また会う約束

 それから、二人でベンチに座ってたくさん話した。昔の想い出話とか、最近あったこととか...本当にたくさん。


「そういえばさ、なんで私だって分かったの?」

 ずっと気になってたことを聞いてみた。するとつばさくんは「なんでだろう.....」って。

 見つけてくれた本人も、理由は分かってないみたいで...。


「分かってなかったんじゃん。」

 あ、懐かしい...この感じ。私が大好きだった、どうでもいい会話を延々と続けるような...そんな感じ。


「えー、あっ...強いて言うなら背格好?それ以外はほぼ勘。」

 まぁ、確かに身長は四年前とほとんど変わってないけど、それだけで私だと確信したのはすごいと思う。本当にキセキ。


 つばさくんに「でかさ、自分は本当に分からなかったの?」って聞かれたけど、ホントのホントに気づかなくて.....。あの時と比べて声も少し低くなっていて、身長なんかはかなり伸びていたから声をかけられた時は正直、少し怖かった。


「気づいてなかったのね。」

 私が答えずに黙っているとつばさくんは、くすっと笑ってそう言った。


 一緒に居るだけでほっとする。私にとってつばさくんの存在はやっぱり他の誰よりもきっと大きいものなんだろうな...今日久しぶりに会って、話して改めてそう思えた。

 私はまた昔のことを思い出していた。でも今度は思い出しても、苦しくなんかならなかった。



「おーい、さっきから何ぼーっとしてんの?」

 苦しくならいのはきっと、つばさくんがいるからかな....って思った。


「べつに....昔のこと思い出してただけだよ。」

 あぁ...この時間がずっと続けばいいのに。


「なぁ、また星見に行こうよ。」

 つばさくんはまた星のことを話してくれた。

「もう小学生じゃないんだからこの時間起きてても別に平気でしょ?」って。

 嬉しかった。昔は断ってばかりだったけど、また誘ってくれた。


「うん、今度は絶対行こうね。」

 もちろん、私はちゃんと返事をした。今度は断らずに。


「うん、絶対な?」

 つばさくんはそう言って、また笑ってくれた。


 君のいない四回目の冬の始まりは、君にまた会えた.....いつもより暖かい、そんな日だった。


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四回目の、冬。 七瀬モカᕱ⑅ᕱ @CloveR072

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