エピローグ 非日常の予感

「それでは先輩、おやすみなさい」


「おう、おやすみ」


そう言っていつものように雨空を見送る。


少し強い風が、前髪を揺らした。


アパートの年季の入った階段を降りる途中、雨空はこちらを振り返る。


「近くまで、来てるみたいですね」


「だな、ベランダのものとか、部屋の中に入れとけよ」


「はい、先輩も、ですよ」


「わかってるよ」


「では今度こそ、おやすみなさいです」


「おう」


そう言って、雨空は今度こそ隣のマンションへ。エントランスへと入っていくのを見届けて、俺は部屋の扉を開ける。


また、強い風が吹いた。


「これは、思ったよりもやばいかもしれねえなあ」


そして俺は、台風に備えて外に置いているものを部屋の中に入れるために、ベランダへと向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る