第4話 初めての墓

2日目の朝早く、叔父の笑い声で起こされた。軍用コートの上に薄い水の膜が張っていて、たき火はすでに消えていた。僕は分厚くて重いコートをめくりあげ、起き上がった。喉に少し痛みがあったので、風邪の兆候に違いなかった。空叔父はどこから出してきたのか、生姜湯を運んできて言った。「これを飲んで、ちょっと食べて、そしたら出発するぞ!」

 あの生姜湯は本当にものがよく、飲むとすぐ全身汗だくになった。僕は目的地に着くまでずっと汗が止まらなかった。

 朝は携帯用の固形インスタント食品を食べたが、これは本当に喉によく詰まった。一人一つだけだったので僕はさっさと食べ終えてしまって空叔父に言った。「お腹いっぱいにならない!」

 空叔父は僕に生姜湯を渡して「これも飲め!これはアメリカ産の固形インスタント食品だから空腹が抑えられるはずだ。」と言った。

 僕は信じられなかったが、ちょっと生姜湯を飲んだら、それを多く食べられない理由が分かった。吐き気がするくらい、お腹がこんなに膨れる!僕は起きてからお爺を見ていなかった。彼が車から出て小便をしているところ以外は、ずっと見ていなかった。


 車はゴビ砂漠を砂埃を立てながら進んでいたので、後ろの方の景色がよく見えなかった。このゴビ砂漠は荒涼としていていたので、僕は大力おじに聞いた。「大力おじ、こんな寂しいところに、お墓があるの?」

 大力おじは僕を見て言った。「お前はわかっていない。何年も前、ウイグルは海で、その後草原になったんだ。それから放牧が始まったんだ。羊が草を食べ終えたら、遊牧民は場所を変えて、また羊を放す。これが遊牧民族だ。最終的に草は全て食べられ生えてこなくなり、だんだん砂漠化していって、今のようになったんだ。死んだ遊牧民は埋葬する必要があって、前に住んだこのとある場所に埋葬するのが一番良くて、お金持ちは副葬品を入れて、お金が無い人は毛布に包んで同じように埋葬したんだ!だから俺たちはこの様な墓を探しているんだ!」

 僕はちょっと考えてうなずき、また急いで聞いた。「大力おじ、あとどれくらいで着くの?」

 大力おじは「午前10時前には着いていなければならない。そうでないとここで夜を明かさないといけなくなる。長引くとよくない。暗くなる前に引き上げたい!」

 僕は興味がわいて聞いた。「それはどういう意味?」

 大力おじは「本当に馬鹿だな。考えてみろ。大きい墓は除いて小さい墓を当日仕事を終わらせられなかったらプロではないだろう?大きい墓は1日では終わらないから、仕方なくそこを出て何キロか行ったところで寝るんだ。そうじゃないと夜何が出てくるかわからないだろう。出ていけと言われたら、俺たちはお終りだ。」と言った。

 僕はふうんと一言「道理で昼間人を見ないわけだ。」と言った。

 大力おじは声を1オクターブ上げて「奴らは俺たちのことが見えるんだ。俺たちは奴らが見えないだろう?お前を高いところに連れて行って落とすかもな?」と言った。

 僕は何も言えなくなり、舌を出して「僕は行かないよ!僕が古人の墓を見てどうなるっていうんだ。」

 大力おじは楽しそうな様子で「昼間は例えゴビ砂漠の上で爆竹を鳴らしても生きている人には気づかれないよ。でも夜はそうとも限らない。多くの人は昼間熱いのを嫌がって夜道を急ぐ。ははは、よく頭を使え!」


 僕は彼を徹底して無視して、自分が素人であることを責めた。僕は煙草に火を点けてのろのろと煙草を吸い始め大力はわざと僕をいじめるように「お前はあれが何か知らないのか、知らないなら煙草をくれないか?」と言った。

