第13話 結婚式とローズの計画

「マクシミリアンさん、あなたは今リリアさんを妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています」


「汝健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合い、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」


 駄目だ、厳か過ぎる、こういうのちゃかしたくなるのだが、そういう雰囲気ではない。



「はい、誓います」





 シャーリンの大教会枢機卿、が大公屋敷の大広間前に立ち、結婚の儀式を行っていく。





「リリアさん、あなたは今マクシミリアンさんを夫とし、神の導きによって夫婦になろうとしています」


「汝、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合い、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」



「はい、誓います」





 僕達は、ドラグとミントちゃんの結婚式後、一緒に移動する人もいるので、特別列車を仕立て、大公屋敷まで移動してきたのだ。なので、ピノに、ジョイ、そして、ドラグ。あっ、一応帰れっとは言えないから、そのまま、ナッツ君とヨシュア君も参加してもらった、その他にリリアちゃんのお友達の、ミントちゃん、ベルちゃんに、フォルちゃん。



 そして、それ以外の参加者も各地からわざわざ、足を運んでくれた。錬身流の先輩、後輩。僕の家臣団、に先生方。そしてロゼリアさんや、メイリンさん。



 そして、神聖トゥルク国の一族や家臣団、弟の現領主ダンテ=フォン=アルフォルス公爵や、元宰相で現家宰のイドリスさんの姿も見えた。



 リリアちゃんの親族席にはローズ先輩や、カタリナさんもいる。良かった皆出席してくれたようだ。






 そして、披露宴が始まる。十公だとか、ホルス一族とかが参加したがったが、断ったので、とてもすっきりとした結婚式になった。という訳で、挨拶は、



「主賓のご挨拶を頂きます。まずは、新郎、新婦の学校の部活動で、指導されておられました。錬身流開祖でもあります。マスターゴーラン様から、御言葉を頂戴いたします。マスターゴーラン様、よろしくお願いいたします」


「う、うむ」



 珍しく緊張しているようだ。大丈夫かな?


「ほ、本日はお日柄も良く、え、えっと」


 なにやら紙を広げる。あの豪快なマスターゴーランがこんなになるとは、


「マクシミリアン君、リリアさん、このたびはご結婚おめでとうございます。両家のご家族やご親族の皆さまにも、心よりお喜び申し上げます」


 おっ、スムーズになった。



「私、ただ今ご紹介にあずかりました、マスターゴーランです。ええと、マクシミリアン君とリリアさんにとっては、ご紹介に預りました通り、レイリン騎士学校におきまして、部活動ではありましたが錬身流の指導者として、2人に接しました。マクシミリアン君は一応、剣術初心者であり、しかも騎士能力が低いとの事でしたが、我が錬身流は、わしも騎士能力が低いこともあり、いかにして、全身の力を無駄なく活用して、相手を倒せるかに特化した流派です。研究熱心で非常にまじめなマクシミリアン君は、同時に優しくて面倒見の良い性格だったことをよく覚えています。みんなをまとめてくれました。そのときに培ったリーダーシップは、社会に出た今でもきっと役に立っていることでしょう」


「リリアさんは、当初より、マクシミリアン君を慕って、錬身流に入部しました。リリアさんは、騎士能力も高く、剣術も幼い頃から、剣王流を学んでいたこともあり、一歩も二歩も抜きん出た存在でしたが、それに傲ることなく、まわりを気づかい、優しくサポートしてくれる存在でした」



 マスターゴーランが、紙をめくって、話を続ける。



「先ほども話ましたが、リリアさんは、マクシミリアン君を慕って入部し、先輩、後輩の間柄となったのは、今から4年半ほど前のことです。我が錬身流では、春や、夏に合宿がありました。2人の仲はとても良く、2人仲良く裏山に消えていき」



