第44章 11月15日

第1話 講義終わりのメッセージ

ある日昼下がり。


大学で講義を終え、スマホを起動した俺は、メッセージアプリの通知マークが点灯していることに気がついた。


もちろん、メッセージの主は、俺の彼女、雨空蒼衣だ。


なぜもちろんなのか、と問われると、俺に連絡してくるようなやつが蒼衣しかいないから、と言わざるを得ない。……自分で言ってて悲しくなる。……いや、別に悲しくはねえな。


そう思いながら、俺はカバンを肩にかけ、講義室を出る。


ちなみに、メッセージの内容はこうだ。


『今日、お米が安いのでお買い物手伝ってほしいです』


まあ、要するに荷物持ち、というわけだな。


『了解。講義終わったから、今からスーパーで待ち合わせでいいか?』


そう返信すると、間もなく既読が付いて、『おっけーです!』とデフォルメされた猫がサムズアップしているスタンプが返ってくる。


俺が送ってから、返信までのタイムラグが無さ過ぎるな……。おそらく、俺の講義終わりの時間を考えて、返信を待っていたのだろう。……スマホの前で連絡を待っている蒼衣、想像すると可愛いな……。


と、それは置いておいて、だ。俺の連絡を待っていたということは、蒼衣はすぐにでも出られるようにしていたはずだ。きっと、すぐに到着することだろう。


「待たせるのも悪いし、早く行くか」


そう呟いて、俺はスマホをポケットにしまい、足を早める。


外に出ると、最近急激に冷えはじめた空気が肌を撫でる。


思わず首を襟元にうずめつつ、俺はさらに足を早めた。

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