 僕はいらいらして彼の煙草に火を点けた。彼は勝利したカモシカで頭に角が生えたようだった。車が麻花姉みたいにくねくね走るから、僕は早く天に向かって伸びがしたくてたまらなかった。


 目的地に着いた。車はくぼみのあるところに停まった。周りは荒涼としていた。あるところは少し砂漠化していた。僕は突然ドキドキしてきて、叔父の腕を引いて聞いた。「お墓はどこにあるの?どうしてどこにもないの?」

 叔父は「全く馬鹿だな。遊牧民族の墓は全て木碑で、何百年前だから、木がそんなに長い間残っていると思う?」

 僕は悔しくなって弁解するように言った。「あの墓は?いつも人を埋めているわけではないでしょう。この墓は地球の表面と同じように平らに埋まっているの?」

 叔父は「あそこだ!あの盛り上がったところを見てみろ。あれがそうだ!」と言った。


 僕が目をやると、大きくも小さくもない土の盛り上がりがあり、落ち窪んでいるところもあった。僕は大力おじを手伝ってものを運び、お爺と空叔父は墓のところで煙草を吸っていた。少し経って、僕の労働力では到底及ばないことが分かった。僕は気を利かせて少し後ろに下がって、皆が忙しそうにしているのを見ていた。お爺は近くで地質計測器を使っていた。これは道行く人を戸惑わせるだろうと見て取れた。「我々は地球を計測しているのだ。」とでも言えばいいのだろうか。シャベルなどの道具は全部運び出されて、お爺は「服や道具を身に付けろ!」と呼びかけた。

 僕たち何人かは自分の車に戻って、防水服に着替えたが、とても着心地が悪く、通気性が悪いのはもちろん、少し動くと全身びしょびしょになった。大力おじは頭の上から水をあび、叔父は水を飲んで、僕は水を頭からかぶるべきか飲むべきかわからず、僕は顔を洗って、彼らに続いて入っていった。


 あの日は、いくつかの白い雲以外、照りつく太陽が大地と僕をじりじりと焼き、僕を苦しめた。

 空叔父と叔父は滝のように汗をかき始めた。僕は全ての墓を掘るのだと思っていたが、彼らが土の盛り上がりの周囲45度に傾けて掘って行くのが見えた。花姉は防水服を着ており、身体の曲線がとても美しく出ていて、全てにおいて均整がとれていた。彼女が動くと、胸がドキドキして飛び出しそうになった。僕は我に返って、自分が考えていたことが恥ずかしくなって、急いで彼らの作業を手伝いに行った。ゴビ砂漠は石が非常に多くて、始めた時は速度が遅く、1時間ちょっと経って、やっと0,5メートルの深さまで掘ることができた。幅も1人が入れるくらいだ。叔父は頭から水をあび始め、大力おじは水を飲み始め、この2人の動作は全く入れ替わったみたいだ。空叔父は違っていて、1時間ちょっと手を止めなかった。


 始めてすぐの時は彼らが掘り出した土をよく見て、中に金貨が隠れているのを見逃しが無いか見ていたが、残念なことにカブトムシを見つけた以外には、他はみんな石だった。僕は苦しくなってきて、死にたくなってきた。防水服を着たお爺はずっと周囲を行ったり来たりしていて、彼も掘り出した土に毎回ちょっと目を向けた。時間が一桶一桶の土の中に消えていった。お昼に僕たちは1時間休み、ちょっとご飯を食べて、そのあとまた引き続き穴を掘り始めた。


 午後の太陽はさらに焼けるように熱く、皮膚が燃えるようだった。でも手を止めるものはいなかった。僕は自分がこんなに粘り強いのだと言いたくなかったが、粘り強く持ちこたえた。その時お爺は最後に堀り出した土を見て言った。「もうすぐ開通する。お前ら気を付けろ!」

