第5章 7月10日

第1話 なぜ……?

吹き荒れる風。叩きつけられる雨。鳴り止まぬ轟音。


そう、台風だ。


大学の講義はもちろん休講になり、自宅待機となる。


そう、自宅にいるべきなのだ。


にもかかわらず。


俺は、なぜか雨空の部屋にいた。


「なぜこうなった……?」


キッチンで機嫌良く、軽やかに動きながら紅茶を入れる雨空を見つつ、俺はなぜこうなったのか、思い出していた。


時刻は3時間前に遡る──

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