第29話 クリスマス休暇と新しい家臣団
「へー。大公領ですか。行ったことないですね。どんな所何ですか?」
「中心都市のシャーリンは、大きい街だけど、大公屋敷ある所は、特に何もないよ」
「そうですか。まあ、時間あったら、いろいろ見てまわって、良いですかね?」
「ああ、良いよ」
ここは、帝都から出発した軌道列車の車内、特等個室に、僕と、ランドール、ハインリヒ、そして、ジローと、アラン先生で乗っている。
「ジローさん、僕の魔導鎧の研究も付き合ってくれるって言ってたですよね?」
「もちろんです。ハインリヒさん、もし時間が余ったらすよ。余ったら」
「しかし、マックス様、特等個室って始めて乗りましたよ。しかし、家臣まで一緒って申し訳ないですよ」
「アラン先生」
「マックス様、学校以外では、アランとお呼びください。私は、あくまでもあなたの臣下なのですから」
「わかりました。アラン、特等個室は、6人まで寝れるから、その方が効率的だからね」
「なるほど、わかりました。しかし、素敵な部屋だ」
「アランさん、このくらいで感心していたら、大公屋敷行ったら、気絶しますよ」
「ランドールさん、そんなに凄いんですか?
大公屋敷、楽しみですよ」
「そう言えば、リリア様は、御一緒ではなかったのですか?」
「うん、今回はリコリスちゃんが、お世話になっている、叔母様の所行くから、申し訳ありませんだって。来年のクリスマスは、伺いますだって」
「そうでしたか。残念ですね」
僕達は、シャーリンの駅に降り立つ、すると、レオポルドが迎えに来ていた。
「久しぶり、レオポルド出迎えご苦労様」
「いえ、若、このレオポルド出迎えくらい何のことありません」
「マックス、誰、このおっさん?」
「貴様、若に対して何と言う口の聞き方、貴様も若の家臣であろう」
「ああそうだけど、マックスが良いって言ったし。それよりおっさん、あんまり怒ると血圧上がるよ」
「まだ、わたしは、30歳だ、おっさんではない!」
そう言えば、僕に確か8歳くらいから使えてくれて10年。その当時、騎士学校卒業して直ぐに、お祖父様の目にとまったと聞いた。そうか、奥さんも子供もいるし、見た目も雰囲気も貫禄あるからな~。
「俺、24歳。俺の方が若い~」
「貴様、その根性叩き直してくれる!」
ジローを追いかけまわす、レオポルドをなだめて、大公屋敷に戻り、お祖父様、お祖母様に挨拶する。そして、何をしようかな?
屋敷内をふらふら歩いていると、庭でレオポルド達が模擬刀だが戦っているのが見えた。
「レオポルド、何やってんの?」
「これは、若。いえ、新しい家臣も加入しましたし、騎士同士戦って、現在の実力を確認しようかと」
「へー。で、どうだった。アランは?」
「強いです。正直三剣のメッセン殿と互角に戦ったと言う話、頷けます。アランの剣は、道場剣術でなく、戦いの中で、鍛えられた剣。まさに戦うための剣ですな」
「そうなんだ。アラン凄いね。で、幻夢騎士団の強さランキングは?」
「ハハハ。若、はっきり言いますね。そうですな。リグルド様や、ビクター殿、ポルビッチがいないので、そこは憶測になりますが、一番強いのは、アランでしょう。そして、次は、まだ、今の所は、わたしですね。そして、急激に強くなっている。ランドール。魔導鎧完成したら、どのくらい強くなるのか」
「へー。魔導鎧完成するのか?」
「今、ハインリヒとジロー、そして、パナジウム様が集まって、いろいろやってますよ」
「ふーん」
そっちも面白そうだ、後で見に行こう。
「ああそうでした。続きですが、続いて、ビクター殿、そして、リグルド様。エピジュメル、パウロスの大公家の両指南役ですね。最後は、ボルビッチですね」
「そうなんだね。その、ボルビッチにしたって、大公家の騎士団、雷音騎士団の騎士じゃ勝てないもんね。皆、凄いなー」
「何をおっしゃいます。若はそれよりも、さらに強い」
「ハハハ僕じゃない。マキシだよ」
「はあ?」
「じゃあ、僕もちょっと戦いに入らせてもらうよ」
「えっ!」
「ドクター、よろしくね。治療」
「殺さないでくださいよ」
僕は、近くで治療の為に、見守っていた、Dr.メックス女史に声をかけると、戦いに加わった。そして、アランと、向かい合う。