 僕は土を積むとき花姉に聞いた。「ねえ、何でお爺はもうすぐ開通すると言ったの?」

 花姉は僕をちらりと見て小声で言った。「土の中に石が少なくなったら、もうすぐ開通するという証明になるの。地層のことよ。ゆっくり勉強するといいわ!」

 僕は一言「ああ。」と言った。叔父が大力おじに替わって掘り始めた。彼らはちょっと掘ると、周囲の音を聞き、またちょっと掘ると、また周囲の音を聞いた。最終的に鈍い音がシャベルが触れている土から伝わってきた。花姉が地層にライトの光を合わせた。その時叔父はシャベルを止めて、手で土を払いのけて、独り言みたいに「鉄?」と言った。

 お爺が叔父に替わり、土を払いのけ「副葬品がある?ははは!」と言った。

 みんなとても興奮して、スピードも速くなった。ゆっくりとあの鉄の塊が露わになった。黒々とした兜だった。ウイグルのこのような乾燥した気候では保存状態が非常によく、兜の下の頭蓋骨まで一緒に出てきた。すでにミイラ化していた。始めて頭蓋骨を見て、干からびた眼窩を見て、夜になっても悪夢を何百回も見ることになるだろう。頭蓋骨の髪の毛を見て、彼は少数民族だと分かった。頭には銅かもしくは金のバンドがあったが、当時私にはわからなかった。

 花姉はライトを固定して、車に戻って油紙を取ってきて、兜とバンドを包んだ。


 発掘は依然と続き空間は段々広がっていき、整具やミイラも出てきた。死体が身につ付けている鎧は皮で、すでにボロボロの状態で、見たところ身長は170㎝以下で、下半身は褐色素材のズボンで、靴も皮だった。基本的には兜以外は空叔父とお爺にとってこれらの出土品やミイラは価値が無いものだった。墓にはあと珍しい刀が出土した。時間が長く経っているせいで、何か所も切れているところがあった。でもこれは腰刀でこの人を埋葬する時に抱えていたものだと見て取れた。一回目の盗墓が終わったのかと思ったが、叔父達がまた掘り出すとは思ってみなかった。

 僕はお爺に近づいて行き聞いた。「終わったんじゃないの?なんでまだ掘っているの?」

 お爺は地形を見ながら言った。「まだ始まったばかりだ。お前は一つしか出土していないことを見ていなかったのか?あれは被葬者が残したもので、いいものはまだ後ろにあるんだ!」

 僕は多くの疑問が膨らんだ。お爺はなんでこの副葬は全部ではないとがわかったのか知りたくなったが、多くを聞くのはよくない。

 僕は心の中で疑問に思っている時、お爺が一言叫んだ。「手を止めろ!」


 周りは風の音以外はほとんど静かだった。お爺は叔父に替わり、ガスマスクを付けて、防水服を引いて降りて行った。花姉は身を伏せて、ランプを確認した。お爺は小さい軍用シャベルを手にして、あの土壁をやさしく削った。彼が削ったところから腐った木が現れた。木は黒ずんでいて、火で焼いて、変形するのを防ぐためらしかった。あのような木は地層と比べとても掘りやすかったが、お爺は急がずに、少しずつシャベルでほじくった。ほじくった腐った木少しずつ穴の出口まで運んでいった。僕は彼らが息を切らして作業をしている様子を見ていた。その時、彼はシャベルを置いて、すぐに動きを止めて外に向かって小声で言った。「開通した。」

 お爺は彼に続けるよう促し、彼がシャベルで大きい腐った木取り出すのを見て、中に真っ黒な空間があるのを見つけ、掘り出てくる腐った木が多く出てくるにつれて、空間の入り口もどんどん大きくなった。中の空気はとても乾燥していて、おかしな臭いは無かったが、お爺は僕にガスマスクをさせた。僕はとてもそれを着けたくなかった。ゴムの臭いに吐き気がしたし、ガラス越しに外の世界を見ているようにぼんやりした。