 マスターゴーラン、何言ってんの? そんなことしてないよ。


 と、ガイが珍しく焦った表情で、走っていく。そして、


「マスターゴーラン、それ違います」


「えっ、そうか、えっと、これか?」


 声が、拡声魔導具を通じて響く。



「袋には、3つの玉袋が」


「マスターゴーラン、それも違います!」



 笑い声が響く、何やってんだ? マスターゴーラン。



「おほん、大変失礼しました。これから、マクシミリアン君は、大変な仕事に悩むことがあるかもしれませんが、何事にも前向きなマクシミリアン君ならきっと大丈夫。リリアさんも、優しく見守りつつ、サポートし、支え合い、2人にとって素晴らしい家庭を築き上げてくれると思います。長くなりましたが、おふたりの輝かしい未来をお祈りしまして、お祝いのあいさつとさせていただきます。末永くお幸せに」



 拍手がわきおこる。ふー、いちじはどうなるかと。でも、ありがとうございました。




 その後、イドリスさんが挨拶して、



「えっと、なぜか僕達が、乾杯の挨拶という事で、僕達が付き合い始めたのも、2人のお陰で」


「2人が付き合い始めたのも、私たちのお陰だそうで、そして、わたし達もつい先日結婚式をあげました」


「という訳で、乾杯の音頭を取らせて頂きます。では、乾杯!」


「乾杯!」





 ドラグとミントちゃんの乾杯の音頭で、披露宴が始まった。いろいろな人が挨拶に来た。そして、





「おーう、2人ともおめでとう」


「お姉ちゃん、マックス様、おめでとうございます」


「えぐっ、リリア。ふぐっ、おめでとう。ぐすっ、マックスもおめでとう。ちーん!」


「えーと、マックス様、リリアお姉ちゃん結婚おめでとうございます」


 カタリナさん、リコリスちゃんに、ダンテ君?が挨拶に来てくれた。



「お姉ちゃん、汚い」


「だって、だってさ、あのリリアが結婚だって、ぐすっ。お姉ちゃん、お姉ちゃんってわたしにべったりだったのに。今は男にべったり」


「お姉ちゃん、やめてよ」


「ハハハ、仲良いなローズもリリアも」


「カタリナさんも、今日はありがとうございました」


「いや、こういう機会でもないと、大公領とか自然な形で来れないし。楽しかったよ」


「それは、良かったです。で、ローズ先輩、トゥルク神聖国なんですけど、僕とリリアちゃんの結婚を気に」


「あっ、ちょっと待ってマックス。それに関してちょっとだけ待って」


「ちょっとだけって、いつですか?」


「う~ん、再来年の大公巡行まで」


「なんでですか? 」


「ちょっと考えがあって、あっ、リリアにもちゃんとどういう計画か話すし、手伝ってくれる人もいるし」


「大丈夫なんですね?」


「うん、任せて」



 凄く不安だけど、ローズ先輩にも考えがあるのだろう。リリアちゃんに話すみたいだし、とりあえず、任せてみようかな?







「宴はたけなわではございますが、祝伝が届いております。一部を代読させて頂きます」


「「マクシミリアン卿、リリア殿2人の結婚を祝福する。シルキリア皇帝ルシタリア8世」続きまして、「結婚おめでとう2人の未来に幸あらんことを。ヴァルド王国筆頭騎士剣聖クレスト」…」



 クレストさんまで、祝伝くれたのか、他にも十公会議のメンバーや、宮内卿や、近衛騎士隊長まで、早々たるメンバーからの祝伝だ。







 そして、テーブルを見回す。ドラグとミントちゃんのテーブルでは、珍しくピノが、隣に座った。ベルちゃんと積極的に会話をしている。



「マックスさん、ベルちゃんとピノ先輩良い感じですね」


「ベルちゃんって、ですわって感じで、ピノはちょっとなよっとした感じだけど、大丈夫かな?」


「さあ、どうでしょう? それこそ、神のみぞ知るでしょう。わたしとマックスさんが結婚したように」


「僕は、会った時から運命だって思ったよ」


「それは、わたしもです。愛しております、マックスさん」


「僕もだよ、リリアちゃん」

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