第4話 EAGLE

 2020年5月20日

 俺は今まで会った人間を頭の中で整理していた。

 ウガジン・マサノリ ウガジンブラザーズ兄

 タナカ・タカシ

 ユキ・アツシ

 ムシャ・ヒロシ

 ウガジン・シンジ ウガジンブラザーズ弟

 カサ・カンジ

 オカエリ・シズエ(ムカデ・サトミ)

 サザナミ・アキラ

 ライス・マサアキ

 ワジキ・マサオミ

 タオ・ジュン

 ガマン・ヨウスケ

 イヌマキ・ユウジ

 セイヤ・マサキ

 チシキ・タクヤ

 ドロ・シズカ


 俺はデンマークにやって来た。

 海岸でアスピドケロンって怪物に遭遇した。北欧に伝わるクジラに似た海の怪物である。ギリシア語で「蛇亀」(ασπίς「ヘビ」+ χελώνια「カメ」)を意味する。別名、ファスティトカロン(Fastitocalon, 「大洋の流れに浮かぶもの」)。

 クラーケンにも似ており、巨大な海亀や魚のような姿をしており、背中に苔をはやし、浮島のように移動するといわれる。


 中世のヨーロッパでは、海のただ中に浮かんでいたアスピドケロン(アスピドケローネ)を島と誤認して上陸した船乗り達が焚き火を始めたところ、アスピドケロンが目を覚まして海中に沈み、船乗り達は脱出が間に合わず溺死したりした、という噂が信じられていたという。

 元来の臆病基質な俺は一目散に逃げた。


 富豪の令嬢、浮気明菜は、プレイボーイのパイロット・襲田秀俊との結婚を父親に反対されていた。向こうっ気の強い娘に業を煮やした父親、浮気洋一は明菜を海上に浮かぶヨットに監禁してしまう。 

「俺のやり方に従えないのか!?」

 そのやり方にいよいよ反発した明菜はヨットから海へとダイブし脱出に成功、マイアミからニューヨークに向かう夜行バスに乗り込んだ。


 そこに乗り合わせたのが、上司とウマが合わず失業中の新聞記者、七五三甚八。ほんの些細な勘違いから二人は座席を争って大げんか、互いの第一印象は最悪であった。明菜がゴシップ欄をにぎわせている令嬢だと気付いた甚八はスクープを狙うが、2人を乗せたバスは大雨で立ち往生、明菜と甚八は乏しい持ち金をやりくりして、新婚夫婦と偽ってモーテルの一室に泊まることになる羽目に。女の貞操と男のメンツを保つために、甚八は部屋の真ん中にロープを張り毛布を掛ける。


 所持金も少なくなり、乗客の中には明菜の正体に気づいてよからぬ企みをする者もあらわれたので、2人はバスを降りてヒッチハイクをしながらニューヨークを目指すことに。苦楽を共にしながら、お互いに魅かれあうが意地を張って素直になれない。ようやくニューヨーク近郊のモーテルまでたどり着いた夜、明菜は甚八に恋心を打ち明ける。だが甚八は無一文で彼女と結婚するわけにはいかないと思い、夜中に明菜を残してひとりモーテルを出た。2人の旅行記を新聞社に売って資金にするためだったのだが、翌朝目覚めた明菜は彼に捨てられたと早合点し、父親に連絡をとった。


 明菜は半ば自暴自棄で秀俊と結婚することになり、その知らせを聞いた甚八は憤る。結婚式の当日、甚八は浮気洋一の元を訪ねて、今回の珍道中のわずかばかりの経費を請求する。その態度を気にいった洋一は、甚八が本心では明菜を愛していることを問いただすそして娘の明菜にも、結婚への迷いと甚八への愛情を自覚させるのだった。

「人生は自分で切り開くものだ」

 父親の助言を受けた明菜は、バージンロードの途中で逃げ出して、甚八の元へと向かう。満足顔の洋一は、秀俊に慰謝料を払い、結婚を白紙に戻した。


 モーテルでの新婚初夜、明菜と甚八を隔てていた『壁』はめでたく下ろされたのであった。


 2020年5月21日

 俺はバーでシメカケ・ジンパチのおのろけ話していた。🍹

 他人の恋愛話ほど退屈なものはない。

 俺は2か月前に死去した老婦人アーソリンが差し出した手紙を受け取るが、奇妙なことにその手紙は彼女の死の半月も前の日付が書かれていた。命に危険が迫っていることを示唆する内容と、手紙が差し出された経緯に疑問を抱いた俺は、婦人の死の真相究明に乗り出す。彼女が死の直前に作り直した遺言書には家政婦に全財産を残すことが記されていたため、遺族の憤懣と関係者の疑念が満ちる中、彼女の愛犬であった「もの言えぬ証人」こと白いテリア犬のアーヴィングは何かを語ろうとしていた。

