第29話
「はあっはあっ…?どこだ、渚……?」
筋肉痛に耐え、渚を探すため夜中のランニングにのぞむ 渚がそんな思いをもって俺と接しているとは思わなかった 渚が飛び出してから数分動けなくなるくらいには動揺した コンロの火をつけっぱなしで渚は飛び出していったため、温度注意のアラームで我に返った訳だが
「どこいったんだよ……渚と喧嘩したなんて初めてだし……」
喧嘩など今までしたこと無かった 今思えば、渚が今までずっと我慢していたのかもしれない
「渚が……俺のことを好き……?まさか……」
渚は少なからず俺のことを特別扱いしてることはわかっていた しかし、それが恋心だとは……
「……今はそんなことより探さないと……そういや、親と喧嘩した時は公園に行ってたな……近くに公園は……」
1個だけある 休日昼過ぎに子供たちがよく集まってる公園 スーパーに買い物に行く時に通る道にあったはずだ
「渚っ……いた!……え?」
確かに渚はいた 余計なものを連れて
「お嬢ちゃんどうしたの?彼氏にでも振られちゃった?慰めてあげるからホテル行こうか?」
「可愛い子だね〜 来てくれたら気持ちいい思いさせてあげるよ?」
俗に言う不良だ やばい
「嫌です、気持ち悪いんで消えてください」
「……おい、無理やり連れてくぞ」
「っ!嫌っ!」
渚の左手が掴まれた 間に合えっ!
「ってえ!なんだお前!」
渚の左手を掴んだ手を思いっきり払う そして渚と不良の間に入る
「悪いけど俺のツレだ 消えてもらおうか」
「このガキ!舐めた口聞きやがって……」
「やっちまえ!」
2人が襲いかかってくる 殴られる覚悟を決め……
「警察だ!何してんだ!」
「やべっポリだ!逃げろ!」
「くそっ!」
不良は逃げていった 警察は1人しかいない 捕まえるのは無理だろう
「大丈夫だったかい?偶然近くを通りかかって、そこの高校生に言われて飛んできたんだが」
そこの高校生って誰だ、と指さされた方向を見ると
「大丈夫だったか、中嶋、中曽根さん……」
山本だった 山本がお巡りさんに伝えてくれたのか
「俺、帰り道こっちだからさ……どうにか間に合ってよかった」
「ありがとう山本……危ない所だった」
「じゃあ私はこれで失礼 帰りは気をつけるんだよ?」
「俺も、また明日部活で」
お巡りさんと山本は去っていった 渚は無言で俺の背中に隠れている
「……渚」
「……何?」
「……とりあえず帰ろう 話はそれからだ」
「うん……」
「……それで、その、渚……」
「私に言わせて……」
「……うん」
「私、言ったじゃん?この同居は私が頼んだって まあそれを言ったのは匠のお母さんだけど……私、中学の頃に匠の努力してる姿見て、かっこいいなって、なんかドキドキして……それが恋って知って、攻めていこうって思ったの でも匠、鈍感だから……これまでと同じ幼馴染ってくくりで終わらせたくなくて、だからこうして同居までして、気づいてもらおうって」
「……そうか……そうだったのか……」
そこまで思っていてくれたとは
「別にすぐに返事してとは言わない 大会とかも多いし、そっちに集中したいだろうし……けど、いつか返事は聞かせて」
「……いや、今言うよ」
「……え?」
渚に告白されて自覚した、俺の本当の思い……
「渚、いつも俺の世話焼いてくれたり、練習や試合のサポートや応援もしてくれた 今までしてくれたことはいくら感謝してもしきれない」
「うん……」
「……おかげでどうやら、渚無しじゃ生きられなくなってるよ……だから、ずっと一緒にいて欲しい 渚が好きだ」
「っ……!!!」
「……だから、その……付き合って、欲しい」
「うんっ……うんっ……!!!」
渚が抱きついてきた それを受け入れ、しばらく抱き合っていた
あとがき
ちょっと展開早いかも知れませんが、くっつきました まあ暫くは健全な付き合いをさせますがね←
この後、少しの間日常回が続きます
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