第13話
教室に着くと、まず目に入ったのは前の黒板の前の人だかりだ よく見ると座席表が貼ってある 匠たちもそれを見に行った
「えーっと……右から3番目の列で……あ、渚の前か てか渚1番後ろじゃん」
「え、匠の後ろ?やった!匠にイタズラし放題!」
「いや、頼むからやめてくれ……」
確認した席に着く すると右横にはThe陽キャな男子がいた
「お、お隣さん?俺、多崎(たさき)真一郎!サッカー部だ、よろしく!」
「中嶋匠、陸上部だ、よろしく」
「あれ?中嶋くん?」
挨拶をしているところに話しかけてきたのは村上だった 俺の左どなりの席らしい
「中嶋くんが隣か、んでその後ろが渚ちゃんね!よろしくっ!」
「ああ、よろしく」
「よろしく!あと、私も鈴ちゃんでいい?」
「もっちろん!」
前回の部活の時はあまり喋れなかったからな、こういう所で話しとかないと
「中嶋!」
「ん?」
多崎が話しかけてきた
「とりあえずLINEくれよ!そこの2人も!クラスのグループ作るからさ!」
「あいよ、なら俺が入って俺が2人とも入れとくよ」
「おっけー任せた!」
多崎とLINEを交換し、グループに入った そして2人を招待する ちなみに村上さんとはこないだの部活の時にLINEは貰っている
「よし、じゃあほかの人回ってくるわ!」
そう言って多崎は離れていった コミュ力の高い奴だ
「陽キャって感じだねえ」
渚も同じことを思ったようだ
「井澤より陽キャだな……ってか、井澤もこのクラスだし騒がしくなるぞ……」
井澤と多崎が組み合わさったら文化祭とかの盛り上がりがとんでもない事になりそうだ
「うう……井澤くん、話せるかな……」
「あれ?鈴ちゃんどうしたの?」
「い、井澤くん……話したことあまりないから」
顔を真っ赤にしている これはもうアレでしょう
「はっはーん、なるほどねえ鈴ちゃん 乙女ですなあ」
「ま、まだ何も言ってないでしょ!?もう……」
「村上、これは誰が見ても分かるぞ」
「そ、そんなあ……うう……」
まさかあの中学陸上界でクイーンと呼ばれていたあの村上鈴が、ここまで乙女だとは……
「それでそれで?どんなとこが好きになったの〜?」
「渚お前、少しは遠慮しろよ……」
「いーじゃんいーじゃん?聞かせてよう!」
「……中学の地区の大会がね、井澤くんと同じで……走ってるとこずっと見てたの その時からかっこいいなーって思ってたんだけどね それで、私、最後の地区大会のリレーでバトン落として失格しちゃったの それでグラウンドの外で泣いてたら、それに気づいた井澤くんがね、話しかけてくれて……お前にはまだできることがある、出れなかった人たちのためにも得意な高跳びで全国に行って、そして勝つことだ、って……すごい助けられた、だからここまで頑張れたんだ」
「へええあいつがそんなこと……」
「そんなこと言ってた井澤くんだから、中嶋くんに全国で負けた時、すごく凹んでたんだよ?」
「え、まじか……なんかすげえ複雑……」
「だからその時話しかけに行ったの、そしたらさ、全国ってすげえな……目標ができた、中嶋に勝つ!だってさ その時の目がかっこよくて……」
「へーそんなカッコイイこと言ったんだ、井澤くん でもうちの中嶋も強いよ〜?」
「今はそういう話じゃねえだろ……」
全くこいつは……
「ふふっ、面白いね渚ちゃんは まあそんな感じかな、私が井澤くんに惚れた経緯」
そういう話をしていたら、当の本人の井澤が入ってきた 同時に女の先生も入ってきた
「あぶねーあぶねーギリギリ……お、匠!中曽根さん!あと鈴ちゃんも!」
どうやら井澤は村上さんのことを鈴ちゃんと呼んでいるそうだ 呼ばれた村上さんは顔を赤らめる
「おう、おはよ」
「おはょ!井澤くん!」
「お、おはよ……」
やはり村上さんは緊張してしまうようだ そして先生が話し出す
「入学初日から遅刻しかけるようなバカはいたが……全員いるな これから体育館に向かう 出席番号の順の席になってるから、そのままの並びで並んで行くぞ」
……女性だがなかなか厳しそうな喋り方だったな、この先生
そして言われるがまま体育館に来た すぐに式が始まる そして恒例の新入生挨拶の時間だ
「新入生代表 西川優馬」
「はい!」
西川が壇上に上がる ふと横を見ると、渚が悔しそうにハンカチを噛んでいた いや悔しがりすぎだろお前
「桜が咲き、だんだんと暖かくなってきたこの良き日に、龍山高校に入学できたことを、非常に嬉しく思います……」
さすが優等生、いい言葉を考えるね
西川は無難に代表挨拶を終え、入学式が終わった
入学式が終わると、教室に戻りホームルームが始まる
「さて、私がこのクラスの担任を務める平木澄香だ 担当は国語で、生徒指導にも関わっている では、出席番号1番から自己紹介をしてくれ」
そう言って、自己紹介が始まる
「出席番号2番の井澤隆二といいます!陸上部所属で、目標はそこにいる中嶋匠に勝つこと!」
なんかやりやがったこいつ、マジかよ……
「……こいつ後で覚えてろよ」
「〜〜〜!!!」
後ろで渚は笑いを必死で堪えていた こいつもこいつで笑いすぎだっつの……
「あと、彼女募集中です!よろしくっ!」
「か、彼女募集中……立候補したい……」
横で村上さんが顔を赤らめ呟いた 村上さんなら多分行けると思うけどなあ……
そんなこんなで自己紹介は進んでいく
「13番の多崎真一郎です!サッカー部でFWやってます!よろしくっ!」
多崎は俺が思ったよりは無難な挨拶をした それでもイケメンで陽キャだから盛り上がる盛り上がる
そして、自分の番になった
「えー、20番の中嶋匠です、部活は陸上部です よろしくお願いします」
よし、無難に終わらせた すると後ろからクレームが来た
「ちょっと匠!つまんない!」
「いや知るか!次お前の番だろ!早くしろ!」
「むー!こうなったら……」
そう言って渚が立ち上がる
「21番、中曽根渚です!陸上部のマネージャーになります!ここに居る匠とは幼なじみで、広島から遥々来ました!よろしくお願いします!」
こいつやりやがった まあいずれバレることではあるけど……ていうか、渚と幼なじみってことがバレた瞬間男子連中からの視線が痛い……
「ふふーん、してやったり」
「……後で頭ぐりぐりの刑だな」
「えー!?」
あと、井澤へのおしおきも忘れずに
あとがき
井澤を伊澤と打ち間違える事故が多すぎて辛い 見直して修正しますが見落とし見つけたら言ってください
はい、井澤にも春が来そうですね ここからどうなっていくのか、こちらのカップルにも注目していただきたいです
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