第12話

初めての高校の部活から3日後、高校の入学式の日になった


「おー匠、制服似合ってんじゃん!」


「渚もな、しかし、新入生挨拶は渚だと思ってたんだがなあ」


「自己採点の結果だと、西川くんに2点だけ負けてたみたいなんだー、悔しい……」


西川も、渚と同じく一般入試で入学してきた秀才だ 俺でも勉強面では勝てるかどうか分からない


「まあ挨拶でガッチガチに緊張するよりはマシだと思えばいいさ」


「だねえ……」


「さ、そろそろ行かないと遅刻するぞ」


「待って、匠、ネクタイ少しズレてるよ?ちょっとかして!」


そう言って渚がネクタイを結び直してくれる こうしてみると本当に奥さんみたいだ


「なんか奥さんみたい……」


あ、やばい、口に出しちまった


「へぁっ!!??……ちょっと匠ったら、もう……」


「な、なんかすまん……」


「……まあ本当になってあげても……」


ぼそっと渚が言ったが、聞き取れなかった


「な、なんか言った?」


「なんでもないっ!ほらできたよ!行こっ!」


「あ、ああ……」


こうして、2人は入学式に向かった



学校に着いた 入学式の朝といえば、恒例のクラス発表だ


「別にクラス分けに学力の基準はないんだっけ?」


「だな、推薦の人たちもいるし、完全ランダムで40人の6クラスに分けられる」


「同じクラスがいいな……あの山本って人は嫌だけど」


「あはは……」


クラス分けの紙が貼ってあるボードの近くに行くと、そこには一足先に紙を見たのであろう井澤がいた


「おーっす匠!早く見て来いよ!面白いことになってんぞ!」


「おはよ、朝から元気だなー井澤は」


「そりゃな!んじゃまた後でなー!」


そう言ってどこかへ行ってしまった 気を取り直して髪を見る


「えーと中嶋はっと……あ!3組だ!」


「中曽根中曽根……あ、私も3組だ!やった!一緒だよ匠!」


渚が喜びのあまり抱きついてきた 周りからの視線が一気に集中する


「ちょ、渚!ここで抱きつくな!さすがにヤバいから!」


「えー?あっ……ご、ごめん……」


すぐに視線に気づき離れる渚 お互いに顔は真っ赤になってしまった


「ほ、他に陸上部は……あ、井澤いるじゃん、あと村上さんもだ」


「陸上部は4人かー、村上さん絶対囲まれる気がするよ」


「だなあ、あの子は人気者になるぞ」


「……匠もそう思うんだ、ふーん」


「そりゃ思うさ、あんだけ美人でスタイルいいと人気は出るだろ」


「匠はああいうタイプが好みなんだね、ふんっ!」


「いやいや、客観的意見を言っただけなんだが……なんでそんな機嫌悪くしてんだよ」


「知らないっ!自分で考えればー!」


完全に拗ねてしまった 何故機嫌が悪いのか分からないため、確実に喜ぶことをしてあげることにした


「なあ、機嫌直してくれよ」


と言いながら頭を撫でる 渚は撫でられるのが大好きなのだ 撫でてあげるとすぐにトローンとした気持ちよさそうな表情になる

しばらく撫でていると、急にニヤけた顔になった


「……ふふっ、なーんて、別に機嫌なんて悪くしてないもん、匠は私のこと大好きだから不安になるんだよね〜」


「んなっ! くそ、騙された……」


俺が悔しがっていると、渚が手を掴んで引っ張った


「ふふっ!ほら!教室行こっ!」


「待てって引っ張るな!ったく……」


渚に引っ張られながら、匠は教室に向かうのだった




その頃その周りの生徒たちは……


「なにあのバカップル……」


「なんか地味っぽい男があんな子に好かれるなんて……クソっ!ラブコメ主人公かよ!」


「あの子……脅されてるのか……?なら俺が助けないと!」


3人目キモイな そんな中にこいつが居た


「クソっ!中嶋の奴!中曽根さんと同じクラスだと!なんで俺は6組なんだ!これじゃお近づきになれない!」


山本が多少荒れていた 周りから奇怪な目で見られている そこに近づくのが……


「あらあら山本、中曽根さんとクラスが離れたのがそんな悔しいか?」


井澤だ 煽っているような口調で話しかける


「クソっ!」


「まあまあ落ち着けよ 別に女子は中曽根さんだけじゃないんだしさあ」


「諦めろとでも言うつもりか!こうなったら毎回の休み時間に3組に……」


「まあそう言ってるんだけどな?あとそれ流石にキモイし さっきも中嶋とイチャイチャしながらクラス表見てたぞあの子 もうあの2人に隙間はねえよ」


「中嶋……殺す……」


「はーいはい落ち着いて落ち着いて、ていうかなんでそんなに執着するのさ」


「中曽根さんを見た瞬間に分かったんだよ、俺にはこの子が相応しいってな」


「あら、それは残念 まさか相応しい相手にはもう運命の相手がいたと……」


「……クソっ!」


心底怒り狂った様子で山本はクラスに向かっていった あれじゃ孤立するな……


「……まあ、いずれ痛い目見ればわかるか さーて俺も寄り道しながら教室行こっと」


鼻歌を歌いながら、井澤も教室に向かった


「……着くまでに鈴ちゃんにあえないかな」


と呟きながら


あとがき

井澤くんめっちゃ煽り上手ですねぇ←

匠と渚はこの後教室でどんだけイチャコラするのか、山本はこの後何をやらかすのか、楽しみに待っていてください

ラスト、意味深……

コメント、星、レビューお願いします……m(_ _)m

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