第25話
2日目の朝、俺と渚はスタジアムのアップ場にいた 今日は100mの日だ 今日は男女の100m以外に、男子400mハードルに岩崎さん、男子やり投げに山口と桜本さん、男子三段跳に小松原さん、女子の混成種目の100mハードル、走高跳、砲丸投げ、200mに近藤が出る そして何より今日の最終種目であるマイルの予選に出る ちなみに朝一で近藤のハードルと走高跳、男子の400mハードルの予選が終わっている 近藤は現時点では全体で1番、走高跳では2番目の記録だったが、得意のハードルでダントツの記録を出していて、トップにたっている 岩崎さんは余裕で1着フィニッシュし、準決勝に駒を進めていた
「匠、どう?調子は」
「昨日の疲れもない、良好だ」
渚がドリンクとタオルを渡してくれる 調子は悪くない むしろ良い だが油断していると井澤あたりに食われてしまう それだけは気をつけないと
「おっ匠、調子良さそうじゃん?けど今日こそ勝つからな!」
「俺だって負ける気は無いよ 油断なんてしてないから」
2人の目線で火花が散る レース前にバッチバチに睨み合う
「おっと、俺を忘れてもらっちゃあ困るな」
秋山さんまで睨み合いに混じってきた マジで身内対決になりそうだ
「はーいはいそこまで!みんなアップしなさい!」
「「「はーい……」」」
渚に叱られてしまった 秋山さんまで後輩に怒られてしゅんとしている
渚、強し
100mの招集の時間になった 渚は応援のためスタンドに戻った 女子の100の選手が一足先に招集場所に来ている 椎名が近くにいる
「よう椎名 調子どうよ」
「問題ないわ(ぅぅーやばい!緊張する!)」
「さすが椎名 じゃ、お互い頑張ろうぜ」
「ええ(プレッシャーかけないでぇぇぇぇ)」
椎名達は審判員に呼ばれ、待機する場所に移動した ふとあたりを見ると、女子混成の砲丸投げの招集も行われているようだ 近藤を見つけた
「お、近藤もいたか どうよ調子は」
「うう……高跳び負けちゃった……ハードルは勝ったのに」
少々自信なさげだ 実力的にはトップレベルなのに、この性格は治らないらしい
「いつも通りやれば勝てるさ もっと気楽に行こうぜ」
「気楽になんて行けないよ……ちょっとの油断が負けに繋がるんだから……」
「俺は、まあまず勝ち負けより楽しみたいからな そりゃ勝つ方がいいけど、それだけが全てじゃないし」
「……すごいね中嶋くんは ……ありがとう、ちょっと楽になったよ」
「よっしゃ、じゃあ頑張ろ」
「うん」
こうして時間が過ぎ、女子の100が終わって、俺たちの番になった
俺は第1組の5レーン 予選なのでフライングや走ってる途中で転倒などしない限り負けることは無いと思うが、油断してはならない 油断している時こそ、さっき言った事がおきやすいのだ
(……うん、いい感じ)
スタブロを合わせ、スタートの練習をする 動きは悪くない
「男子100m 予選第1組 スタートです」
アナウンスされ、場内が静まり返る
「on your marks……」
スタブロに着く 油断なく、1着になることだけを考える
「set」
合法で飛び出す いいスタートだ 加速に乗る 既に先頭に立ち、周りは着いてきてない
70m程で力をゆるめ、1着でフィニッシュ タイムは10.80 こんだけ流してこのタイムならかなり調子はいいな
「ふう……」
とりあえず一安心だ さて、準決勝の準備しないと
ちなみに2組で隆二、10.81、3組で秋山さん、10.92でそれぞれトップ通過だ
あとがき
椎名のセリフのカッコ内が荒ぶってる椎名さんです あれが素です
渚、強し……先輩も萎縮してしまうカリスマ性です
渚が匠のアップに付き添っても何も言われないのは、すでに先輩達や同級生のなかでこの2人が夫婦扱いを受けているせいです それだけ部活後に一緒に帰っている姿とか、教室でイチャついてるとこを観察されてるってことですね あと、井澤の根回しも大きいです
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます