牢
そう思う頃に、この世で最も退屈な場所に辿り着いてしまった。
毎日、辞めてやろうと思う。大体どうしてひとつの部屋に40人も人を集めて勉強する必要があるのか。
家での自主学習で十分なのに。
決して、自分は教師よりも頭がいいとか、そんな子供じみたことを考えているのではない。
他人に教わるより教科書や参考書から直接学ぶ方が何倍も効率が良いだろう。
しかし親やら担任やらが、いやに僕を気にするから中退は切り出せない。面倒ごとは嫌いだ。仕方がないので、僕自身が大人になるまでは従順な葦でいるつもりだ。
一学期のはじまりだというのに、冬服の内側を不快に湿らせるほど、太陽が真っ白な歯を見せてこちらを向いていた。
よく分からないくらい長い階段を昇る。
僕の所属する2年2組の教室は最上階の4階なので、更に昇る。
毎朝、2階と3階の間の踊り場のところで、やっぱり家に帰りたい、と思う。今日も思った。
しかしやはり僕にかまう大人の顔が、おでこの裏に貼りついてくるような感覚に襲われ、僕の脚筋はのっそりと稼働を始める。
来る道で貯めた山程の鬱憤を一気に飲み込んで苦しくなりながら、薄汚い階段を踏み締める。
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