第2章 騎士学校編

第1話 レイリン騎士学校へ。

 僕とランドール、ハインリヒはレイリンの目の前にやってきた。三方を高い山々に囲まれ、高い尖塔と高い城壁を持つ城が見え、残りの一方に街が扇方に広がっている。




 僕達は、馬を走らせ街に近づく街の外周にも壁が建っていて、入り口は、門のみとなっている。門の両脇には兵士が立っていて、通行証の確認をしている。



「シルキリア帝国宰相のご子息、マクシミリアン=フォン=ローデンブルク様だ。レイリン騎士学校入学の為に来た。我らは随臣だが一緒に入学する。これが、許可証だ」



 ランドールが、兵士に入学許可証を見せ、通行許可の確認をする。



「はい確かに、マクシミリアン様に、ランドール様に、ハインリヒ様ですね。どうぞお通りください」




 僕達は、街に入る。結構活気に溢れている。通り沿いには露店も建ち並び、食べ物系の露店からは、良い香りが漂ってくる。



 僕はキョロキョロ見回しながら歩く、ランドールは真っ直ぐ目的地に向かっているようで、どんどん進んで行く。買い食いは後にしよう。街の中心というか、大きな尖塔を持つ城塞の方に近づく。本当に大きな城塞だ。帝都の皇宮の方が大きさは大きいが、戦う為の城として、大きな城壁と、要塞のような雰囲気に圧倒される。



 そして、城門にたどり着く、学校は城門の中にあるらしい。再び城門にて、通行許可をもらい城壁内部に入る。大きな城が目の前にそびえ立つ、帝都の皇宮の真っ白な外壁と違い、石造りで堅牢だ。その城の横を通り過ぎ奥の方に向かう。



 そして、見えてきた。レイリン騎士学校だ。元々の学校施設以外に、王族の屋敷や家臣の屋敷なども改造して、学校施設にしているそうだ。その建物の一軒、事務室に向かう。到着したら、送られてきた、入学許可証に、事務室に来るように書かれていたのだ。



「すみません、新入生なのですが」



 入ると、受付のカウンターがあり、そこに事務員の女性が座っている。ランドールが、声をかけると、



「はい、では、入学許可証を出してください。そして、三人のお名前をお願いいたします」


「マクシミリアン=フォン=ローデンブルクです」


「ランドールです」


「ハインリヒです」



 名前を言うと、受付のお姉さんは、名簿のようなものを確認して、



「はい、では入学おめでとうございます。教科書と、制服をお渡ししますので、少々お待ちください」




 受付のお姉さんは、奥の方に行き、そして、畳まれたやや濃い青の洋服 。紺碧色と言うらしい。そして、教科書、紙のプリントを持ってきた。それが、3セット。



「はい、では、これがランドールさんで、これが、ハインリヒさん。そしてこれがマクシミリアンさんの分ですね。そして、寮に案内しようと思うのですけど、良いですか?」


「はい、荷物も置きたいので、よろしくお願いいたします」


「わかりました。では、案内しますね。どうぞ、こちらへ」



 と言うと、お姉さんはカウンターから出て、僕達を寮に案内し始めた。



「寮は、男性寮と女性寮に別れていて、さらに男性寮は、A寮とB寮に分かれています」


 お姉さんは、説明しながら、騎士学校の敷地の中を歩く。事務室を出てグランドを横切って、建物がいっぱい並んでいる場所を通り抜ける。


「これは、部室です。いろいろな部活あるから、学校始まるとガイダンスあるので、興味あったら入るといいわ」



 そして、今度は、5階建ての大きな建物の前に到着した。お姉さんが立ち止まる。



「この前の建物と、その奥の建物、そして、ちょっと離れて中庭の反対側にあるのが、寮ね。一応、成績順に部屋が決まるのね。ただ、一年生の時は、魔力需要量の順位で決まるから。二年生からが本番ね。勉強の成績、実技の成績で決まっていくのよ」



