第53話
秋山さんがスタートした いつもより相当キレてる ぐんぐん加速して先頭に立った 後半上岡商業の人が追い上げてきてほぼ同時に2走に渡る
「はいっ!!」
龍二に渡った 完璧だ 上岡商業も完璧に渡している 差が広がらない、今大会100mランキング2位の力は伊達じゃない むしろ少し前に出られているように見える けど龍二も負けてない
後半、龍二の加速力で追い上げて俺のところに来た 普段より1.5足長広げたバトンだ 攻めるぞ、俺たちは 龍二を信じて思いっきりスタートを切った
「はいっ!!」
普段より少し遠くから声が聞こえる 俺はオーバーハンドパスと言われても差し支えないような位置まで腕を伸ばした
俺の手にバトンが触れた 追いついてくれた 龍二はきっちり仕事をしてのけた 最高だよ、龍二
「行けー!!匠ー!!!」
後ろから大声が聞こえた 瞬間、音が途切れたような、俺以外の世界が消えたような感覚、全てがスローモーションになったような でも俺の走る道だけははっきり見える 光って見える
俺はその光る道を駆け抜けた 誰よりも速く 両側に走っている選手のことなど一切考えずに
「はいっ!!」
高橋さんにバトンが渡った 瞬間、世界が元に戻った 高橋さんが出てすぐ、上岡商業の4走が飛び出して行った 何が起こったんだ?
後ろを見ると、品田さんが信じられないものを見た目でこちらを見ていた
「速報です 只今の1着 第4レーン 龍山高等学校 記録は39秒50 これは見事な大会新記録での優勝です おめでとうございます」
アナウンスが流れる うちの他の3人は喜びの表情全開でガッツポーズをしているのが見えた しかし俺は先程の感覚の余韻を引きずっていた
「お前……何があったんだ?1晩で」
品田さんが話しかけてきた 先程の表情のままだ
「……分からないです 自分の身に何が起きたのか」
「……そうか、まあいい、また100で会おう」
そう言って去っていった そうだ、100がある 気を抜かずにいないと
そう思いながらも、まだよく分からない感覚に冒されたまま、匠は陣地に戻って行った
「匠!なんださっきの走りは!品田を外側を走って置いていくやつなんて初めて見たぞ!」
龍二が興奮して言った
「……俺もわからん、何が起きたんだろうか」
「実際やばかったぞ匠、俺咄嗟に出るタイミングはやめたから」
高橋さんが言った そういえばいつもより出るタイミングが早かった気がする
「まあいいでしょ、勝てたし 100もこれからあるから期待してるぜ?」
「……分かりました」
その後の100m予選、謎の感覚に冒されたまま走った結果、10秒95というタイムしか出せず、まさかの3着で、タイムでギリギリ拾われての準決勝進出となってしまった
あとがき
ども、主です
仕事してるとほんと不定期更新になってしまいますね、申し訳ありません
ちまちま書いては投稿ってのを今後も繰り返すことになりますが、暖かい目で見守っていただけると嬉しいです
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