第11話 港街メーア旅行とリリア

 僕達は、合宿が終わると早朝。馬に乗ってジョスーに向けて出発する。そして、夜、メーア行きの列車に乗り込む。


「到着したら、どうするんだ?」


「メーア到着するのは、早朝だし、ホテル入れないから、朝食事して、観光でもするし」


「荷物持ってか?」


「しょうがないし」






 そして、翌、早朝 メーア駅のホームに列車は滑り込む。ん?。駅のホームに銀色の髪、そして白い肌、スラッとした清楚な美少女が立っている。そして、



「マックス様! お待ちしておりました」



 僕は、荷物を持って列車から飛び降りる。


「リリアちゃん?」


「はい、リリアです」


「いや、どうして、ここに?」


「姉から連絡がありました。マックス様が今日来るから、メーアを案内するようにって」


「そうなんだ。じゃなくて、久しぶりリリアちゃん。元気だった?」


「はい、元気です。マックス様も、お元気なようで良かったです。父の件ではお世話になりました」


「いや、役にたたなくて、ごめん」


「いえ、そんなことありません。それよりも、マックス様のお友達ですか?」



 リリアちゃんが、僕の後ろを見る。そうだった、すっかり忘れていた。


「えっと、レイリン騎士学校の同級生の、右からドラグ、ピノ、ジョイ。で」


「わたしは、リリア=フォン=アルフォンスです。マックス様には、とてもお世話になりました」


「えっと、よろしくリリアちゃん? マックスの友達のドラグ=ジュニア=アルジェヴァリエです」


「僕は、ピノノワール=フォン=クックパルトだし。よろしくですね」


「俺は、ジョレンテ。よろしく」


「よろしくお願いいたします。では、マックス様行きましょう」


「えっ、どこへ?」


「皆さまと観光出来るように、馬車を手配致しました。どうぞ、こちらへ」



 僕達は、リリアちゃんに先導されて歩く。駅を出ると、馬車が停まっていた。リリアちゃんは馬車の扉を開ける。そして、ジョイが乗りこみ、ピノが乗りこみ、そして、ドラグが乗りこむ。僕も馬車に乗りこみ、リリアちゃんに手を差し出す。リリアちゃんは、僕の手をとって、馬車に乗りこんできた。手柔らかい~。



 馬車に前向きにリリアちゃんと共に座ると、目の前には、後ろ向きで、3人が並んで座っている。結構きつそうだ。



「3人並ぶときつそうだぞ。ピノ、こっちこいよ」


「えっと、わかったし」



 ピノが立ち上がり、僕の隣に座る。僕は、ピノと、リリアちゃんに挟まれる感じになった。そして、馬車が、動きだす。


「皆さま、どちらへ泊まられるのですか?」


「ホテルグランドメーアだし」


「グランドメーアですね。わかりました。では、まず、朝食食べて、少し観光してから、ホテルにチェックイン致しましょう」





「あつっ、ほふ、ほふ」


 薄い皮から、熱いスープが流れだし、やけどするかと思った。蒸かしたての小籠包が運ばれてくる。


「あれだね。僕は普通の小籠包が好きだな」


「蟹味噌の小籠包も、美味しいし」


「どれも美味しい」



 リリアちゃんが連れて来てくれたのは、小籠包のお店だ。木で作られた変わった建物の集まった地区にあるお店だ。



 メーアは、海外からの船が到着する。遠く、法術の国々や、魔術の国々、魔神の国々からである。そして、それぞれの国々の商人や、外交官等もメーアに集まることになった。そして、それらの人々が、地区毎に、それらの国々の建物を建てた。その為、僕達にとって、変わった建物が見られる、複数の地区がある。



 僕達は、そのうちの魔術の国々の建物が建っている地区で、食事をしているのだ。小籠包に、酔っぱらい鶏、空芯菜の炒め物に、牛肉麺を食べる。美味しかった。



 食後は、周囲の家を見て回る。池にかかった木の橋や、木の大きな寺院を見学する。




 他の地区も数日かけて見て回った。法術の国々の地区は、騎士の国々と同じく、レンガや、石造りの建物であるが、形が少し違っていてとてもお洒落な建物であり、夜は、灯りで照らしてとても幻想的な雰囲気を出していた。



