第5話 2020年クライマックス

 2020年7月10日

 ソガメ・キョウコの仇は必ずとると、俺は死神に誓った。彼女となら楽しい新婚生活が送れそうだった。

 あの事件の関係者は探偵のウガジン・シンイチ、ナースのバンザイ・エミリ、メガ・マサハル、船医のチョッキ・ゲン、キョウコの宿敵、ソゴウ・リョウコの5人だ。

 

 ニューヨーク市は、アメリカ合衆国北東部、ニューヨーク州の南東部に位置し、ワシントンD.C.とボストンのおよそ中間にある。ハドソン川の河口に当たる。ハドソン川は、天然の港に流れ込み、さらに大西洋へつながっており、街の交易都市としての発展に貢献してきた。ニューヨークの大部分は、マンハッタン、スタテンアイランド、ロングアイランドという3つの島の上にあるため、陸地面積が狭く、人口密度が高い原因となっている。


 ハドソン川は、ハドソン渓谷を通ってニューヨーク湾に流れ込み、河口はニューヨーク市とトロイ市の間の三角江となっている。またハドソン川によってニュージャージー州とニューヨーク市が隔てられている。イースト川(実際には海峡)はロングアイランド湾から流れ、ブロンクスおよびマンハッタンと、ロングアイランドとを隔てている。ハーレム川(実際にはイースト川とハドソン川をつなぐ海峡)は本土の一部であるブロンクスと、マンハッタンとを隔てている。


 市の地形にはかなり人の手が加わっている。オランダ植民地時代から、川岸に沿って大規模な埋め立てが進められたためである。埋め立てがもっとも進んだのはロウアー・マンハッタンであり、1970年代から1980年代にかけてバッテリー・パーク・シティの開発が行われた。自然の地勢は、特にマンハッタンにおいては平坦にならされた。マンハッタンはもとは丘の多い地形で、非常にしっかりとした岩盤(マンハッタン片岩)が地下にあるため、超高層ビルの建設に適した地形である。


 市の総面積は1,214km2、うち水面面積は425km2、陸地面積は789km2である。標高がもっとも高いのはスタテンアイランドのTodt Hillの124.9メートルであり、これはメイン州以南の東海岸の中で最高地点である。その頂上付近は、スタテンアイランド緑地帯(英語: Staten Island Greenbelt)の一部をなし、ほとんど森林に覆われている。


 ケッペンの気候区分によれば、ニューヨーク市の気候は温暖湿潤気候(Cfa)である。日照のある日(晴れまたは一時曇り)は年平均234日ある。0℃等温線を基準とすると、温帯湿潤気候に含まれる大都市としては、北アメリカの中では最北に位置する。


 夏期は一般に高温・湿潤で、平均最高気温は26 - 29℃、平均最低気温は17 - 21℃ である。32℃を超える日は年平均19日ある。冬は寒く、陸から海へ吹く卓越風により、大西洋の影響は限定されているが、それでも大西洋の存在により内陸北アメリカの同緯度の都市(シカゴ、ピッツバーグ、シンシナティなど)に比べれば温暖になっている。もっとも冷え込む1月の平均気温は0℃であり、零下になる日は年平均75日、また零下15℃を下回る日は年平均1日ある。春と秋の気候は変わりやすく、肌寒い日から暑い日まであるが、おおむね湿度は低く、快適である。


 年平均降水量は1,180ミリで、季節による降水量のばらつきは少ない。年平均積雪量(積雪の深さ累計)は71センチであり、それほど多くはないが、年によってはノーイースターと呼ばれる爆弾低気圧により積雪50センチを超えるような大雪となることもある。ハリケーンや熱帯低気圧は少ないが、まったくないわけではない。


 ニューヨークの気象観測露場は緑豊かなセントラルパーク内のベルヴェディア・キャッスル付近に置かれており、ヒートアイランドの影響は比較的少ない。

 

 2020月7月15日

 ニューヨークの昼下がり、女鹿雅治率いる強盗団は、周到に練られた完璧な作戦で現金輸送車から麻薬カルテルのマネーロンダリング請負人であるキースの保有する無記名証券を奪取する。

 しかし、その際に新参のヴァネッサが警備員を射殺。止む無く女鹿は他の警備員も口封じのため射殺してしまう。女鹿は些細なことで警備員を射殺したヴァネッサを始末しようと考えるが、一瞬の隙を突いて逃げられてしまう。

