ジュエル
江戸端 禧丞
結婚式
とある建物に、人型の魔物や人の形を成していない魔物が、次々と入って行く。今日は、この世界で誰もが認める者同士の結婚式が
婚姻の儀式には、幾千と形がある。種族で縛りのある式から、儀式なのか何なのか誰にもサッパリ分からないものまで様々だ。が、共通項としては、それぞれの正装で参加する事、となっている。神々が参列する際には本来の姿で、となっているのだが、中にはその姿が巨大である神も存在するため、婚姻の儀式が行える場所は、それ自体が非常に巨大な建物になっていることが多い。
今回の儀式に於いても例外なく、巨大で頑強な性質の、真っ黒な
その花嫁も、彼と同じく不老長寿の妖魔だ。非常に珍しい種族で、希少種族として登録されている。【
彼女等の一族には婚姻に関する決まり事がいくつかあって、それを守るためにユリオーレはプロポーズに至るまでの数年で、世界中を旅している商人達からせっせと石を買い溜めていた。決まり事の1つに、ジュレアリーの花嫁が歩くヴァージンロードには、研磨済みの美しい宝石を敷き詰めねばならない、とある。それは、まだ魔物たちが地底で暮らしていた頃……
「よっ!幸せ者ーっ!」
「羨ましーぞユリオーレ!!」
婚姻関係を結ぶための万事を成し遂げたユリオーレは、婚約指輪を用意し、ルーナにプロポーズをした。そうして今日、待ちに待った時が来たのだ、その年月なんと千年、気の長い者同士、見目も麗しい2人がついに結ばれる。周りのお祭り騒ぎな連中もなんのその、
ルーナは宝石を散りばめ純白総レースのドレスを身にまとい、少し恥ずかしそうにチラチラと、向き合うユリオーレの白い正装を見やる。実は彼女、千年前たまたま友人と彼の店を尋ねたとき彼の美しさと、戦闘種族とは思えぬほどの穏やかさに一目惚れをしたのだ。対するユリオーレも、彼女の真っ白な唇を見つめながら出会いを思い返していた。実は、彼もルーナに一目惚れをしてスタートした関係だったのだが、当人同士だけがソレを知らない。奥手な2人を見て、周りがほぼ全てお膳立てしながら、様子を見守っていたのだ。後々、酒の
「病める時も、健やかなる時も――」
この世界には、神が実在する。東西南北を、それぞれに治める武神が大貴族として所有し護っているのだ。地上に住む彼等は、王都に君臨する
ユリオーレの店には、地位の高い常連客が非常に多い、かつての戦争前から地底のほうに彼の店はあったのだが、ソコに通うことが、今も常連客のステータスになっている所がある。その店【シュノレイアーノ】に関われることが、いずれルーナにとっても誇りとなるだろう。
ジュエル 江戸端 禧丞 @lojiurabbit
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