第14話

入学式とホームルームも終わり、今日は授業がないので帰る準備をする 木曜なので部活もない


「さてと、渚、帰……」


渚を呼ぼうと振り返ると、渚は男女問わず結構な人に囲まれていた ちなみに左をちらっと見ると、村上さんは村上さんですごい数の女子に囲まれている こいつら全員レズなのか?他クラスもいるだろこれ……


「中曽根さん、これからどっか行かない?」


「中曽根さんこれからカラオケでもどうよ?」


「中曽根さん!」「中曽根さん!」


「え、えっと……」


ここまで囲まれると流石の渚もあたふたするらしい 俺に向かって目線で助けを求めていた


(助けて、匠!)


「……いや、どうしろと」


仕方ない、多少強引かもしれんが……


「行こうぜ渚 飯買って帰らないと」


と言って手を掴んだ 周りが驚いた顔でこちらを見る


「う、うん!」


渚は素直に着いてくる しかし納得しない人もいて……


「なんだよ、幼なじみだからって」


確かダンス部の渡利だったか、覚えてないけど


「悪いな、先約はこちらなもんで」


少し嫌味だったか だがこうでもしないと諦めてくれないだろう


「……くそっ」


諦めてくれたらしい これ以降も渚に変な虫がつかないといいけど


「行くか渚 あ、あと自転車通学の申請用紙出さないと」


と声をかけると


「うん!行こ!」


と言って腕に抱きついてきた 教室から女子の歓声と男子の悲鳴が聞こえてくる


「何!?あの二人ってそういう関係?」


「幼なじみでカップル?何その最高な展開!」


「中曽根さん彼氏持ちかよ!しかも幼なじみとか……勝てねえよそんなの……」


「あんな可愛い子があんな冴えない男の彼女……?ありえねえ、ありえねえよ……」


中には現実逃避を始めたやつまで カオスだな

このクラス


「あれ?いつもみたいに抵抗しないんだ、ふーん」


「なんかもう慣れたよ……行くか」


どうやら中嶋匠は悟りを開いたらしい




一方その頃


(うう……助けて……帰れない……)


村上鈴は困っていた たくさんの人(主に女子)に囲まれて動けなくなっていた


「一目惚れしました!」「一緒に帰りましょ!」


慕ってくれるのは嬉しいが、帰れないのは困る


「どうしよう……」


悩んでいると、一人の男が近寄ってきた


「鈴ちゃん!スポーツショップ行くんだろ!早く行こうぜ!」


「えっ……?」


無論そんな約束した覚えはない すると近寄ってきた井澤くんに小さな声で


「困ってんだろ?合わせろ」


と言われた なので言う通りにする


「わ、分かった、いこ」


ファンの人たちがクレームをつけてくるが、構わず井澤くんと私は外に出る


こうして困難を乗切ることが出来た すると井澤くんが


「いやー困ってるっぽかったから、助けられてよかったよ」


と言われた


「あ、ありがと……にしても、よくわかったね、困ってるって」


「そりゃ、見ればわかるさ 鈴ちゃんイメージよりだいぶ分かりやすい子だし」


わ、わかりやすい!?そうだったのね……


「……ありがと」


「礼なんていいよ、そうだ、どうせならマジで一緒にスポーツショップ行こうぜ テーピングと新しいスパイクのピン買いたいし」


え、それは所謂下校デートと言うやつなのでは!?……恥ずかしいけど、このチャンス逃さない方がいいよね


「……うん、行こ!」


こうして2人でスポーツショップに行った その後、井澤くんが駅まで送ってくれて、その日は解散となった



あとがき

今回少し短いかな?

僕の高校も自転車通学の申請用紙出さないといけなかったので設定に入れてみました(どうでもいいか)

井澤くんはまじで周りのことをよく見てます 困っている人がいたらすぐに気づいて助けてあげる、すごい紳士だ……匠にも見習って欲しいですね←

このままだと主人公が井澤に交代しそうなんで次からは匠の無双になる気がする

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る