 僕は手でレンズをこすって、なるべく中の空間がどうなっているのか見たかった。中は薄暗い光で照らされて、お爺は腰を曲げて中から出てきた。その時の様子はまるで悪魔が地獄から這い出てきたかのようだった。まきあがった砂が世界を混沌とさせ、僕はヘッドライトで照らすと、ぼんやりと中に棺があるのが見えた。

 お爺はガスマスクを取って、頭の汗をぬぐった。僕は彼の髪がシャワーを浴びた後拭いてないみたいになっていることに気づいた。それに加え砂も交じっている。彼はお爺の前まで行き、ゆっくりと言った。「この墓はもう盗掘された後のようだ!」

 お爺は驚き「そんなはずはない!」と言った。その後、左右に歩き周りを見て、僕たちのところに戻ってきて、煙草の吸殻を投げ捨て「ありえない!周りに穴は無かった。どうやって盗掘されるものか。」と言い、空叔父のガスマスクをつかみ、腰を丸めて下に降りて行った。

 僕は一緒に行きたかったが、穴が小さいのでどうしようもなかった。しばらくして、お爺が出てきて、手には錆びて青色がかったフックを持って、僕たちを見て「本当に奇妙だ。どこかの輩が百年前に盗掘していた!最悪だ!」と言った。

 僕は驚き、空叔父をつつき聞いた。「どうして100年前だとわかったの?どうやってぬすんだの?」と聞いた。

 空叔父は小声で言った。「あの崩れ落ちているところを見たか?」

 僕は彼が指さしているところを見て「見えた!」と言った。

 「彼はあそこから穴を開けて入ったんだ。先客とぶつかってしまって、お爺が怒るのも無理はない。」彼はそう言いながら、防水服を脱ぎ始めた。

 僕はまだ見ていなかったから急いで下に見に行きたかった!もう帰るの?僕はお爺の前まで走って行き、「お爺!下に見に行ってもいい?じゃないと僕は来た意味がない!」と言った。

 お爺は元気なく僕に「気を付けろ!自分で行ってみてきなさい。空叔父に着いて行ってもらいなさい。」と言い聞かせた。

 僕は「了解。」と言って、さっさと走ってガスマスクを取って、空叔父に「お爺が見に行っていいって。僕と一緒に来て!」と叫んだ。

 花姉が近づいて来て「行こう。私が一緒に行く!」と言った。


 僕は興奮と焦りの感情が押し寄せた。美女が付き添ってくれるので自然にうれしくなり、でも全くの青二才だ!青二才は青二才でしかなく、万が一中で死体が襲ってきたら、僕は走って逃げるだろう。果たしてヒーローはヒロインを救えるのだろうか?困難なことだろう!でもわけもない恐怖に好奇心が勝って、浮かれて下に降りて行った。花姉は僕を引っ張って行き、僕の装備を直し、僕のヘッドライトも付けて言った。「私はあなたの後ろにいる。ガスマスクは30分しか持たないから、勝手にものに触らないで。祖先の身体は下に寝かせておいた方がいい!」

 僕はうなずき、腰を丸めて降りて行った。腐った木の入り口まで速く移動した。漆黒の穴を見て、僕はまた入るか入らないか躊躇った。万が一空叔父が言うように中が全部黒い泥だったらどうしよう?早く中に入れと、花姉が後ろから僕を突いた。僕は唇を咬んで、一思いに、足で探るようにゆっくりと地面に降り立った。乾いて堅い感覚が足の裏から伝わり、僕を大胆にさせた。完全に入る時、僕は半分しかしゃがめないことに気づいた。僕が足元を見ると、毛布だと思ったものは、焼けて腐った木だった。あのぼろい感じは腐った木を踏んだからだったのだ。