 

 一方、捜査を担当することとなったニューヨーク市警察のエドガー警部補は、わずかな手がかりから強盗団のメンバーであるオーガストを割り出すことに成功する。部下たちにオーガストの行動確認を命じ、オーガストと接触する強盗団のメンバーらしき男たちを一人ずつあぶりだしていった。エドガーはリーダー格の女鹿に注目し、執拗に追及していく。


 エドガーの仕事への執念は異常であり、その家庭生活は破綻寸前のところまで迫っている。2人目の妻であるアシュリーは薬物に依存していた。


 2020年7月20日

 女鹿はキースに証券の買い取りを持ちかける。しかしキースは殺し屋を交渉の場に差し向けた。女鹿らは殺し屋を射殺、キースに宣戦を布告する。


 女鹿はプロの犯罪者として、いかなる状況でも高飛びできるようにするため、私生活の全てを封印していた。ところが、そんな彼の元に白茉優という若い女性が現れ、瞬く間に恋に落ちる。そして、女鹿は次の仕事を最後に足を洗い、彼女と共に中国へ移住することを決意する。


 エドガーは揺さぶりをかけるため、女鹿に話しかけコーヒーに誘う。コーヒーを飲みながら身の上話をするエドガーと女鹿は、お互いの存在に不思議な共感をおぼえる。対極に位置する存在でありながら、どこか似通った部分がある。だが、敵同士の彼らは、次に会った時は必ず殺すと宣言した。


 やがて、女鹿らはラスト・ビジネスである銀行襲撃を実行に移す。警報装置を全て切断し、完璧な計画は成功するかに見えた。だが、予期せぬタレコミによって、エドガーらNY市警が銀行に急行。白昼のダウンタウンで、想像を絶する凄絶な銃撃戦になってしまう……。


 ⚾

 2020年7月25日

 左部憲一は、かつて超高校級選手として読売ジャイアンツからドラフト1巡目指名を受けたスター候補生だった。スカウトの言葉を信じ、名門京帝大学の奨学生の権利を蹴ってまでプロの道を選んだ左部だったが、鳴かず飛ばずの日々を過ごし、さまざまな球団を転々としたのち現役を引退。スカウトに転身し、第2の野球人生を歩み始める。


 2020年7月30日

 目直政、真栄田祐樹、野呂敦彦の3選手のフリーエージェント移籍が確定的となった。この時、読売ジャイアンツのGMに就任していた左部は、2021年シーズンに向けて戦力を整えるべく補強資金を求めるも、資金に余裕の無いオーナーの返事はつれない。


 2020年8月1日

 トレード交渉のために中日ドラゴンズのオフィスを訪れた左部は、ドラゴンズのOB、豊川哲郎に出会う。豊川は各種統計から選手を客観的に評価する『スカウザー』を用いて、他のスカウトとは違う尺度で選手を評価していた豊川の理論に興味を抱いた左部は、その理論をあまり公にできず肩身の狭い思いをしていた彼を自身の補佐として引き抜き、他球団からは評価されていない埋もれた戦力を発掘し、低予算でチームを改革しようと試みる。


 ⛽

 サンフランシスコ……ガソリンスタンドで働きながら平穏な日々を送る俺は、深夜は行きつけのバーでの読書が日課となっていた。そのバーには同じく常連で、娼婦のヴァネッサがおり、言葉をかわす内に奇妙な友情が芽生えいく。歌手になる夢を持つヴァネッサは、娼婦の仕事に嫌気がさしていたが、やがてヴァネッサは自分に暴力を振るった客に反撃して傷つけてしまう。

 客が苦情を入れたため彼女は、マフィアのキースから見せしめに、あわや失明寸前になるほどの激しい暴力を受けICU送りとなる。彼女の入院を知り、その悲惨な姿をガラス越しに見た俺はキースらのいる一室に赴き、9,500ドルを提示して彼女を自由にするよう申し出るが、キースは無下に断り、これからも彼女を搾取すると言い放つ。

 彼らのあまりの非人道ぶりに、ある決意を持った俺は素直に引き下がる素振りを見せた直後に振り向くと、瞬時に彼らの手にしている武器や、全員の位置関係や狙いどころを目視でシミュレーションし、キースを含め、その場にいたギャング5名を、ステゴロで全員殺害する。


