第11話

 しばらく歩いて学校に着いた。

 僕は駅と学校を往復したので少し疲れた。

 加奈は下駄箱で靴を履き替えている。

 いい体してるなと思う。

 僕も靴を履き替えて、部室に向かった。

 部室のドアを開け、持ってきた袋をテーブルに置く。

 加奈はさっそく袋を開けてシートを取り出し、窓のカーテンレールにかけていた。

「完璧ですね。これで学校ってわからない」

 加奈は僕の方を振り向き嬉しそうだ。

「確かに」

 シートは背景を完全に覆っていた。

 青いシートが部室にあるというのもなかなか奇妙だが。

「撮影はスマホですか?」

「そうだね。海の動画もスマホだったし」

 僕は持っていたスマホをポケットから出した。

 結構便利な時代になったな。

「ちょっとお面かぶってみますね」

 加奈はお面をかぶってシートの前に行く。

 シートの前でくるりと一回、回った。

「なんかいい感じだね」

 スマホの画面を見ると加奈がお面をかぶって映っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る