 僕は周りを見渡すと、何年も前に盗掘された穴が見えた。盗掘された穴の下から埃が埋葬室の半分を覆っていた。僕は腰を曲げることに疲れ、どこかに寄りかかりたかった。一か所寄りかかれる場所を見つけ、寄りかかった。え?棺?想像力が一気に膨らみ、視界には派手で華やかな皇帝の墓穴があった。僕の息が詰まった時、あわただしくなり、首を伸ばして見ると、なんと花姉が棺を開けていた。中からミイラが僕を見ている。半開き目、頭蓋骨にはしっかりと髪の毛が張り付き、歯は黒く、衣装の中央は人によって割かれていて、おそらく年代が古いからだろう、衣服の破損がひどい・・・僕は脳天を打ち抜かれたように、身をひるがえし出て行こうとしたが、後ろに花姉がいて、彼女はどくことができず、僕はおえっと吐いた!ガスマスクが吐しゃ物でいっぱいになるくらいに吐いた。


 僕は急いでガスマスクを外そうとしたが、花姉が止めた。素早く身をひるがえし、墓から抜け出そうとした。地面に這って、ガスマスクを外そうとした時、また強烈な吐き気が襲った。花姉は近くに立ち、僕を見て、突然僕に蹴りを入れて地面に倒し、怒って「叔父達から墓の中でマスクを外してはいけないと教わらなかった?下の空気はどんなものが含まれているかわからない。毒を吸ったら誰もあなたを助けられない。あなたはこれで終わりよ!」と言って、離れて行った。


 僕は依然としてしゃがみこんで吐いていて、吐しゃ物は顔で乾きそうな程になっていた。空叔父は車から降りて水筒を持って走って来て、笑いながら言った「ははは!俺はさっき大力とお前が驚いてちびって出てくるんじゃないかと賭けたんだ。お前がこんなに成長しているとは思ってもみなかったよ。大変だ!こんなに吐いて。ははは!おいで、早く洗いな。」言いながら僕に水をかけた。僕は狂ったように洗い、もういいだろうと思い、また水筒をもらい、一気にいくらか飲んだ。そして地面にしゃがみ込み、大きく深呼吸した。


 叔父は僕の背中をさすりながら言った。「お前は中をよく見てきたか?死んでいるのは男?それとも女?」

 僕は彼を見て吐き気がまたこみ上げて来た。僕はまた吐いた。叔父はそれを見て面白くて地面に倒れそうになっていた。大力おじも水筒を持って車から降りてきて、水筒を僕に渡して、叔父に「もういいだろう。この後俺たちの技術を教えなきゃいけないんだから。脅かしてどうするんだ!」と言って、煙草を僕に渡した。


 僕は煙草をもらい、勢いよく吸ったら、吸い過ぎて、煙が目と鼻まで上がってきてしまった。叔父と大力おじは僕を慰めながら笑った。お爺は近くにいたが口も利かずに、歩いて来て、「片付けだ。次の墓を探しに行こう!」と言って、一人でサンタナを歩いて行った。


 空叔父と叔父、大力おじは急いで片付けに行き、僕は一人でマイクロバスに引きこもり、防水服を脱いで、服を着替えた。僕は助手席に座り、足を抱えて座り頭を整理した。あの死体を思い出し、また胃がひっくり返る感じがしたが、一瞬、僕は突然おかしなことに気づいた。あの墓はおかしな感じがしたが、どこがおかしいのかうまく言えず、考えるのも恐くなったが、考えずにはいられなかった。僕は墓に入って行った時の全ての過程を頭で繰り返した。副葬品、腐った木、棺、ミイラ、僕がミイラを見た時、彼の顔は僕の方を向いて・・・違う!僕たちはまだ全てを見ていない。表面を見ただけに過ぎない・・・そうだ、あのミイラの下に何かあった。何があったんだ?副葬品以外何があると言うのだ!?


