第45話

いよいよ明日、南関東大会の会場に向けて出発する 明後日からが試合だ 今回は神奈川県への4日間の遠征となるため、そのための荷物をスーツケースにまとめている


「えーっと、4日分の着替え、タオル、下着、靴下、ドリンク、ゼリー、あ、寝巻きもいるのか……よし、こんなもんか」


「ユニとスパイクもちゃんと入れた?」


「おう、リュックの方に入れてる……しかし、マネージャーも遠征に着いてきてもいいとは、気前がいいなうちの学校」


「ほんとね……まあ最悪自費で行ってたけどね私は」


「おいおいまじかよ……有難いけどさ」


「匠のサポートができるのは私だけですから!」


「はは、違いないや」


「さて、準備も終わったし……寝ますか」


「おう……お前のことだからイチャイチャするのかと思ってたけど」


「なーに言ってんの!明日出発で朝6時には家出るんだよ!早寝するに決まってるじゃん!」


「さいですか……」


なん……だと……イチャイチャして英気を養いたかったんだが俺は ちょっと凹む


……まあそんなこと言っときながらベッドの中で5回ほどキスはしたけどね




「全員バス乗ったかー?」


「井澤がまだでーす!」


「おいおいもう5分前だぞ?誰か連絡つかないのか?」


「あと少しで着くって言ってまーす!」


現在時刻は6時25分 案の定隆二が遅れてる 6時半出発の予定なのでギリギリだ


「はあっ!はあっ!すんません!遅くなりました!」


「遅いぞ!試合だとコール漏れで失格だ!」


「すんません!以後気をつけます!」


こうしてバスは神奈川に向け出発 隆二は監督と高橋さんにこってり絞られました




バスの中、席は自由で各々が適当な位置に座る 1番後ろは酔うため不人気なので、後ろから2番目に俺と隆二、渚と村上さんが通路を挟むように座っている ちなみに人数の割に無駄に大型なバスで、前3列ほど誰も座ってない


「……なあ、なんで遅刻したのさ」


「夜中までゲームしてました」


予想以上にアホな理由だった


「……馬鹿野郎」


「お前だって中曽根さんとイチャついてたんだろ!」


「そんな遅くまでは……あっ」


やべ、墓穴ほったか


「認めたな!?その話聞かせろ!」


「えーそれ私も聞きたい!ってか、なんで夜イチャつけるの!?」


なんか村上さんまで食いついてきた


「ちょっと匠!なんで言っちゃうの!」


「……すまん」


こうなってはごまかせないので、村上さんにも俺たちが同居していることを伝えた


「えーー!ほんとに!?」


「ちょっと鈴、声大きい!」


「あっごめん……でも凄いね……羨ましい」


「まあそういうことだ あまり広めないでくれよ」


「大丈夫!その代わり今度遊びに行かせてね!」


「それはもちろん!」


こうして新たに事情を知った仲間が増えたのだった




神奈川の神奈川県立スポーツセンターに着いた ここの陸上競技場で今日は調整を行い、明日から3日間、戦いが始まる


「……なんというか、随分強そうなやつが増えたな」


「そうだな……佐倉島や空島工業に加えて、千葉の梶川学園、神奈川の夏野台、あと山梨の三島大付属……強敵揃いだ」


「……まあ、負ける気はねえ 全部1位取るつもりで行く」


俺は気合を入れてそう言った すると監督が


「いいぞ中嶋 勝つ気で攻める それが必勝法だ 気合い入れていけ!」


「「「「「はい!!!」」」」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る