風と恋 〜最高な幼馴染と頂点を目指す〜

第8話

｢よーし、とりあえず素数を数えて落ち着くんだ…｣

どこぞの神父の真似をして落ち着こうとするが……

｢いや落ち着けるか！どういうことだよ渚！お前知ってたんだな！？｣

｢えへへー、サプライズってやつだよ！｣

｢くそ、とりあえずあのバカどもに電話だ！｣

匠はあのバカどもこと両親に電話をかける 2コール程で母親が電話に出た

｢もしもし？電話してきたってことは真実を知ったみたいね……ククク……｣

｢いやクククじゃねえよ！どういうことだ！｣

｢今見たものが真実よ？2人は同棲するの、そして早く孫を見せてちょうだい｣

｢……はぁー……｣

もうダメだ、これはもう話を聞いてくれる状態ではない

｢……これはもう、渚の親に言ってもダメか……｣

｢そりゃそうよ、この案を出してきたのは美紅ちゃんなんだから｣

ちなみに美紅ちゃんとは渚の母親の名前である 下の名前で呼び合うほど母親同士は仲がいい

｢まあ2人に同棲してもらえば家賃とか光熱費とかは折半で済むし、まあなにより渚ちゃんがそれを望んだらしいしいいかなってね？｣

｢ちょ、お義母さん！それは言わないでって……あうぅ……｣

｢……お前が元凶かあ！｣

｢いひゃいいひゃい！ほっへひっはらないへー！｣

｢ちょっと、渚ちゃんいじめちゃダメよ？将来のお嫁さんをきちんと捕まえておかないと｣

｢……もう何を言っても無駄か……｣

全てを諦めた中嶋匠 腹を括るしかないみたいだ

｢わかった、一緒に暮らすよ 孫とかいうあんたの戯言は置いといてな｣

｢納得したなら良かったわ、でも孫は見せてよ？あ、でも高校卒業してからでお願いね？｣

イラッッ

｢……ぶちっ｣

イラついたので無言で電話を切る しばらく奴には電話はかけないようにしよう

｢……で？どうするよ｣

｢とりあえず荷物整理の前にお昼ご飯だね、どっちが作る？｣

｢言っとくが俺は料理はインスタントしか作ったことないぞ？｣

｢そういやそうだったね……じゃあ私が料理担当するよ｣

｢おなしゃーす｣

｢へへっこれで匠の胃袋をゲットしてやる……けどそっか、まだ冷蔵庫とかも届いてないのか じゃあどっか食べに行く？｣

｢……なんか変な言葉が聞こえたような……そうだな、そうしよう｣

財布とケータイだけ持って近くのファミレスに向かう 幸い席が空いており、すぐに座ることができた

｢俺はミックスグリルのAセットとベーコンピザ｣

｢私はカルボナーラ、あとドリンクバー2つで｣

注文し、ドリンクバーを取りに行った 糖質制限のため俺は烏龍茶、渚はレモンスカッシュを注いだ

｢んじゃ、私たちの新生活にかんぱい！｣

｢……かんぱい｣

｢匠ーテンション低いよ？上げてかないと！｣

｢この状況でどう上げろと？はぁ……｣

年頃の男女がひとつ屋根の下で2人きりで生活するなど、危険で仕方がない 友達を呼ぶことも難しいし、何より俺の理性が持つかどうか……

｢……お前、今後恋ってのを知ったら後悔するぞ……｣

｢……もしかして、私がなんとも思ってない人と同棲するとでも思ってる？だとしたら怒るよ？｣

｢なんでだよ……｣

｢……このにぶちん｣

渚が俺の事をどう思ってるかなんて、周りより多少仲のいい幼馴染程度だろう、もしくは選手とトレーナーか いずれにせよ、恋愛感情よりはそっちの方が強そうだ

｢まあこうなった以上、少なくとも3年間はよろしくだな｣

｢……3年だけでいいの？｣

｢その辺はわからん、とりあえずだとりあえず｣

｢……まあ匠だしわかんないか……とりあえずそれで許してあげるよ｣

｢どういうことだよ……｣

それから匠達は昼食を終え、帰宅した

帰宅して15分後、少し早めに大型の荷物が届いたらしい

｢ちわー！荷物持ってきました！｣

｢ありがとうございます、とりあえずタンスはこっちで、ソファはここで……｣

と、渚がテキパキ指示していく 全て終わった後、この家に来て3度目の違和感

｢……おい渚｣

｢ん？何？｣

｢なんでベッドがひとつしかないんだ！｣

｢あちゃ、バレた？｣

｢バレた？じゃねえよ！片方はどこで寝るんだ！｣

そう、ベッドがひとつしかないのだ、しかもセミダブルまでとはいかない少し大きめの 2人がギリギリ寝れるくらい

｢……ったく……とりあえず今日は俺がソファで寝るよ……｣

｢なんでそうなるの！ベッドで一緒に寝ようよ！｣

｢アホか、襲われたいのか？｣

いくら理性を保つのが得意な俺とはいえ、2人きりの家で、ベッドで、しかもかなり密着するとなると理性を保てるか怪しい 襲ってしまわない確証は無いのだ すると渚が聞こえるか聞こえないかの声で

｢……別に匠ならいいのに｣

ぼそっと言う 匠には上手く聞き取れなかった

｢なんか言った？｣

｢……匠がソファなら私もソファで寝るよ？｣

｢はぁ！？なんで！？｣

｢いいから！それが嫌なら一緒にベッドで寝て！どっちにしろ、一緒に寝て欲しいの！｣

駄々をこね始めた渚 こうなると言うことを聞くまで止まらない

｢……分かったよ、一緒に寝よう｣

｢へへっやりぃ☆｣

｢……｣

少しイラついた匠であった

｢……まあいい、さて、少し走ってくるかな｣

｢お、それなら自転車も届いてるから自転車でついて行くよ！｣

｢え、いつのまに……俺のもあるの？｣

｢あるよ、通学用で｣

知らない間に届いていたようだ 確認するの早すぎだろ渚……

｢じゃあいくか｣

｢うん！｣

こうして、2人で2時間ほど汗を流しに行くのであった

あとがき

今んとこ陸上要素がうすめなのは見逃してください 次回あたりから増やしていく予定です

匠くんにぶちんですねーほんと、僕が傍観者だとしたらぶん殴ってやりたいですはい←作者が何言ってんだか

コメントやアドバイス等ありましたらお願いします まだ頂いたことないので……