 僕は興味がわいて、新大陸を発見するよりうれしくなった。僕は車を降りて叫んだ。「みんなまだ行かないで!下にまだ何かあるよ!」

 みんな手を止めて僕を見た。僕は「僕がさっき下に降り見た時、ミイラの顔と僕の顔がとても近かった。棺は僕のお腹のところまでなのに。ミイラだけではあんなに高くならないだろう。ということは・・・下にはまだ何かある・・・」と言った。

 お爺は自分で車のドアを開け、僕たちに向かって叫んだ「お前は何を言っているんだ!早く片付けを手伝いなさい!」

 僕は近づいて行って「お爺!お爺!棺の下に何かあるよ!僕・・・」と言った。

 お爺はまた僕を見て「それは誰がお前に言ったことだ?」

 僕は「誰も言ってないよ!僕が下に降りた時、あの棺は僕のお腹まであった。あのミイラだけなら普通なら僕のお尻までの位置のはずなのにあんなに高くなっていた。下に何も入っていないはずはない!だから下には絶対何かある!」と言った。

 僕は焦って「お爺!早く下に降りようよ!僕もう一回下に降りるよ。証拠を持って来るよ。信じて!」と言った。

 言ってから後悔した。下に降りるのはやはり心配で、耐えられるか怖くて、また吐くことになるだろうと思った。

 お爺は笑って「まったくお前は!車に乗りなさい!」と言った。

 僕はためらいながら車に乗った。お爺は「儂らが下に降りた時も見つけたんだ。下のものはもう取られていて、全部石に変えられていたよ。古代の人も幽霊が怖かったんだろう。あの石は死人を騙すために置いたんだろうな。」

 僕ははっとして、あの人たちがそんなに賢いとは思えず、また聞いた。「でも、なんで僕たちは死体を売らないの?売ったらお金になるでしょう?」

 お爺は大笑いして言った。「まったくお前と言ったら。もしことがそんなに簡単にいったら、お爺はもう引退しているよ!ミイラはお金にならない。誰がミイラを家に置いて魔除けをすると言うんだ?ロシア人が買ったとしても中国ですら出られないだろう。彼らはよく自国をわかっているはずだ。このミイラは研究者たちに残しておいた方がいいだろう!」

 僕ははっとして外を見ると、お爺たちはあの穴を埋めていた。僕はまた「お爺、あの兜はいくらで売れるの?」と聞いた。

 お爺は「専門家に骨董品として売っても、10万にもならない。コレクターに売っても15~20万だろう。成金やロシア人に売っても30万前後で大差ないだろう。みん、今日お前はずいぶん威勢がいいものだ。この仕事で一番大切なのは注意深さだ!」

 僕は頭を下げて「僕は今日ずいぶん吐いた。」と言った。

 お爺はまた大笑いして「それは正常なことだ。叔父は当時驚いてちびっていたよ。ははは!」と言った。

 僕は心の中で叔父を何度も罵った。ああ、僕をからかっていたのか。そしてまた「お爺、あと断刀があるでしょう?修理して売れるでしょう?」と聞いた。

 お爺は「どんなものも他の人に渡さない方がいい。この断刀はお金にはならない。仕事が分かっているものは餞別に残していくべきだとわかる。怒らせないでずっと地下で寝ていてもらった方がいいだろう。古いものの修復はとても面倒なことだ。証拠として残しておくのは簡単だ。少し壊れているだけならいいけど、あの刀は何か所も破損していた。もし修復して何千元で売ったとしても、いくらも儲からない。」

 僕はまたはっとして、そんなにも道理があったのか!お爺は今日僕にこのようなことを話すのが好きらしい。僕はまた聞いた。「お爺!大力おじから聞いたけど短刀があるお墓に当たったことがあるの?」

 お爺は「ああ、ある。でもウイグルでは少ない。羊を放牧しているものが、そういう考えがあると思うか?今回はもういいだろう!」

 僕はちょっと考えてまた聞いた。「お爺、あなたたちはどうやってこのお墓を見つけたの?」

 お爺は「周りの環境をよく見ればわかる。こう考えてみろ。ここはゴビ砂漠ではなくて、草原で、人が暮らしている。この場所は人が住むのに適さない。こんな風の通り道に人は住まないだろう?」

