異世界魔法研究室のゆるふわ研究ライフ

@peroperozamurai

第1話 金がねぇンだわ

「教授!このままではまずいです!」


魔法分子生物学研究室に所属してから1カ月がたったが、この研究室が評判以上にダメなところだということが良く分かった。


「教授、とりあえず漫画を読むのはやめてまじめに話を聞いて下さい」


この一カ月私はまったく研究と呼べるものをしていない。


やっていることといえば、部屋で雑談、ボードゲーム、料理などである。


「このままではまずいです!私は一応ちゃんとした魔法研究をするためにこの研究室に入ったんですよ!」


「いや~、研究とかしなくていいっしょ~」


「教授がそんなこといっちゃダメでしょう!」


「そんなに研究したいの?だいじょうぶ?」


教授は心底心配そうな顔をしてこちらをみてくる。コイツ……本当に教授か?


「研究したいのはわかったけどさぁ!そんなこといっても、金がねぇンだわ!」


「研究をするにはいろいろ魔法材料がいるわけよ。で、それはめっちゃ高いわけ。ウチは金ない。研究できない。ワカル?」


「もしかして、この一カ月何もさせようとしないのはそうゆうわけだったんですか……?」


「そうだヨ」


「ああああああああああああああああああああああああああああああ、てめぇ最初『料理は研究の基礎。まずは私が唸るおいしい料理がつくれるまで研究をさせるわけにはいかないねぇ』とか言いやがったからこっちは素直に朝昼晩と気合を入れたごはんをつくってたってのに。え、なに全部嘘ってこと?」


「ウン。そうだヨ。てゆーか、料理と研究に何の関係があるのかわからんわ。全然気づかないからおもしろくなっちゃって黙ってたんだ。ごちそうさまでした。美味しかったヨ」


心底楽しそうにそんなことを言ってくる。うん殴りたい。教授が偉いとかどうとか関係ない。こいつは殴ってもいい。


「でも残念!お金がないのは本当だから研究なんてできないよ」


勝ち誇ったような顔で言ってくる教授。ダメだコイツ……早く何とかしないと。


「というかなんでお金がないんです?普通学校の研究室ってある程度お金が配られるものなんじゃないんですか?」


「いやぁ、年の初めに『今年はこうゆうことをするので、お金をこのくらいください』っていう書類を出すんだけどね……」


「なんだ、やっぱりちゃんと制度があるんじゃないですか。ほんとにお金ないんですか」


「忘れてて、出しそびれちゃった」


「はあああああああああああ!?アンタやる気あるんですか?!」


「いや~、すっかり忘れててねぇ。だから今年はお金がないのよ。まあ考えようによっては、お金がないからなにもしない。だらだらしていていい。ってあきらめがつくじゃない?」


もう絶句するしかない。


こんな人でも若くして素晴らしい発見をして、この大学の教授になったという。


私はそんな彼女にあこがれて、あまり評判の良くない——といっても過酷といういみではなくあまりにダラダラしているという意味だが——この研究室に入ったのだ。


しかし、さすがにここまでとは思っていなかった。


「じゃあ、なんとかお金を稼いだら研究ができるんですね……?」


どうにかして、研究費を稼ぐ方法を考えねば。






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