 オーストラリアに怪物が現れたとニュースでやっていた。

 イピリアって怪物で、オーストラリアの先住民アボリジニが崇拝していた精霊である。

 髪の毛と髭があり、虹色に輝く巨大なヤモリの姿をしており、いつも沼の底で眠っているが、 一年に一度だけ沼から這い出し、草と水で腹一杯になると、今度は腹の中のものを一気に空に吹き上げる。 それが雨雲と変わり、大地に大雨を降らし、雨期の到来を告げ、大地に豊穣を齎す(もたらす)と伝わる。アボリジニの人々は、雨雲と共に訪れる雷鳴はイピリアの鳴き声であると考えていた。 イピリアの棲む沼は神聖な聖域で、人間が足を踏み入れると、乾季が終わらなくなると言われており、イピリアの生息する沼に立ち入る事は禁忌とされている。


 また、宇都宮にはウロボロスが出現したらしい。

 ウロボロスには、1匹が輪になって自分で自分を食むタイプと、2匹が輪になって相食むタイプがある。2匹のタイプの場合、1匹は何も無い素のままの姿だが(王冠を被っているタイプもあり)、もう1匹は1つの王冠と1対の翼と1対の肢がある。


 ヘビは、脱皮して大きく成長するさまや、長期の飢餓状態にも耐える強い生命力などから、「死と再生」「不老不死」などの象徴とされる。そのヘビがみずからの尾を食べることで、始まりも終わりも無い完全なものとしての象徴的意味が備わった。


 古代後期のアレクサンドリアなどヘレニズム文化圏では、世界創造が全であり一であるといった思想や、完全性、世界の霊などを表した。

 錬金術では、相反するもの(陰陽など)の統一を象徴するものとして用いられた。

カール・グスタフ・ユングは、人間精神(プシケ)の元型を象徴するものとした。

他にも、循環性(悪循環・永劫回帰)、永続性(永遠・円運動・死と再生・破壊と創造)、始原性(宇宙の根源)、無限性(不老不死)、完全性(全知全能)など、意味するものは広く、多くの文化・宗教において用いられてきた。


 2020年6月1日

 俺は麻薬王ツクモ・マコトの弟が仕切る麻薬工場(アジトはサンフランシスコにある)の襲撃作戦でツクモの弟を射殺することには成功するがまたもや命令違反を犯す。一方、ツクモのアジトにもSWATが踏み込もうとするがツクモが雇った元ネイビー・シールズのアーク率いるアメリカ人傭兵団によって阻まれ、皆殺しにされてしまう。


 放逐されかけた俺は上官イーサンの判断で特殊部隊『イーグル』に配属される。『イーグル』は大規模な軍事演習に参加し、俺はそこでも元上官である相手の指揮官を倒すなど活躍するが、演習途中に突然アーク率いる傭兵団が俺の分隊を襲撃。演習用の装備で碌な応戦もできず、仲間が1人殺害されてしまう。ツクモは生物兵器密輸の囮と弟を殺されたことへの復讐も兼ねて、アークらに俺を襲わせたのである。さらに、ツクモこそがアーソリンを殺した真犯人であることが明らかになる。


『イーグル』のブリーフィングルームのアラートがなった。怪物が出現したらしい。エアレーって怪物だ。

 エアレー(英語:Yale, ラテン語:Eale, フランス語:Centicore)は、エチオピアに生息すると言われたヨーロッパの伝説に登場する、牡ウシに似た想像上の生き物である。

 エアリー(Yali)、ジャル(Jall)とも呼ばれ、フランス語ではセンティコア(Centicore)と呼ばれる。イノシシの牙と、どの角度にも向きを変えられる2本の非常に長い角を持っている。


 エアレーの名前の由来はヘブライ語の「ヤ・エル」(ya-el, 「山のヤギ」)から来ていると言われる。他にも自由に動かせる角からギリシア語の「エアレン」(εαλην, 「押し返すこと」)から来たとも言われる。ジャル(Jall)は最初の j が中世の i の形で読まれ、ドイツ語の y のように発音されたことから来ていると言われる。

 エアレーは様々な姿で描かれるが、主な形態は黒あるいは黄褐色のアンテロープまたはヤギのような体で、大きさはウマあるいはカバぐらい。多彩色の斑点を持ち、イノシシあるいはゾウの尾と大きな牙を持つ。そして、どの角度にも自由に動かせる二本の非常に長い角を持っている。戦いの時は、片方の角を前に伸ばして戦い、もう片方の角は後ろに向けておくという。それで、戦っている方の角が傷付くと、もう片方の角と入れ替えるという。中世ヨーロッパの動物寓意譚によるとバジリスクはエアレーの敵で、眠っているエアレーを見つけると目を刺し、張り裂けるまで膨らませるという。


