第4話 決別
「あなたの子じゃないわ」
私は怒りに震えながらもしっかりと雅也の目を睨みつけ言葉を放った。本当はこのお腹の子は紛れもなく彼の子だけど私の子供は渡さない。
毎日愛しさの増していく我が子を手放しはしない。
「ふぅ。やっぱり」
大げさに息を吐いて雅也は深く椅子に座り直し、馬鹿にしたような意地の悪い顔に歪んだ笑いを浮かべた。
「
「雅也には関係ない」
「結婚できないマズイ相手だろ? お前まともな相手いなかったの?」
限界。
「――っ!」
びちゃーん。
私は右手にずうっと握っていたグラスの水を雅也に向けてビシャッとぶっかけてやった。
放心した雅也は水を被って髪は濡れてベタッと顔に貼りつき顎から雫が
「あんたって格好悪い男だね。別れて良かった。二度と近寄らないで」
久しぶりのイタリアンだったが水しか口にせずに帰ることになった。
どのみち
私は呆然とする雅也を一瞥して個室をあとにした。
レストランを出てタクシーを拾うために大通りに向かう。道が視界が、涙で揺れる。
くぅっ少し泣けてきてしまった。
期待していたのだろうか?
どこかで私は『妻と別れるから結婚しよう』とか言ってもらえると思っていたんだな。雅也があんな風にいう男だった事があまりにもがっかりで愛した事が情けなくって……。
はぁ。帰って、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。