ご褒美回前編

まえがき

渚の入試の週の週末だと思って読んでください



高校入試を終えた2人は、中学のグラウンドに練習しに来ていた


「on your marks……set」


号砲と共にスタブロを思い切り蹴って飛び出す 匠はこのスタートに自信を持っており、50mまでの加速で匠に対抗できる選手は全国には一人もいない


「ふぅ……こんなもんか」


「おつかれ匠、ほらドリンクとタオル」


「お、サンキュ」


中学の陸上部では正式にマネージャーは採用していない なので渚は匠の専属マネージャーのような存在となっている


「匠先輩羨ましいなー、なんで俺には美人でおっぱい大きくて家庭的で優しい幼馴染がいないんだろ」


「はっはっは、それは自分の生い立ちを悔やむんだな」


「ぐぬぬ……」


後輩の男子にも羨ましがられる 匠に対する特別扱いに反発が出ていないのは、実力と匠の人間性によるものだろう


「匠、帰ったら約束通り私特製ハンバーグね?」


「うぉっしゃあ!じゃあ全員最後に300m×5本だ!気合い入れていくぞ!」


「「「「「えーーーー!!!!!」」」」」


中学生の短距離選手にしてはキツいメニューに全員が反発する さらに匠と一緒に走ると自然とペースが異常に速くなり、ついていける者はほぼいない


「匠先輩とは絶対走りたくねえ!」


「誰が犠牲になるかジャンケンだ!」


結果、先程渚の存在を羨ましがった後輩が犠牲となった


「おrrrrrrrrrrrrrrr」


そのメニューが終わった後、その後輩はトイレに直行した


「なんだあの程度で情けねえ……」


「いや、あんたのペースがおかしいんだよ……」


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