小さなキセキ

「うぅ.....寒い。やっぱりお風呂入る前にココアもう一回飲も。」

いつもなら、太るからと一日に一回だけ飲んでいたけれど、まぁ今日は.....と自分を甘やかすことにした。


足に力を入れて転けそうになるのを堪えて立ち上がる。公園の出口の方へ歩いているとすと、ポツンと一人ブランコの前に人がたっているのが見えた。こんな夜中に、誰だろう.....と思いながら出口に向かって歩いてい。

ちょうど、シーソーの前でその人とすれ違った。

その時.....。


「ねぇっ!」

男の人に声をかけられた。

「はい......何ですか?」と振り返って答えると、男の人は「やっぱり。」と一言。

私は何が何だかさっぱり分からず、その人の方をただただ見つめる事しかできなかった。


「つばさ、だよ。四年前に引っ越してった。」

びっくりした....夢かと思った...いや、もしかしたら本当に幻覚が見えているのかもしれない。さっきあれだけ泣いてしまったし.....このところ心が沈み気味だったし。もし、幻覚なのだとしたら本当によくできた幻覚だ。

現実かどうかを確かめる為にほっぺたを思い切り抓る


「いっっ......」

痛い。どうやらちゃんと現実だ。本当なんだ...本当につばさくんが帰ってきたんだ.....。

「なに、どしたの。」

ぼーっとしている私を見てつばさくんが問いかける。私が、「幻覚だと思ったから、確かめてた。」と答えると「なに、どんだけ病んでんの?」って大笑い。

「ちょっと!今夜中だよ!!近所迷惑!」って言ってる私も本当は今、叫びたいくらい嬉しいんだけど。


「ねぇ、久しぶりに会ったしさ......ちょっと話そう?今大丈夫?」

こういう優しいとこ、全然変わってないなぁ....ってまた嬉しくなって、自然と表情も柔らかくなる。


でも、不思議なことがひとつ。つばさくんは何時私だって確信....というか、私かもしれないって思ったんだろう。

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