 エアレーの形態はインドのスイギュウから来ていると言われる。インドのスイギュウは脅えると角を代わる代わる前に動かすことが出来るとされていたからである。

  

 2020年6月10日

 東武ファンキーズのゼネラルマネージャー・九石は、中国人野手のリーを見出し、彼をチームに迎え入れる事を決める。


 コロナの影響で差別が激しく、彼の入団は球団内外に大きな波紋を巻き起こす。リーは他球団はもとより、味方であるはずのチームメイトやファンからも差別を受けてしまい、孤独な闘いを強いられる。しかし相手球団の監督の罵倒や危険球に耐え、必死にプレーする彼の姿が、やがてチームメイトや観客の意識をも変えていく。

 

 2020年6月22日

 パリで怪物ガーゴイルが暴れはじめた。

 ガーゴイル(英: gargoyle)は、雨樋の機能をもつ、怪物などをかたどった彫刻である。単なる雨樋単体や彫刻単体ではガーゴイルとは呼ばない。本来の意味である彫刻としてのガーゴイルは、主として西洋建築の屋根に設置され、雨樋から流れてくる水の排出口としての機能を持つ。


 フランス語ではガルグイユ (gargouille)、イタリア語ではドッチオーネ (doccione)、ドイツ語ではアウスグス (Ausguss)、ヴァッサーシュパイアー (Wasserspeier)、中国語では石像鬼(シュシャーンコイ)という。日本語では樋嘴(ひはし)ともいう。


 英語のガーゴイル(英: gargoyle)はフランス語のガルグイユ(仏: gargouille)に由来する。原義は「のど」(ラテン語: gurgulio)であり、その近縁語は、水が流れるときのゴボゴボというような音を表す語根 gar から派生している(例: 仏: gargariser、英: gargle〔うがいをする〕)。


 動物の姿をした石造りの雨樋は古代からあるが、中世ヨーロッパの聖堂建築には、もともと雨樋はなかった。しかし、13世紀に盛んに建設されたゴシック建築の大聖堂は、高く勾配の急な屋根を特徴としており、雨水が勢いよく流れ落ちるようになっていた。そのため、雨水が壁面を濡らして漆喰を侵さぬように、外壁から離れて水を落とす吐水口が必要となった。

 それはたんなる水落としではなく、グロテスクな動物や怪物の姿に造形され、その口から水を吐き出すようにできている装飾的な雨樋であった。19世紀の建築家ヴィオレ・ル・デュックによると、大聖堂にガーゴイルを設置した最初の例は1220年頃のラン大聖堂のものであるが、それは素朴ながらすでに動物の頭部を模したものであった。その後、ガーゴイルは次第に洗練度を高め、より複雑に装飾的になっていった。


 2020年6月25日

 大富豪の娘、十亀京子はウィルソンと婚約していたが、何事も自分の思い通りにしたがる性格のため、結婚に躊躇していた。ある日、親友の十河涼子がやってきて、自分の婚約者が失業中のため、京子の屋敷で雇って欲しいと頼んでいった。そして後日その婚約者である女鹿雅治を連れてきたところ、京子は彼に一目惚れしてしまい、涼子から奪うようにして結婚してしまった。


 2020年7月5日

 エジプトに新婚旅行に出た京子らは、しつこくつきまとってくる涼子にいらだたされる。

 偶然エジプトに来ていた宇賀神真一は、京子から頼まれて涼子をたしなめようとするが、彼女は全く聞き入れないどころか、小さなピストルを取り出して、これで京子を撃ってしまいたくなる、と言った。


 京子らは涼子から逃げるようにしてナイル川を遡る観光船に乗り込んだが、そこにも涼子の姿があった。そしてある晩、展望室で事件が起こった。泥酔した涼子が女鹿と口論になり、涼子が女鹿の脚を撃ってしまったのだった。船医の一寸木源が女鹿を介抱し、ヒステリーを起こした涼子を看護婦の万歳えみりが部屋に連れて行った。


 そして次の朝、京子が部屋で死んでいるのが発見された。寝ている間に頭を撃たれたのだ。凶器は涼子が持っていたピストルらしいが、そのピストルは展望室での事件の後、どこかへ行方不明になっていた。しかも涼子が夜中に部屋を出なかったことは万歳えみりが証言している。では、いったい誰が京子を殺害したのか? 船上の殺人事件に、名探偵宇賀神真一が挑む。


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