第13話 春香と彩音が怒る
一部上場を控えた、シャンパン建材に就職活動一社目から内定を勝ち取った僕に、猛烈な非難が殺到した。殺到っと言っても、二人だが。そう、僕に非難を浴びせたのは、奇跡のトライアングルの3分の2にあたる春香と彩音。
なぜ、66.7%の人が怒ったか、すぐにわかった。春香と彩音は、友達でもあり、ボランティアのような支援者だったのである。
一例を挙げる。
例1)授業に出ずに、代わりに出席簿の紙に名前を書いて出してもらう。
例2)授業に出ずに、代わりに教授から呼ばれた際に、男性の声を出してもらう。
例3)冴えない僕と一緒にいてくれた。
例4)冴えない僕を育てくれた。
例5)就職活動前に実施された、イモナビ主催の「就職活動とは」みたいなものに、バイトを終えて、朝から酔っぱらって学校に来た僕を、要約すると「このままじゃいけないよ」と熱くシャウトしてくれた。
例6)試験前にノートを貸してくれた。
例7)いつも誕生日会を開いてくれた。
上記、ほんの一例であるが、彼女たちが僕にしてくれた、支援だった。
三人でよく飲んだ。そして、就職活動や将来のことを話しながら、春香と彩音と酒を飲むと、カッと焼けるような感覚が胃の中で拡がって、一瞬だけ不安が期待や希望という錯覚に変わることが出来た。
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