 僕はうなずいてお爺は続けて言った。「覚えておくといい。少数民族の墓は長方形で、長さ2メートル、幅1メートル前後、深さは2メートル近くある。くぼみの側面に掘った穴がある。死体はこの穴に入れられる。死者の頭は西に、足は東に顔は上に向けられる。死体を安置した後は土で穴をふさぐ。その後また埋土する。墓の多くは長方形で円形のものや宮殿を模した形のものまである。頂上部分には新月があり、墓の周囲には長方形の塀が造られ、塀の上には土で作ったマザと呼ばれる模様がある。」

 「ある時草原で羊の群れに食べられてしまって、年寄りが死んだら、基本的にこのように埋葬するようになったんだ。100年近く前、石灰を墓にまくのが流行ったんだ。白いと見た目がいいし、殺菌にもなる。死体を保存する時間が長ければ、簡単にミイラになる。叔父たちの車は石灰の臭いがすごい。この臭いに適応するためだ。ものを見て、臭いをかげばどの年代のものなのかわかる。」

 話している間、彼は脇から油紙に包んであるものを取り出した。開けてみると、とても変わった形のランプだった。手のひらサイズしかなく、上の女性はランプの灯心を持っていた。

 お爺は「臭いを嗅いでみろ。何だかわかるか?」

 僕はランプに鼻を近づけ嗅ぐと、石灰に似た臭いが鼻から入ってきた。僕は「うん、お爺。少しだけど銅の臭いがする!」

 「ああ、これは偽物ではない。偽物の石灰は銅の臭いでカモフラージュしている。本物は石灰と銅の臭いは一緒で、わずかに土の匂いがするんだ!」

 「でもお爺、僕やっぱりお墓は見られないよ!」


「ああ。これは一種の感覚で、数百年前なぜここに人が住んでいたか、その理由がわかりさえすればお前は墓を見つけることができる!あとは位置の問題だ。数百年前の塚は墓碑はなくて塚しかない。金持ちの塚は大きい。墓と周りの環境に違和感があるところだ。例えば今日のこの墓は、周りは見渡す限り平野で、唯一ぽつんとあるのは塚だけだ。」


僕は車の窓から、四方を見ると案の定、本当にぽつんとただ塚があるだけだった。僕は何となくわかった気がした。その時お爺がまた「ここは百年前は草が生い茂り平らでいい土地だった。あそこを見て見ろ。彼らはあそこに住んでいたんだ。風よけや羊が走っているのが目に浮かぶようだ。この家の人は軍士を見つけ副葬したのだから、当時身分が良かったんだろうな!でも惜しいことに草を食いつくさないうちに他へ行ってしまった。」


僕は驚いた。「え?そんなことまでわかるの?」


お爺は得意げに言った。「見てみろ。あそこに水泡があるだろう。もし当時草をきれいに食べつくしていたなら、ここに水は無くてとっくにゴビ砂漠になっているだろう。でも水泡がどんどん小さくなっているから、ほとんど食べつくしたんだろうな!」


僕はまた驚愕して聞いた。「お爺、どうして?」


お爺は言った。「彼らは儂らとあまり違いはない。両者とも方位を重んじるけど、彼らは東枕で儂らは西枕だというだけだ。彼らは他にも山や水を重んじているから、水と近い場所に墓を作る。干ばつ地帯だから保存状態が非常にいいんだ。」


「へー!お爺!もっと・・・」


お爺は笑って、目を閉じてくつろぎ始めた。「お前は本当に知りたいことが多いな。お爺は今日疲れたから寝ることにする!お前は叔父達を手伝いに行ってやれ。少ししたら出発するぞ!」


僕は気を利かせて車から降りた。

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