第2話
おはようございます。転生して参りました。感覚で言うなら、夢から覚める感じです。
体の後ろに手をついて、起こすと、回りを見回すことができた。
近くに人はいないみたい。
まず、自力で体を起こすことができたから乳幼児ではないと分かった。
その後、周りを見たりして推測してみたけど、大体二歳から三歳位だと思う。
次に、自分のいる場所だけど。
どこかの部屋のようで、鍵つきの窓が二つと、ローテーブルが一つ。大きめのタンスが窓の下においてある。
それ以外には特になし。なんというか、初めて友人の家に遊びに来た時の感覚に似てる。
あ、しゃべり方が違うと思いますが、訳があります。
子が親に似る原理と一緒だと思います。
管理者はここが異世界だと言っていたから、言葉が違うと思っていたんだけど、小さい頃に聞いて覚えたんだと思う。……たぶん。
それが理由で、しゃべり方が少しだけ変わっているんだと思う。
とりあえず、推測おわり。
「ステータス」
んー、特になにも起こらない。言い方が違うのか、やり方が違うのか、元から無いのかは分からないけど。
自分の能力が分からないとしても、他にできることと言えば、魔法?
周りに誰もいない内に、色々と確認しておこうと思ってる。
魔法って言って、ビターなのは、体に不思議なものが流れている感覚だろうか。
……よく分からない。
やり方が違うのか、まだそういうものが無いのか。
スキルとかも確認できたらよかったけど、無理っぽい。お任せにしたし。
だとすると、もうできることは、思い付く限りでは無いね。
座っていた椅子から立ち上がり、扉を開けて外に出る。
人が2人ほど通れそうな廊下に繋がっていた。
もしかしたら、お偉いさんのお家かも知れない。
爵位は要らないって言ったのに……。
とりあえず、広くなっているスペースがある方に向かって歩き出す。
体にはあまり違和感は感じない。身長差とか、手足の長さで不便さが出ると思ったけど、そんなこともないのかな。
「あ、フィーネ。起きてきたのか?」
広い場所、階段の踊り場で、手すりに体を預けていた人から声をかけられた。
少しだけ高い位置から声が聞こえたので、父ではなく兄だと思う。
声も少し高いので、たぶんそう。
こくり、と首をふって応える。
「今は行かない方がいいよ。お母さんたちが喧嘩してるから」
この態度、よくあることなのかもしれない。
「いやだね」
「そうだなー。10歳になったら、学園に行けるのに」
「学園?」
学園がある?
「ああ、知らなかったのか。昔の勇者様が作った学園だよ。俺は強くなるんだ。そのために学園にいかなきゃいけない」
教育でも受けるのだろうか。
「……それに、こんな家にいたくないしな」
喧嘩の多い家は確かにいやだ。
「そうだね」
お兄ちゃんの方を見ながら言った。
「あー、お腹すいたか? なんか取ってきてやるよ。少し待ってろ」
そういって、静かに階段を降りていった。
お兄ちゃんが言うには、10歳になると学園に行けるみたい。
学費とか試験とかがどうなのかは分からないですけど、口ぶりからして寮はついてるみたい。学生寮だろうね。
それに、学園を建てたのは勇者だと言っていた。
以前にも勇者がいて、学園なんか建てているという事は、勇者の義務を全うしたと言うことだろう。
どんな義務があったのかは分からないけど。
あ、お兄ちゃんの部屋に冒険記があると思うし、借りてみようかな。
「フィーネ、はい」
渡されたのは白いパンに何かのお肉と何かの葉っぱが挟まれたもの。ハンバーガーみたいになっている。
ここまで蔓延っているのか、ハンバーガー。
「ありがとう。……お兄ちゃん、お願いがあるんだけど、いい?」
「お願い?」
「さっき言ってた勇者? の冒険記とか持ってない?」
「あるぞ。読みたいのか?」
「うん」
「いいぞ」
わお、優しい。さすがお兄ちゃん。兄妹がいるって便利。
あ、そういえば言い忘れてた。
どうやら、女になってたみたい。あの管理者が言っていた容姿の説明。まさか性別を変えるとは思いはしなかったけど、別に自分の体には特に興味なかったので、どうでもいい。
強いて言うなら、ありがとうと言ったところかな?
女性は非力で相手に舐められやすい。能力でも男性に劣ることが多い。その分強みもいくつかあるが、俺にはちょうどいい。
いや、俺はやめとくか。あまり経験のない事だけど、面倒なことにならないためには、ロールプレイも必要だろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます