第52話
ウォーミングアップを済ませ、4継の決勝の時間になった ここで6位以内に入れればインターハイの出場が決まる
「やることはやった あとは結果を出すだけだ」
「優勝でインターハイに行きましょう」
「へへ、やれますよ俺たちなら」
「……絶対、勝ちましょう」
「よし、みんな覚悟はいいな 滅多にやらんが円陣でも組むか!」
高橋さんの一言で円陣を組む こういうことをするのは全中の決勝以来だ
「よし、いいな? 龍高ーファイっ!!!」
「「「おーし!!!」」」
3走の待機場所に着いた 内レーンから佐倉島、空島工業、上岡商業、ウチ、國友学院、関道山、新島二高、倉橋 準決のタイムでは40.01〜41.05の間でひしめいている
女子4継のメンツが先に控えていた ウチの女子チームも当然残っている ユニフォームにハチマキを巻いた姿の村町先輩を見つけた
「頑張ってください、村町先輩」
「ありがとー匠くん 勝ってくるから続いてよ?」
相当自信に満ち溢れている 実際ウチの女子が準決で出した44秒98という記録に迫る高校は他におらず、なんならその記録はアンカーの下岡さんが400の後ということで相当流して走って出している 普通に繋げばまず負けは無い
「任せてください 大会記録も出してくれたら続きますよ」
「男子の大会記録まであと0.25秒でしょ?行けるでしょ!」
「まあ、狙いますよ 女子はあと0.5秒縮めないとでしたっけ」
「それは日本記録!大会記録はあと0.23だね」
村町先輩は笑いながら突っ込んでくる この人がこういうノリの時は間違いなく調子がいいんだ
「いやいや、日本記録まで期待しますからね俺は」
「言ったなー!じゃあ出してくるから見とけ!」
そう言って、村町先輩はグラウンドに走り出して行った その5分後、グラウンド内は日本記録タイのタイム誕生に大きく湧くことになる
「やあ中嶋くん、高橋から色々聞いたけど、ホントにごめんねさっきは」
「いえ、さすがに俺も品田先輩に対して態度が悪かったです」
「いいってことよ、スプリンターは血の気が多い方がいい いい勝負にしような」
「ええ、4継でも100でも200でも負けません」
「言ってろ 絶対負けないからな」
そう言ってグータッチを求めてきた 俺はそれに応じる
「勝っても負けても、恨みっこなしだぜ」
「当然です いい勝負にしましょう」
そしてお互い、レース直前のウォーミングアップをするためにスパイクに履き替えた
グラウンドに立つ いつもより1.5足長長い27.5足長の所にチェックマークを置き、流しをする 普段より調子がいいという井澤の意を汲み、普段より攻めたバトンをすることにした
「普段より遠いからってビビるなよ、絶対追いついてやるからな」
「頼んだぞ龍二、キレッキレのスタート切ってやるからな」
「へっ、これで追いつけないようじゃ俺はお前に近づけねえ 意地でも追いついてやんよ」
そういった会話をしたのを思い出す 俺はあいつを信じて思いきりスタートするだけだ
チーム紹介が始まる 内側からレーンと高校名、メンバーが紹介される
『第4レーン 龍山高等学校 東京 そのオーダーは、秋山優吾くん、井澤龍二くん、中嶋匠くん、高橋和樹くん』
自チームが呼ばれた 名前のところで手を挙げ、礼をする
(最高のバトンをして、勝つ!)
「On your marks」
秋山さんがスタブロに着く 会場も静まり返る ここから1分足らずで決着するんだ
「set」
……パァン!
あとがき
よーし今回はなるべく早く書けた……
次回、4継決着、そして100mの予選になります
あと、これまでの話の誤字等を総チェックして修正しました 見落とし等あれば教えてください
用語解説
足長(そくちょう)……主に4継の2.3.4走者、走り高跳びの選手がスタートするための目安にするチェックマークの位置を決めるため、自分の足のサイズを利用して場所を決める 匠の27.5足長とは、スタートするラインから匠の足のサイズ27.5個分の位置にチェックマークを置いたということ
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