「ランドール君とハインリヒ君は、この建物ね。両方とも学年1位だから、寮の2階の一番奥の向かいあいの部屋よ。マクシミリアン君は、奥の寮の2階階段上がってすぐの部屋よ。成績で部屋が決まっているけど、部屋の差はないから安心してね。では、良い学生生活を」


「ありがとうございました」



 お姉さんが去っていくと。



「マックス様、街に行かれるようならお供します」


「そうだな。じゃあ荷物置いて部屋を整理して、1時間後に集合で、良いか?。ハインリヒは、どうする?」


「はい、私もお供させて頂きます」


「わかった。じゃ、1時間後にここに集合ってことで。そう言えば、もう出かける時は制服じゃないといけないんだったよな?」


「はい! 制服で外出が決まりのようです」


「わかった、じゃ後で」



 僕は、2人と別れて、奥の寮に向かう。寮の玄関には、大きくB寮の文字。



 中に入ると、受付で部屋の鍵をもらい2階に上がる。玄関脇にある階段を上がると、目の前の部屋にマクシミリアンの文字。


 僕は鍵を開けると部屋に入る。1人部屋で、8畳ほどの大きさがあり、極めて狭いわけではない。部屋の中は備え付けの家具と、ベッド。机に椅子ととてもシンプルだ。



 部屋の一番奥に大きな窓になっていて、明るい日差しが入ってくる。外はテラスになっているようだ。



 僕は、窓を開けテラスに出る。隣とは区切られている。そして、見渡すと。中庭の反対側の寮も見ることが出来る。ローズさんは、4年生かな?。リリアちゃんは、ローズさんといるのだろうか。そんな事をぼーっと考える。



 いけない、いけない。荷物を片付けて、出かける準備もしよう。足りない物は買い足すつもりで、荷物を少なくしたので、あっという間に片付けを終わらせた。


 ランドールが、自分で荷物持つからという意見を聞いてくれず、僕の荷物を持ってくれたので、余計少なくしたのだが。



 そして、制服に着替える。制服は3着あった。基本寮内以外制服で動かないといけないので、ありがたい。今は、夏服で、やや薄い素材で通気性がよさそうだ。



 下着になり、制服を着ていく。デザインは、シンプルだ。紺碧色のサイズぴったりのズボン。ストレッチ性は良く。屈伸しても邪魔にならない。



 上着は、やや長めで、お尻まで隠す長さがあり。腰に白のベルトで、上から留めるようだ。脇に、白のラインが入って、襟はやや大きめで黒。そして、白のラインが一本入っている。そして、頭には、校章付きのベレー帽。


 そして、胸には、名札がつけられている。マクシミリアンと書かれている。学生として、自覚を持って行動しないといけないな。





 よし、準備完了出かけますか。廊下に顔を出す。廊下の両端には柱時計が設置されている。見るとまだ時間があるようだ。





 僕は、机に座ってプリントを見る。一枚目は、守るべき規則が、後でゆっくり見よう。二枚目は、授業のカリキュラムのようだ。午前中は、座学。午後に実技や運動という感じみたいだ。



 三枚目は、部活の案内だ。ガイダンス見てから決めるが何が良いだろうか?。剣術系の部活をやってみるのも良いかな。幼い頃僕につけてくれた剣術の先生は雷鳴流だったが一年しか習っていない。その後は、闘った相手の真似とかでちゃんと剣術やっていない。



 剣術は大きく五流派あり、簡単に言うと、素早い動きと鋭い攻撃の雷鳴流。一撃必殺の剣王流。流れるような動きで防御からの返し技に優れた気水流。この3つが主要3流派と呼ばれている。そして、自分の魔力を効率良く剣に込めて戦う養魔剣神流。様々な地形での戦を想定した体の操作法、剣術に体術を取入れた技など、実戦を主とする錬身流。



 お祖父様は雷鳴流の使い手で、ランドールも雷鳴流だ。大公家の剣術指南役のエピジュメルは、気水流の使い手で。レオポルドは剣王流。僕は錬身流とかやってみるかな?。魔力ないので、養魔剣神流は論外だし。そう言えば、現在の剣聖は、養魔剣神流だったはずだ。




 と、そろそろ時間だ。出掛けよう。

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