アランは、幻夢騎士団の軍服を来て、模擬刀を2本構える。僕も、少し離れて構える。
「ハッ!」
そして、気合いと共にアランが突っ込んでくる。速い、そして低い姿勢から左に構えた1刀を突き出す。僕が、剣で防ぐと、右手の剣が、アランの横から繰り出される。僕は、慌てて後ろに飛び退く。さらに、スピードを上げ、その動きに合わせて、移動し、連続で斬激を繰り出す。うーん、本当に強い。
僕は、間合いを作る為に、強引に飛び込んで、アランをはね飛ばす。間合いがあく。すると、
「陽炎乱舞!」
本当に、アランは戦いなれている。嫌なタイミングで仕掛けてくる。しかし、
「陽炎乱舞!」
僕も分身攻撃を繰り出す。そして、分身体同士がぶつかり合い。数で上回った。僕が圧倒して、アランが吹き飛ぶ。僕は、追い打ちをかける。そして、
「参りました! いや、強い。マックス様、強い。参りました」
「いや、良い勝負だったよ。また、やろう」
「はっ、よろしくお願いいたします」
「ここの魔導回路なんですが?」
「えっと、これがこっちに接続されて、で、これがこうか。回路が複雑じゃない? もっと、こうやってシンプルにすれば」
「なるほど」
「鎧本体の構造はどうですか?」
「うーん、魔法防御も入っているんすから、もっと軽く出来ないっすかね。こっちでは、あまり取れないようですけど、白銅使ったりだとか。軽くて固くて、ただ燃えやすい。欠点は、白銀と合金にして」
「白銅? 白銀? 扱ったこと無いですわ。早速取り寄せます」
「まあ、この合金が、魔導騎士に使われている、魔導鋼なんすけど。だいぶ軽く出来るっすよ」
「そうね、鎧本体の重さを軽くすれば、魔法の消費効率もさらに、良くなるわね。ありがとう」
ハインリヒ、ジロー、パナは、魔導鎧の改造で盛り上がっている。正直、僕は見てもわからない。面白そうだったが、直ぐに飽きてしまった。さて、どうするか?
「若、若の騎士団幻夢騎士団の結団式的なものをやりませんか? リグルド様も来られ、ボルビッチも帰って来ましたので」
「良いね。そして、その後は、結束力を高める、飲み会やろう」
「はい、畏まりました。それで、若、それぞれの役職を決めてくださいませんか?」
「役職?」
「はい、とりあえずは、適当なのですが。役職があった方がやる気も出ると思いますので。若の直臣も増えましたし。わたしや、ランドール、ハインリヒに加え、アランにジロー。そして、大公家直接ではないという意味には、リグルド様や、ビクター殿も」
「わかった。役職ね。う~んと、レオポルドは、家老ね」
「はい」
「次席家老でハインリヒかな。リグルドは弟だから、総司令官。で、ビクターは、その補佐官。それで、首席騎士でアラン。参謀ジロー。後は、ランドールは次席騎士で」
「良くすらすらと出てきますね」
「イメージだと、家老は、宰相。総司令官は、大将軍で、首席騎士は騎士団長イメージなんだよ」
「そうですか。わかりました。わたしも、今のでイメージできました」
こうして、エピジュメル達兼任騎士も加えて、結団式が開かれたのだが、お祖父様の命令で、大公家より、大公家の兵力の1/3。騎士40名、魔術師8名、兵力10000が、正式に僕の配下として加えられた。
そして、大袈裟になった結団式が行われる。
当主
マクシミリアン=フォン=ローデンブルク18歳
家老
レオポルド=フォン=シュミット30歳
総司令官
リグルド=フォン=ローデンブルク15歳
首席騎士兼幻夢騎士団長
アランチェス26歳
次席家老
ハインリヒ18歳
次席騎士兼幻夢騎士団副団長
ランドール18歳
軍司令官補佐
ビクター45歳
軍参謀
浦田次郎24歳
そして、兼任騎士として
大公家剣術指南役
エピジュメル42歳
大公家槍術指南役
パウロス33歳
大公家魔術師
パナジウム=フォン=キューリー36歳
大公家侍医
Dr.メックス女史27歳
大公家外交騎士
ボルビッチ=フォルスト=ホルス51歳
以上13名と40名の騎士、8名の魔術師。大公家屋敷で開かれた飲み会は、大盛り上がりして、朝方まで続き、お祖父様に怒られた。でも、楽しかった。
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