
魔眼であることなどお構いなしに二つ返事でOKしてくれた。これにはルミエも俯いたままだったけども嬉しそうにはにかんでいた。彼女も少しずつだけど魔眼の力の制御を学んできているようなので、そのうち顔を上げて生活できるようになるだろうと、思っていると。
「ああ、魔眼だっけ。それ私には通じないわよ。これでも勇者だからね、”魔”に属する力だったら耐性があるから」
びっくりしたようにルミエが顔を上げると、エレンは堂々とその瞳を覗き込んだ。
「ね!」
と、何事も起こらなかった。
「お前、なんでもありなんだな」
「お前言うな!」
「へええ、でもよかったです。僕の呪いが通じない人が二人もいるなんて」
ルミエと目を合わせられるのが俺だけという特権が一瞬で崩れたのだが、勇者様のチートにはうんざりである。
もはや、ため息しか出てこない。
だって、俺以外ルミエちゃんを正面から見つめられないわけで、それはつまり俺だけがこの美少女を独占できるはずだったのだ。
それが、いまや仲良く入浴タイムである。
ルミエを引き取ることを決めると、早々に村を追い出されてしまった俺たちだが、例のごとくエレン作成のチートハウスにて野営中である。
そこで、大きめに作られたお風呂で二人が汗を流そうと、エレンがルミエを日木津っていったわけである。
「ちょっと、やめてください!」
「なんでよ。いいじゃない」
などという、嬌声が筒抜けである。
これはもうある種の拷問だ。
ぶっちゃけ、覗きたいのだ。
だが、俺は同じ轍は二度踏むつもりはない。
…少なくとももう少し魔力が上がるまでは。
鬼の村にいる間に、二度のレベルアップを経て、魔力も40まで上昇した。このペースならいずれ人並みに成る日も近いはず。それより、どちらかというと体内の魔力残量を把握できなければならない。
魔力枯渇で気絶はもう勘弁してほしい。
というわけで、俺はいつものように指先から炎を出したりして魔法の練習をしていたのだ。
「だから、僕は一人で入りますから」
「何を遠慮しているのよ。さっさと脱ぎなさい」
炎が揺らめく。
集中できません。
血液は体の一部に集中しているわけだが…。
「もう、私も脱いだんだから早く…」
「きゃあ、何で脱ぐんですか。だ、だめですよー」
「何がだめなのよ」
「だ、だって、僕、オトコノコだし…」
「へ?」
はぁ????????
おいおいおい、いまなんて言った?
オトコノコ
…それはあれか?音子の子?音子さんの子供ってことじゃないよな。
いやいやいや、あんな美少女が?
確かに胸はぺったんこだったけど…
おいおいおいおいおい。
一人目はゴリラ女で、二人目が男の娘!?
ふざけんな!!
まともなヒロイン、プリーーーーーーーーーーーーズ!!!!!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます