第25話 微笑みかけた

時間が経つのは早いもので、最終面接も終わりに近づいてくるのが分かった。

人事部長「宮平さんは、シャンパン建材という大手に内定をいただいているようですが、入社するならシャンパン建材は何番目かな?」

私「1番目です」

人事部長「あっ、そ、う、で、すか。じゃ2番目は?」

私「スパークリングリースです」

人事部長「おっと、当社のライバル会社ですね。当社は何番目ですか?」

私「順番はつけられません」

人事部長「ん?」

私「御社に順番はつけられません」

人事部長「どういうことかな?」

私「私にとって、御社は特別です、スペシャルなんです。順番はつけられません。御社に順番をつけるのは失礼な話だと思います。本当です」そう言った瞬間、専務の眼鏡がキラリと光った。人事部長は、私に赤ん坊をあやすように微笑みかけた。

数日後、内定通知の連絡と書面が届いた。


シャンパン建材には心からお詫びした。


時は2002年の6月だった。

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