第3話*******

あれからことを済ませて、エヴァンはステラに挨拶をしました。


そして剣を腰に携えて、王都へ向けて旅立ちます。


王都ならば、もっと自分を磨ける、魔族を討伐する部隊に入れると思ったからでした。


しかし、エヴァンはお金を持っていなかったので、王都までの馬車を頼ることはできませんでした。


徒歩で行くには2か月はかかります。


二か月も魔人と戦えないと思ったエヴァンは悔しくなりました。


それでも、エヴァンは進みました。


エヴァンには狩りの知識もサバイバル能力もあり、生活に困ることなく王都を目指していきました。


けれども、ずっと外の生活をしていては心も体も安らぎません。


外には魔物がいるので、ずっと気を配らなければならなかったからです。


なので、村を辿って王都へ行こうと考えました。


剣術や体術の修業も忘れてはいませんでした。


父を感じられるものでもありましたから。


目の前に現れた魔物は全て剣で狩っていきました。


そして、次の村が見えてきました。


けれど、その村は既に蹂躙されていました。


エヴァンが村を回っていると魔人がいるのを見つけました。


エヴァンの顔は歪んでいました。


その顔は笑っているかのような、酷く憎んでいるかのような。


エヴァンは迷わず斬りかかりに行きました。


相手の数も把握せずに。


そうはいっても、エヴァンは適当に剣を振ってはおらず、今まで積み重ねてきた形で魔人を次々に斬り倒していきました。


この村の最後の魔人を斬り終えたと思った頃、足音が近づいてきました。


その方に振り向くと、まだ一人魔人がいました。


エヴァンはすぐに斬りかかろうとしましたが、今度はその場で止まって相手の出方を窺いました。


その魔人は、今までの魔人とは何かが違うと直感が訴えたからでした。


待っていると、魔人の方から動きました。


火の玉を複数飛ばしながら、持っている槍を構えて距離を詰めてきまた。


火の玉はエヴァンの視界を埋めるように放たれました。


エヴァンはさっき斬り捨てた魔人を火の玉目掛けて投げつけました。


火の玉は魔人に当たると爆ぜて黒煙を立ち上げました。


他の火の玉が両脇を過ぎるのと同時に、槍先が黒煙から姿を現しました。


魔人が槍を一刺し、しかしそれをエヴァンは剣でいなしました。


それからすぐに剣を横に薙ぎ払いました。


剣は黒煙を斬りました。


けれど、そこに魔人の姿はありません。


魔人の姿を追おうと周りを見渡しますが、どこにもいませんでした。


まさかと思い上を向いた瞬間、視界が暗くなりました。


魔人は跳んでエヴァンの真上にいたのです。


エヴァンは反射的に一歩下がって、なんとか上空からの攻撃を避けました。


そして、エヴァンは着地の硬直を見逃しませんでした。


魔人が着地した瞬間に踏み込んで剣を突き刺します。


しかし、同時にエヴァンは右肩に痛みを感じました。


見ると、魔人の鋭利な爪が刺さっていたのです。


エヴァンは魔人を蹴りつけて剣と自信に刺さった魔人の爪を抜きました。


魔人は地面に横たわり、もう動きそうにありませんでした。


エヴァンは悔しくて堪りませんでした。


自分は弱い、そんな思いが更に押し付けてきたのです。


エヴァンの心は蝕まれていきました。

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