第15話
入学式から2日、選考会の当日になった 完璧ではないが選考会に向けて調整を行い、できるだけのことはしてきた しかし……
「……またか……」
現在の時刻朝6時半 起きた時の左腕にくっついているこいつだけはいつもの試合前とは違う まあここ最近毎日俺の左腕に抱きついて寝ているのだが……
「……まあ、こいつと一緒に寝たら寝つきが少しいいんだよな」
一緒だと安心するのか、中学の頃よりぐっすり眠る事が出来ている そういやお泊まり会した時とかもぐっすり眠れてたな
「ほらー渚、起きろ」
「むー……たっくんがちゅーしてくれたら起きる〜……」
「こらこら馬鹿なこと言うな、呼び方も小学生の時のになってんぞ 恥ずいから辞めてくれ」
渚は小学生の時まで俺の事をたっくんと呼んでいた 中学に上がる時に、中学生になってまでたっくんは恥ずかしいと言って、匠と呼んでもらうようにしていた
「ふぁああああ……おはよー、たくみ」
寝起きで顔がとろーんとしている かわいい 押し倒したい けど付き合ってもないのにな……
「……ほら、とりあえず朝飯頼む 俺は布団整えとくから」
「りょーかーい……」
眠そうな目を擦りながら渚は出ていった ちなみにこんな任せっきりみたいな会話をしているが、実際は洗濯は俺がやっている 渚は炊事と掃除担当だ 渚にやり方を教えてもらい、何とかできるようになった 買い物は2人で基本学校帰りに行く
「んじゃ、頂きます」
渚は俺の事をよく理解してくれている 俺のいつものルーティーン 試合前日はパスタ、当日朝は納豆と味噌汁、卵焼き これも中学の時から続けている
なぜ前日パスタなのかは消化が良く、寝てる時の内蔵の負担が少ないから、当日納豆は、低脂質タンパク質が当日にはいいらしいから By渚
「ご馳走様でした……さて、歯磨きして着替えて行きますか」
「うん!……匠、頑張ってね」
「ありがと……渚から期待されるなら、応えないとな」
「大丈夫だよ、いつでも私の期待に匠は応えてくれた……今回もいけるよ」
渚の言葉はいつも勇気をくれる
「よし、行くか」
「うん!」
「今、9時だな 100の選考は11時にスタートするからそれまで各自アップしてくれ」
「「「「はい!」」」」
今回100mの選考会に参加するのは8人 俺、井澤、山本、秋山先輩、高橋先輩、2年の岡本先輩、3年の嵜本先輩と谷田先輩 上位6人がリレーメンバーでその中の上位4人が実際に走るメンバー、下位2人が補欠 そして全体の上位3人が100mの選手となる ちなみに200mだが、俺と高橋先輩と井澤しか出たいという人がいなかったため、選考会は行わないらしい
そして高橋先輩は4継のメンバーに入る為に100mを走るだけであり、万が一上位3人に入っても辞退するらしい あくまで個人種目は200と400だそうで
……400のことを考えて、少し不安が出てきた 2日前、自転車通学の申請用紙を提出しに職員室によった時のこと ちょうどいいタイミングだと金井監督に呼ばれ、伝達された
「本当は今回、4継の選考だけにお前と井澤を入れようと思ったんだが、俺が見た感じお前ら2人とも走れそうだから、マイルも選考会をやって、走るメンバーにお前らも入れようと思うんだ どうだ、やってみるか?」
本来この高校で400を専門にしている選手は5人しかおらず、補欠に秋山先輩を入れるだけで済んでいた 今回西川が入ってきてその問題は解決したはずなのだが、面白そうだから俺達も走らせてみたいらしい
「……分かりました、井澤にも伝えておきます」
俺は了承し、職員室を出た 人生で初めて400をまともに走ることになった
「……今は100のことを考えよう」
俺はイヤホンをつけ、アップを開始した
100の選考の時間になった それぞれユニフォームに着替える 高1組は中学のユニフォームを着る
「今回こそお前に勝ってやるぞ、匠」
「俺だって負ける気は無いさ」
早速井澤に喧嘩を吹っ掛けられた
「おいおい、俺たちのことは眼中に無いと?えらい強気だなあお前ら」
「まあうちの選手ならそれくらい気が強くないとな」
高橋先輩と秋山先輩にからかわれる
「そんなことないっすよー、けど俺は全中で負けた借りを返したいだけなんですから」
……こいつ、まだ全中の負けを根に持ってたのか……
「……まあ俺は、誰が相手でも勝つだけです」
俺はこう返した 先輩2人は笑っている
「俺達も負けてられないな」
「ですね、1年坊に一泡吹かせないと」
そう言って先輩たちも着替えに行った すると別の奴が近づいてきた
「ハードル専門だからって甘く見るなよ、中嶋 中曽根さんの前で恥かかせてやる」
「まーたお前か……お前なんて眼中にねーよ 大人しくハードル極めとけ」
「そうやってバカにしやがって……見てろ、絶対に倒してやる」
そう言って離れていった
「気にすんなよ中嶋 お前は俺と戦うことだけに集中してろ」
「アホか、1位しか見てねーよ」
「ふん、舐めてもらっちゃあ困るぜ、匠さんよお」
「……そろそろか」
「よっしゃ、行くか」
次回、選考会本番
あとがき
マイルのことすっかり忘れてたんで割と無理やりねじ込みましたごめんなさい
山本は以外にも100m10秒台は持ってる設定です
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