第39話
3日目、男子200の予選の時間だ 200にも空島工業の3人がいる 油断出来ない
予選では速い人はプログラムを見る限りいない なるべく体力を温存して望みたいところだ
俺は4レーン 地区大会の記録的にこの組の2番手は1つ外側の奴だ 一応チェックしながら走ろう
スタートした やはり外の奴が速い……いやまて、速すぎる 俺と競ってきやがる
コーナーを抜け、俺が前にはいるがまだ着いてくる 力を抜けない くそっ なんだこいつ!
一応、勝てた……たが力使いすぎだ 全力を出し切ったわけではないが疲れてる なんなんだコイツ
後で調べると、そいつの名は藍沢光輝 去年の全中に100と200で出ており、どちらも準決勝で止まっていた 地区大会と都大会の間になにか感覚を得て急激に伸びた、と言ったところか ちなみになぜ100にいなかったのかと言うと、地区の予選でフライングしたらしい
警戒する人が増えたな……しかしそんなこと考えている余裕はない 予選で力を使いすぎたし、あと準決勝と決勝、更には俺と高橋さん抜きでも決勝に通ったマイルも俺が決勝を走る予定だ 体が持つかどうか
荷物を持って陣地に戻ってきた すると
「匠!」
なんか呼ばれた 渚だ 声だけでわかる
「マッサージするから!うつ伏せ!」
「なんでだよ……予選しかまだ終わってねーぞ?」
「匠……私わかってるんだからね、左腿裏」
「!!!!」
そう、予選のラスト30m 僅かにだが腿裏に張りを覚えたのだ これくらいなら大丈夫とたかを括っていたが、渚はそれをやばいと感じたようだ 渚がやばいと感じたならその通りなんだろう
「ははっ……敵わないなやっぱ マッサージ頼むよ」
「最初からそう言っとけばいいのに……よいしょ」
俺の上に跨って、渚がマッサージをはじめる やはり少し左腿裏が張っているようだ
「このままほっといて走ってたら今日にも肉離れ起こしてるよ……危なかった 多少ほぐしてテーピングで今日は乗り切れると思う けど明日からは少し抑えめで練習することになるよ」
「分かった まあとりあえず今日勝ってからだな」
「無理はしないで……確実に乗り切れるとは言えないから」
「分かった」
準決勝も無難に乗り越え、決勝 俺は5レーン内側に内田 そのもうひとつ内側に隆二 ひとつ外に藍沢 そのもうひとつ外に高橋さん 速いやつに囲まれてる けどその中で飛び抜けて、圧倒的な走りをする それが俺だ
スタートした 藍沢がやはり速い けど予選とは違うぞ 俺はもっと加速する トップにたつ
コーナーをぬけて直線 まだトップだ 内田と藍沢がすぐ後ろ 隆二と高橋さんが上がってきている 抜かせない 最後まで粘る 出し切る!
トップでフィニッシュ 何とか逃げ切った 足が震える アドレナリンも切れてキツさが一気にくる 左足の震えが特に酷い
「クソっ!いつになったら匠に勝てるんだ……」
3位だった隆二が悔しがってる
「ギリギリだよ俺も キツかったー……」
「くっ……次は勝つからな」
隆二はかなり悔しがってる 負けないよう気をつけないとな
「また負けたか……マイル、大丈夫か?」
2位の高橋さんに聞かれる もう既にオーダー提出はされているため、俺が走るしかない
「大丈夫です 何とかします」
ちなみに4位が藍沢 5位が内田 6位は佐倉島の3年の人だった
マイルまで時間が無い 俺が走るしかないのだから、万全にしないといけない
ウイダーゼリーとオレンジジュースを飲み、栄養補給をする そしてすぐに渚のマッサージを受ける
「左足……正直微妙なとこだよ ほんと、無理するんだから……」
「渚の前で負けたくないだけだよ」
「変なプライド持たなくていいのに……よし、テーピングするよ」
「そりゃ持つさプライド 彼女の前で負けるなんて、男にとっては恥でしかないんだよ」
「……怪我しないで帰ってきてくれればそれでいいの私は だからほんとに無理しないでね」
「……おう」
あとがき
今大会最後のマイル 何が起きるかお楽しみに
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