 僕達は、メーアの街の中央を流れる川の対岸へ船で渡って、その幻想的な夜景を見ていた。いつの間にか、ドラグ達がいない。そばにはリリアちゃんのみ、皆どうしたのだろうか?。それにしても、


「綺麗だ」


「えっ。あっ、夜景ですよね。綺麗ですね」


「素敵な夜景を、素敵なリリアちゃんと見られるなんて、僕は幸せだな」


「あっ、えっと、わたしも幸せです。マックス様って、その上手いですね。その、女性の扱いが、さぞおもてになるのでしょう」


「ん? う~ん、もてないね。何せ中身がポンコツのバカ殿だからね」


「ポンコツではないです!」


「ハハ、ありがとう、そう言ってくれるのリリアちゃんだけだよ」





 また、別の日に訪れた、魔神の国々の地区は、とても密集した、石造りの建物があり、内部は迷路のようになっていて、市場には、変わった品物がたくさん売られていた。シルクと呼ばれるツルツルした生地の織物や、革製品、金細工や、モザイク模様の陶器、変わったスパイス等。


「錬身流の先輩に、お土産買っていこうかな。う~ん、これ面白いかな?」


「面白さしか狙ってないだろ? 何に使うんだそれ?」


「う~ん、じゃこれは?」


「マックス様! 誰のお土産ですか?」


「リリアちゃん、いる?」


「い、いりません! マックス様のエッチ!」


「ハハ、ごめん、ごめん」





 また、別の日にミーアの港に来た。本当にたくさんの船が停泊している。船の形も様々だ。


「あれは、法術の国々からの、船ですよ」


「へー」


 巨大で、大きなマストを3本も持った船だ。


「あっちのは、魔術の国々からの船です」


「へー」


 大きさはやや小さいが、マストが無く、その代わりに、煙突と、両側に大きな水車がついている。たぶん、魔導技術によるものだろう。


「で、これは、魔神の国々からです」


「へー」


 大きさは大きいが、船が平べったく、そして、マストもあるが、両脇から、たくさんのオールが出ている。あれで漕いでいるのだろうか?。






 そして、最終日夜、僕達はメーア名物蟹料理の店に来ていた。それぞれの地区の本場の料理も美味しかったけど、メーアと言えばこれだそうだ。


 縄で縛られた蟹を見せられ、どれを食べるか選ぶと、蒸かされてさらに、剥いてだしてくれるようだ。その間に、蟹尽くしが出てくる。蟹の酢の物、脱皮蟹の揚げもの、蟹の卵のスープ、そして、蟹炒飯。どれもこれもとても美味しい。


「いや~。美味しかった。そして、楽しかったね。メーア」


「食事は最高だったし、観光もいっぱいできたし、楽しかったかな」


「明日帰るのか、もう少し居たかった」


「だね。リリアちゃん、案内ありがとう」


「いえ、マックス様達に満足して頂いて良かったです」


「あっそうだ、それで、これ僕から御礼、ありがとうございました」


 と言って、リリアちゃんに包みを渡す。魔神地区で買った物だ。女性の先輩達や、ローズ先輩、お母様や、パナ達にも買ったけど、リリアちゃんには、少し高いのにした。


「えっと、ありがとうございます。大切にします。開けて良いですか?」


「うん」



 リリアちゃんは、包みを開き、チラッと見て顔を上げる。


「シルクですね」


「そうだよ」


「あの時のではないですよね?」


「ん? ああ違うよ。安心して。パンツじゃないから。ハハハ」


「そうですか。良かったです。ありがとうございます」


 綺麗な水色のシルクのストールだ。どう使うか聞いてないけど。リリアちゃんも、頭から被ったり、首に巻いたり、肩にかけたり、いろいろ悩んでいる。うん、可愛い。





 そして、翌日リリアちゃんに見送られ、ミーアを離れる。次は、入学式かな?



「いや、楽しかったね。旅行」


「マックスは、別の意味でも楽しかっただろ? 良いな、彼女」


「リリアちゃんのこと。彼女じゃないよ」


「僕でも、わかるですよ。鈍感だし」


「良いな~。彼女。俺も欲しい!」


「ん?」


「まあ、鈍感マックスは、おいといて、旅行楽しかったね。また、どこか行こう!」


「おー!」

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