 事件を受けて女鹿は、部下で解決屋のオーガストをサンフランシスコに派遣する。頭脳明晰で戦闘能力も高いオーガストは、暴力と情況証拠による推理ですぐにウィルソンを割り出す。


 直接会っても尻尾を出さないウィルソンを犯人だと確信するオーガストであったが、襲撃は失敗し、彼の経歴を洗っても正体もわからず、オーガストはますますウィルソンに興味を持つ。一方、ウィルソンの正体は元CIAの凄腕エージェントであり、妻の死を受けて引退した過去を持っていた。また、オーガストが元CIAの難敵であること、また一部のNY市警の刑事が彼らに加担していることを知る。

 

 2020年8月5日

 ウィルソンは手始めにマフィアと癒着する汚職刑事のカーティスを脅し、サンフランシスコにおける女鹿のマネーロンダリングのアジトを壊滅させる。さらにウィルソンは次々と女鹿の拠点を破壊し、彼らの西海岸における活動自体が危ぶまれるほどの事態となる。また、カーティスが自己保身のため担保していた政財界の黒い関係のリスト(USBメモリ)も押収し、その内容はFBI捜査官を通じて世に知られることとなる。女鹿から叱責を受け、後がないオーガストは戦力をかき集め、ガソリンスタンドの店員を人質に取って、ウィルソンを港へ誘き出す策に出る。


 俺はオーガストを出し抜いて人質を救出すると、逆にガソリンスタンドで彼らを待ち受ける。ガソリンスタンドを舞台に、オーガストたちは成す術なく皆殺しにされる。更にその3日後、俺はロサンゼルスの女鹿の屋敷に潜入すると、プールに入っていた彼をスタンガンで感電死させた。


 後日、サンフランシスコで再び平穏な生活を送る俺にヴァネッサが声を掛けてくる。傷が癒えた彼女は、俺から受け取った1万ドルを元手に真っ当な生活を送っていた。

 夜、俺はいつものバーで本を脇に起き、自らが出した広告に助けを求める人からの連絡を待っていた。

 ポンッ♪✉

 新たなメールが届いた。


 🎥

 株の大暴落で心身を消耗したかつての名演出家クラークは、新作のミュージカル『ブラックニューヨーク』を最後の花道として大ヒットさせることに全てを賭けていた。オーディションでダンサーが選ばれ、さまざまな人間模様が生まれる中、クラークの厳しく情熱的な指導による練習が続く。そしていよいよフィラデルフィアのプレミアを控えた前日、主演に起用されていた女優アシュリーが、身から出た錆によって足に怪我をしてしまう。アシュリーの代わりに急遽抜擢されたのは、コーラスガールとして参加していた新人、イワナだった。イワナはクラークとの一対一の猛特訓の末、アシュリーの励ましも受けて見事舞台を成功させ、新しきスターとなった。


 🔫

 ニューヨーク市警察本部薬物対策課のエドガー刑事。彼は薬物捜査のベテランだが、捜査のためならば強引な手法も厭わない。

 

 🍸

 麻薬の売人を逮捕したある夜、エドガーは相棒のケインと共にナイトクラブ『テセウス』に飲みに出かける。そこには有力マフィアの組長たちが妻同伴で来店していた。その際、組長夫妻たちと共にテーブルを囲み、札びらを切っている若い夫婦がいた。不審に思ったエドガーとケインは、その夫婦を捜査する。


 🍞

 夫婦は、表向きはブルックリンでパン屋を営んでいるが、夫のコーディーは強盗事件などで何度か捜査対象になるなど、犯罪やマフィアに近いところにいた。工員、ピザ屋などに偽変しながら夫婦を視察下に置くエドガーとケイン。すると、夫のコーディーがニューヨークの麻薬取引の元締めで大物マフィア・カーティスの舎弟であることが判明した。また、コーディーは近いうちにメキシコとのヘロインの大口取引を任されるという。


 🎄

 財務省麻薬取締部の捜査官たちと捜査を進めると、マルセイユの黒幕のフランシスコ・カラスがニューヨークを訪れていることが判明する。カラスは、リンカーン・コンチネンタルに麻薬を隠して密輸しようとする。カラスを執拗に追及するエドガー。カラスはこれ以上追及の手が迫ることを恐れ、殺し屋サイモンをエドガーのもとへ差し向ける。

 ニューヨークはクリスマスムードで粉雪が舞っていた。

 

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