第23話
フィールドでは、男子の走幅跳が始まった 空いていた枠で出た谷田さんと優勝候補の小松原さんだ 特に小松原さんは去年、1年生にして大会記録を更新するという快挙を成し遂げている 今年はそれの更新が目標なんだとか
「いきまーす!」
「「「「「はーーい!!!」」」」」
1番目に跳ぶ小松原さんの1回目 踏切位置ピッタリで跳躍する
「「「おおおーー!!」」」
歓声が上がる どうやら早くも、目標を達成したっぽい
「7m62!」
これまでの大会記録は7m40 大幅な更新だ
小松原さんはガッツポーズしている 手応えを掴んだんだな
試技は進み、谷田さんの番だ 1ヶ月に及ぶ練習で、小松原さん曰く都大会に出れるくらいには仕上がったとの事
助走し踏み切る 少し踏切板の手前だったか
「6m47」
小松原さんには遠く及ばないが、都大会に出るには十分な記録となった
走幅跳の試技が続いているが、俺たちはウォーミングアップに行かなくてはならない
ウォーミングアップを行うサブトラックにいってアップを行っていると、アナウンスで女子の400mが始まるとわかった アップの休憩がてら見に行くことにした 俺たちのアップの付き添いで渚も来ている
「優勝は下岡先輩だろうな」
俺が言う
「岬先輩と長岡先輩がどこまで迫れるか……けど、岬先輩調子悪いんだよな……」
「いや、渚がなにかアドバイスしたっぽいが、何言ったんだ?お前」
「岬先輩ね、最近後半の腕の振りを大きくしようとしすぎて、体幹がぶれてたの だから少し抑え気味で腕を振ってみたらどうかって」
「へえ……それが当たっていれば面白いレースになりそうだ」
スタートした 下岡先輩と長岡先輩が飛び出す 下岡先輩は後半あげるタイプなのだが、今回はタイムを狙っているっぽいな
「岬先輩は……ついていってる!」
「龍高ファイトー!」
下岡先輩を先頭に、長岡先輩と岬先輩が並んでいる 準決勝の時の岬先輩では無くなっている
「岬先輩……初めて長岡先輩に勝てるかも」
岬先輩はうちの短距離女子の中では実力的には下の方で、今までうちのメンバーには勝ったことが無い けどこの状況なら勝つことも有り得る
下岡先輩が先頭でラスト100m 下岡先輩はもう独走で、後ろで岬先輩と長岡先輩のバトルが繰り広げられている
「ラストファイトーー!!」「下岡先輩!岬先輩!長岡先輩!ファイトー!」
下岡先輩がフィニッシュ 大会記録とはならなかったが、54.01と、かなりの好記録だ
そして、岬先輩と長岡先輩がほぼ同時にフィニッシュ うちのワンツースリーは確定だが、問題はどちらが勝ったか……
電光掲示板にリザルトが出る 1着は下岡先輩、そして2着が、着差なしの長岡先輩と岬先輩だった
「まじか……」
「まさかね……こうなるとは」
フィニッシュ地点で2人が抱き合っていた 笑っている なんというか、1番平和な終わり方だったな
「さて、次は男子か……」
男子の400mの決勝がすぐに行われる
優勝候補はやはり高橋さん 西川と両角さんがどこまで迫れるか、だ
スタートした 高橋さんが飛び出した 西川が着いていく 両角さんは少し遅れてしまった
「高橋さーん!ファイトー!」「西川ー!いけー!」「両角さーん!ファイトー!」
200mで高橋さんがトップ 西川と両角さんがほぼ同時に通過 西川が若干前か
300mを過ぎて、高橋さんが独走状態 西川と両角さんの一騎打ちだ
あっ西川が伸びた!
「龍高ファイトー!」
高橋さんが1着だ 速報タイムは47.09 0.01秒の自己ベストだ 2着が西川 3着が両角さんとなった
「西川、自己ベストだな、間違いない」
「ああ……俺たちも負けてらんねえな」
西川が48.54 公式な試合では大幅な自己ベストだ 両角さんも48.79 こちらも自己ベストだった
「さあ、俺たちの番だ」
隆二が気合を入れている
「おう、チームベストで勝とうぜ」
俺も気合を入れる あと少しで自分たちとの勝負の時間だ
あとがき
この地区には龍山高校以外の強豪校はいない設定です だから普通にワンツースリーとかとれるんですね……
さあ、次回は4継の決勝です お楽しみに
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます