第2話 昔の事は過ぎた

この人達のことを書きたかった、時には彼らが何か事件に遭うのを心配し、夢の中でさえ心配しているのは彼らが捕まること。でもこの特殊な団体、僕の家族を皆さんに知って頂きたい!彼らはずっと苦労してきた!


お爺は、「人は誰でも死ぬ、そしてその遺品は後世を富ませる!でも……土に埋めてある物は土の中で寝かせよう!」と言った。


空叔父は、「人。その一生は、過ぎるのがとても速い。家族や、周りの人を気遣い世話をするのはとても善いことだ!」と言った。


叔父は、「埋められた物は人が必要としない物、僕は人が必要としない物を貰う、僕は乞食だ!それもお金持ちの乞食だ!」と言った。


大力おじは、「今まで細々とやって来て、やっと大きなお墓に出会えたのに、すでに他の人に盗掘されていたんだ!ああ!なんて不運なんだろう!」と言った。


父は、「彼らは鬼と付き合うのだ、彼らとあんまり付き合わないように!」と言った。


僕が少年の時、親戚たちが僕の家に来たのはいつもよる遅い時間だった。そして地下室のライトはいつも一晩中つけっ放しになっていた。外から見ても地下室があるなんて気づきもしないだろうけどね。


ある時、彼らが昼に地下室からでて来て、ご飯を食べていた時、叔父は笑いながら、大力おじに「今回はまあまあだね!あれで何万元かは稼げるよ」と言った。

お爺はその時、今でも流行っている一言を言った。「控えめに!人としては控えめに!」

 空叔父はいつもは無口な人なのだが、僕の隣を通り過ぎる時に、自分の首に掛けている玉に触れ、僕の頭を擦ってこう言った。「甥、空叔父にキスしてくれたら、この玉をあげるよ。どうだい?」

 僕は空叔父の髭だらけの顔を避けながら、「いやだ!いやだ!空叔父は土まみれだし、いやだ!」と言った。


 空叔父はいつも玉ではなく飴を取りだし、同じようにからかって僕を喜ばせてくれるのだ。


 僕の記憶では、お爺は次お爺の話をした事がなく、次お爺が僕の家に来た事は一回しかない。僕が知っているのは次お爺がお金持ちになったことくらいだ。僕の今の仕事は次お爺が手配してくれた仕事である。でもおかしい事に、次お爺は僕の家族と付き合う事が多い訳ではないが、何かあったら、必ず助けてくれた。


 その後僕が高校一年生になった頃、少しずつ、お爺、空叔父、叔父、大力おじの全員が鬼顔であることが分かった、鬼顔とはウイグルの方言で、お墓を盗掘するという意味だ。僕は高校を卒業したその年、四川にある有名な大学に合格した。家族全員は僕の進学をお祝いするために、ようやく全員揃って、一つのテーブルで食事する事ができた。お爺は僕に10万元をくれた。お爺は、僕に言った、「お前の次お爺はお前に5万元をあげたが、儂は倍の10万元をあげよう。ね!みんちゃん、うちの家族の中で、お前の学歴が一番高いのだ、頑張れ、出世してくれ!うちの家族はみんな日陰暮らしだ、お前は出世しておくれ!頑張れよ、頑張れ……」


そして、皆でお酒を飲んでいると、いつも控えめな空叔父は、「お前は何がほしい?空叔父はこの玉をあげよう!」と直接的に聞いてきた。

父は空叔父を見ながら話した。「じゃ君はどうする?君に今度、何かあったら……」

空叔父は酔って目が真っ赤になっていた。そしてさらに白酒を一口飲んで言った。「はっは!彼はうちの一人っ子だよ!彼が無事ならいいんだよ!」

父は何度も辞退したけど、僕はその玉を受け取り、身に付けた。

父は玉を見ながら言った。「お前はこの玉を大切に保管しなさい!この玉はお前の空叔父の命と同じだよ!」

叔父はそうと思わないみたいに言った、「それは大したもんじゃないさ!俺はお前にいい物をあげる!」そして腰から何かをおろして、僕の前に置いた。

よく見ると、それは僕の手の平と同じぐらいの大きさでだ。僕はそれを持ちあげて見ながら叔父に尋ねた。「叔父!これは何?とても大きいね!」

叔父は迷う表情をして言い詰めた。「こ……これは将軍の玉の令牌だ。」


お爺は叔父を睨んで、そして玉令牌を取って、叔父に投げて怒った。「お前らは土に埋った物を人に贈るなんて、寿命を縮めるぞ!」

叔父はちょっと緊張気味で言った。「俺はこの玉の令牌を20年ほど付けていたよ、エッヘン!まあいいか!他の物をあげる!甥!この携帯は買ってからまだ一カ月も経ってない、好きならばあげるよ、男は携帯がなければ、外に行ったら妻も探せないよ!君の叔父は無知な人だから、買ってからも使い方が分からない、ただの飾りだ、あげるよ!」

と言いながら、僕と大力おじの前に投げた。

2001年の時、シモンズはまだ携帯を生産していた、叔父は2115型を買った、僕はそれを貰った。

大力おじは、「この子は賢いから、家族の望みだよ!」と言ながら、僕に大きなお年玉をくれてから、また叔父と酒を飲み始めた。

僕は彼らを見ながら、お爺に言った。「お爺、僕も鬼顔を一回やってみたい。僕を連れて行って!」

お爺はお酒を喉に詰まりそうになった、目を丸くして僕を睨みながら聞いた。「お前はどうやって鬼顔のことを知っていたんだ?……誰が教えたんだ?」


父はびっくりし鋭い目つきで僕を見つめた。僕もびっくりしていまい黙っていた。すると叔父が助けてくれるように言った。「みんはまだ子供だけど、何を聞いても分かるのさ、もう18歳だし!」

父は怒鳴りした。「だめ!お前は行って何をするの?鬼顔は天理に背く事だ!

僕はお爺に向かって聞いた。「お爺!お爺!国はお墓を掘り出すことを考古学と呼んでいる、僕はただ見に行くだけだよ。勉強と言えるでしょ!何で行っちゃだめなの?」

お爺は何も言わなかった、空叔父は沈黙を破って言った。「行きたがるなら行っていいよ!見るだけなら大丈夫だよ!俺達の誰かしらがこの子の世話をできるだろう!」

父は怒鳴りを散らして言った。「だめだ!みんは行っちゃだめだ!うちのただ一人の子だから、万が一罰が当ったら、お前らのうち誰が責任を取るっていうんだ?」

お爺はようやく口を開いた。「我々がどうして罰が当たるというんだ?それなら国の名義でお墓を掘り出して研究する人々はもっと罰当たりのはずじゃないか?!みんを行かせよう、これは我が一族の御家芸なのだから。みんが儂らの腕前を勉強できたら、彼の身なるのだ。」


お祝いの後、僕は殆どこの事を忘れてしまっていた。数日後、空叔父が家にやって来た。そして入ってきてすぐにこう言った、「みん、準備はいいかい?南ウイグルに行くぞ!長袖の服と長いズボンを用意してくれ、あっちは夜、風と砂ぼこりがすごく強いから!」


僕の家は北ウイグルにある、カラマイ市はとても美しい都市だ。今回の旅はとても刺激的で、しかも準備から出発まで短かった。僕は恋人に別れの挨拶をする時間さえもなかった。出発の日は2001年7月16日だった。

家を出たら、車は3台あったのに気付いた。僕はお爺の車に乗りたかった、お爺の車はサンタナだったのだ、2001年頃、それはいい車だった。空叔父の車はマイクロバスだった、とても古くてボロボロだ。叔父と大力おじは古いジープに乗っていた。

でも空叔父は僕をマイクロバスに乗せて、お爺の車に乗せてはくれなかった。マイクロバスの中は石灰の臭いがした、前の席以外、後は黒い布で覆われていた。

バスに乗ってから、気分が悪くなってしまった。車を運転していた空叔父はあまり話をしなかった。ただ「熱中症にならないように水をたくさん飲みなさい。」とだけ言った。


マイクロバスの運転を代わるため大力おじが来た。すると途端車の中がとても賑やかになった。

大力おじは車に乗った瞬間、僕に叫んだ、「甥っ子、タバコを吸えるか?……吸えるようには見えないが、吸えるのかい!」そう言いながら、一箱の紅塔山を投げてよこした。

僕は笑いながら、一本を点けて、気持ちよく体を伸ばしながら、叔父に質問した、「叔父、このお墓に本当に宝物があるの?」


叔父は大声を出して言った。「何を言っているんだ!俺の財産がいくらか知っているかい?」と言いながら、3本の指を出した。

「30万元?」と僕は目を見張って聞いた。


「違う!300万元だよ!」と俺は自慢げに言い、満足した様子でタバコを吸った。

「ちぇっ!300万元もあるのに、紅塔山を吸うの?こんな古くてボロボロなマイクロバスを運転するの?」と僕は叔父を疑いながら、タバコの灰を落とした。

「お前は知らないだけだよ!この道は様々な人が通るんだよ、よく考えて見な、もし強盗が来て、このボロボロな車を見たって、何かを奪い取ろうなんて思いもしないだろう!お前のお爺は言っただろう、「「全ては控え目で!」」お前は、いい車を乗ったら、どこに行ったって人に注目されてきて何もできないでしょ!へへ!お前は大学生なのに、世間知らずだなぁ!」叔父は言った。

「僕はまだ大学に行ってないよ!高校卒業したばかりだよ!」と僕は言い返した。


叔父はちょっと落ち込んで言った。「お前は大学に行ったら、恋愛ばかりしていないで、まずは勉強に集中して、卒業したら会社を立ちあげなさい!俺も株を買うからさ。俺らはみんな泥まみれで、お金をいっぱい稼いだって、何も役に立たない。俺たちは穴を掘る以外は、何もできない!」と言いながら、タバコの吸い殻を窓の外に捨てた。

僕は叔父に聞いた、「叔父はゾンビを掘り出した事があるかい?掘り出したら、ゾンビと戦いをしなければいけないの?」

 叔父は半分笑って言った。「お前はホラー映画を見すぎだよ?人は死んだら動けないんだよ、分かったかい?目が利くと宝を掘り出したら、相当儲かるよ。お前の叔父の俺は掘り出した事があるよ、一度で200万元だよ。辺境のロシア人に売ったんだ!へへ!でもゾンビと言えば、一回出会った事があるな。でもそれはいったい何だったのか誰も知らない。」


 僕は待ち切れなくて、叔父の腕を揺らしながら言った。「教えて!ねぇ。早く教えて!」

 叔父は慌てて言った。「揺らすな!事故になるぞ!まずは俺にタバコを点けてくれ!」

 僕は一本新しいタバコを出して、自分が吸っているタバコで点けようとしたところ、叔父が慌てて言った、「だめだめ!タバコでタバコに火をつけてはだめだぞ!ライターで点けなさい」

 僕は聞いた、「え?何で?諺みたいに、くっ付いたら妻が死んっちゃうから?」

 叔父は怒って言った、「まったくこの子は、何もわかってないな!タバコ同士でくっ付けるなんて縁起でもない!妻が死ぬだけじゃない、鬼に遭うぞ!お前は俺を鬼と逢わさせたいのか!」

僕は叔父の機嫌を取るように言った。「はいはいはい!僕が火を点けてあげるから!」

叔父はタバコを受取ると、さっきまで怒っていたことを忘れたようだ。叔父はタバコを一口吸ってこう言った。「前回、お前のお爺と一緒にあるお墓を掘ったんだ、中はすごく濡れていた!匂いもすごく臭くて、防毒マスクをしていたのに、それでもまだ匂う!それも当然だ、中は水浸しになっていて、金属以外の、その他の物はすべて腐ってしまったいるのだろう。だが中に埋葬されていた遺体はまだいい状態だった。おかしいだろう?あの穴の深さは1メータルもない、木の板は腐敗っていたのだ。その時、もし上でジャンプしていたら、お墓が崩れてしまっただろう。俺達は穴の外で火を起こして、中を乾かそうとした。でも丸一日火を起こして乾かし、火を消して見たが、まだ湿気が凄くて、臭いもまだ残っていた。それでも俺は我慢できずに、道具を持って、お墓の中に入ったんだ。」


僕は叔父の話を中断して聞いた。「何を持って入ったの?」

叔父は中断されるのはとっても不機嫌そうに言った。「シャベル!軍用シャベルだよ!俺はヘッドライトを点け、松明を手にして、ジャンプしてお墓の中に下りた。お前のお爺はその時、とても用心して、「中に入って、何事もなければいいけど、穴が崩れたら、お前は埋まれるぞ!」」と言ったが、それでも俺たちは中に入ったんだ。お墓の中はそんなに大きくない、直径はおおよそ2メートル余りだ。お墓の地面に着いて初めて、まだ水があることに気付いた。しかもどろどろしていた。お墓の中の棺桶の蓋はすでになく、俺はそのお墓はそんなに古くはないだろうと思った。でもその木切れをお墓の外に持って出たら、お前のお爺は興奮して、「「このお墓は少なくとも300年の歴史がある!」」と言った。そして俺は再びお墓の中に入り、まず粽を包むように棺桶に紐を巻き、外に引っ張りあげたんだ。俺はさらに半日、お宝がないが泥の中を一生懸命に探したが何もなかった。お墓の中は棺桶が一つだけだったのだ。空叔父と俺は手袋して遺体の服を脱がしたんだ、するとゴム手袋に黒い物が付いて、水で洗っても落ちなかった。お前のお爺はさすが経験が多い、毒があると言ったんだ、それを聞いて俺らも気をつけた。」


叔父は話を止めて、タバコを何回吸った。僕は緊張して唾を飲んで聞いた。「その後は?」

叔父は僕をチラっと見て言った。「服を全部脱がしたんだが、あれは恐ろしかった!なんとあの遺体の皮膚にはまだ弾力があったんだ!血管までよく見えたんだが、血管は緑色だった!俺はその場で吐いたよ!服は腐敗したのに、死体はまだ腐敗してない何てあり得ないだろう?お前のお爺はその時言った、「「これはおかしい、もしかしてこいつは鬼か!」」俺は信じられなくて話した。「「死体はもう動かないから、鬼じゃないよ!」」そしたら、お前の空叔父は手を出して、死体を触った。そして死体はなんと動いた!お前の空叔父は凄く驚いていたよ!ははは!」

「空叔父はどうしたの?」僕は待ち切れず聞いた。

「彼は「「鬼だ!鬼だ!鬼だ!」」と叫んださ!俺らは何メートルも下がったが、特に何も起きなかった。お前のお爺は燃やしてしまおう!と言った、それで俺らは死体に火をつけた、何分か経ったら、死体は真っ黒なミイラになった。しかもおかしい事に、あの臭いにおいもなくなった。」


僕は何かを考えている様子で頷いた。「叔父は若しかして色盲?赤色と緑色の色盲で、赤い血管を緑色に見間違えたとか?

叔父は急に声を上げた。「お前こそ色盲だよ!俺が色盲ならば、運転できると思うか?」

僕は笑った。「はは!叔父、その後はどうなったの?」

「後?その後はお前のお爺はミイラになった死体を火で焼いた。そして縁起が悪いと言った!」

僕はまた聞いた。「あれ!そのミイラは何かお金になるお宝は身に付けていなかったの?」


叔父は答えた。「ウイグルと内陸のお墓は違うよ。大半のウイグル人は何百年前かは遊牧民族だった。遊牧民族の人々は色んなところに点々と移住することを好む、一か所でずっと住むのは少ない。それで遊牧民族の人々は死ぬと、どこか適当な場所に埋めるのだ。お金持ちの人なら、何かいい物を一緒に葬った。お金が無い人はフェルトで巻いて土に埋めただけ。でも森の奥で埋めることは少ない。なぜなら遊牧民族はいつか森に住むからだ。万が一誰かのお墓の上に住んだら、とっても縁起が悪いだろう?」


僕はまた何かを考えている様子で頷いた。叔父はまた話した。「でもね、普通は大体収穫がある。俺らは古人の物について、値打ちがあるのか、ないのかよく分からないが、ロシア人は知っている。お前の大力おじの腰にいつもある玉を付けているだろう?あるロシア人は100万元を出して買おうとしたのに、大力は頑なに売らなかったんだ。あいつはロシア人とは商売をしないのだ。でも一度だけ売ったことがある、古くて少し欠けた磁器のお碗を30万元で売った事がある。その実あのお碗は彼のお婆ちゃんが、文化大革命の時に露店で買った物だよ、はは!大力は何日間も笑ったよ。」

僕はちょっと作り笑いをしながら聞いた。「叔父、この世界には鬼がいると思う?」

叔父は真っ直ぐ前を見ながら答えた。「いるだろうね!でも俺らは遭った事がない。お前のお爺は鬼がいると言っていたよ。」


僕はまた聞いた。「お墓の中には、何かからくり仕掛けがあったりするの?」

叔父は僕をチラッと見て、話した。「すべてではないがあるお墓にはからくり仕掛けがあったぞ!俺の肩にある傷痕を見てごらん!」と言いながら、自慢げに自分の黒い肩を出した。見ると肩に古傷があった。菱型の傷跡だ。僕がさらに質問しようとした時、お爺の車を路肩に停車したのだ。叔父も空叔父達も車を停まった。


お爺は車を降りると、路肩にしゃがんで、ずっと咳をしたのに気付いた。そして、お爺の車から一人の女の子が降りて来た。花姉だ。女の子と言うのもおかしな話しだ。彼女は僕より三歳年上なのだ。家族のみんなが僕に教えてくれたのは、女の子の名前は花姉ということだけだ。記憶の中の彼女は、いつもお爺にくっついて歩いていた。お爺を師匠にして技術を習っているのだ。それしか知らないし尋ねたこともない。花姉に会うのはおおよそ2年ぶりだ。花姉はお爺の背中を擦りながら、僕を見ている。僕はちょっと照れくさくて、花姉の視線を追ってみると、彼女が僕の首に掛けている玉を見ていることに気付いた。僕は無意識に手で玉を抑えたところ、花姉はようやく自分の失態に気付いた。


お爺はいっぱい咳をして、ようやく落ち着いた。空叔父達に向いて話した。「儂は年をとったから、もう役に立たない。お前たちは将来、自分自身を頼りにするように!死神が儂を迎えにきているようだ!」


叔父はこんな悲しい話に弱いから、先に口を開いた。「お父さんは年をとったから、家でゆっくりすればいいのに!毎回付いて来るなんて、俺らはお父さんを使い過ぎみたいだ。」

空叔父は水筒を取ってきて、花姉に渡し、花姉はお爺に飲ませた。お爺は水を飲んで、風で汗を飛ばしたら、気持ちよくなったようで再び車に乗った。

僕が車に乗る際に、花姉が僕をチラッと見ているのに気付いた。だがその視線は言葉で言い表せない違和感があった。


次にマイクロバスを運転するのは、大力おじだ。。大力おじはうるさい人で、僕に色んなタブーの単語を口にするなと注意した。僕は全然気にしないで聞いた。「大力おじ、僕らは今どこに向かっているの?」


大力おじは僕をチラッと見てから答えた。「どうした?知らないの?ウイグル北部のある町に行くんだよ!」


僕はおかしいと思って、聞いた。「南ウイグルに行くじゃないの?空叔父はそう教えてくれたよ。」


大力おじはまた僕をチラッと見て、答えた。「空叔父はお前に噓をついたんだよ。一般的には他の人に、偽の行き先を教えるのがルールだ。もし本当の行き先を誰かに教えたら、万が一誰かにあとをつけられたらマズイだろう!」


「お!」僕はもう言葉がでなかった。僕にも嘘をつくなんて、まったく!怒りたい気分だ。


 車は高速ですすんでいく。僕はまた大力おじに聞いた。「大力おじ達はお墓の宝を掘り出した時、鬼を掘り出した事はないの?」


 大力おじは笑って言った。「もし綺麗な女の鬼を掘り出したら、俺はその場で彼女とやるよ!」


 「はは!大力おじ、僕に何か知識を伝授してよ?」


 「何もないさ!結局は、力仕事だよ!」と大力おじは言いながら、何かを思い出したみたいに話した。「その時になれば、お前は見るだけにしなさい、絶対に触っていけない。掘り出した物に問題があるかどうか、はっきりとは言えないんだ!」


 僕は頷いた。また聞いた。「大力おじはお墓を掘り出すのは何年間もしているのに、何でお金持ちになってないの?」


 大力おじは笑って言った。「はは!あほだな!お前は!俺はもう十分にお金を儲けたよ!今、働いてるのはお前のお爺のためさ!」


 「えっと、大力おじ達はお墓を掘り出した時に、事故とか遭った事はなかったの?」


 「お前は悪い事を口にするな!事故なんて言うもんじゃない!でも、まぁ。何回かは危ない目にあったな!俺がいなければ、お前の叔父は今頃、棺桶で横になっているよ!まったく!」


 僕は興味を持ち出し、大力おじに話しをせがんだ。後で何か他の人にひけらかせる話しはないだろうか。大力おじは語った。「一昨年、南ウイグルのゴビ砂漠で、一つのお墓を見付けたが、それは随分年数が経ったお墓だった。俺らはシャベルで掘り出すと、一つの石像を掘りあてた。石像の下にぽっかりと穴が空いていてな、その穴の中は真っ黒で、何も見えなかった。お前の叔父は穴の中に入りたがったんだ。俺とお前の空叔父は、まず石像を移動させて、それから入ろうと言った。そのままで入ると、万が一石像が倒れでもしたら、穴に入ったはいいが皆生き埋めになっちまうだろう。でもお前の叔父は聞く耳をもたずで、いてもたってもいれず、さっさ入っちまったんだ。穴を覗いてみたが、そんなに深い穴じゃないなと思い、俺たちも入ろうとしたんだ。そしたら、穴の中から、カサコソと変な物音が聞こえたんだ。俺らは約50センチ程、後退りした。お前のお爺は松明を穴に入れようとしたんだが。松明に火を付け終らない内に、穴から大量の蟻が湧いて出て来た。俺らは死ぬほど驚いた。お前の叔父は蟻に噛まれて、死にかけていた!俺らはお前の叔父を引っ張りあげて、走って逃げた!空叔父はまだましだよ、俺たちがまだ穴に入ってなかったからな。外で待機していた奴等が車を運転して俺たちを乗せて逃げ切ったんだ。車がなければ、俺らは多分、蟻に食われていたよ。」


 大力おじは話している間にも、何回も怖そうに後ろに振り向いた。その話を聞いて僕も全身鳥肌が立った。


 その実大力おじは学のある人だ、彼は学生時代、成績がとても良かった。でも初めての大学入試の時、落ちた。二回目の入試に参加しようとした時、僕のお爺は大力おじを連れて、お墓を掘り出す道を歩んだ。僕の父と母は幼馴染みだった。母が幼い頃、母の実家は貧しかった、父の家族が母の実家の面倒をみてくれていた。だから、お婆ちゃんはお爺に恩義を感じ、母を父に嫁がせ、大力おじをお爺に付いて行かせた。よく考えたら、お婆ちゃんちは生活のため金持ちと関係を持ちたかったし、お爺ちは働き手がほしいかった、そんなわけで、今では、大力おじはお爺の息子同然の存在になっている。


 何年か前に、大力おじはある古い石を8万元でロシア人に売った後。そしてほぼ毎日お酒とお肉を買って、うちに来て、父とお酒を飲んだ。呑んで楽しくなると、8万元の話を繰り返し話していた。大力おじは色んな家に出入りしている。お爺はマンションの一室を大力おじにあげたが、大力おじはあんまり住んでいないようだ。大力おじは時々友達とお酒を飲み酒に酔ったら、誰かの家に泊まり。翌日さらに迎え酒を飲むという生活を送っている。可笑しなことに、大力おじのマンションは泥棒に侵入された事があったが、そのことに気が付いたのは一か月後だった。泥棒は窓ガラスを割って侵入したようで、ガラスが割れたまま一か月放置されていた、そのためベッドの上は鼠の糞だらけになっており、床には一匹の死んだ猫がいた。


 お爺はとても怒って、人を雇って、大力おじを探させた。ただ、捕まえるためで殺すためではない。だが大力おじはウサギよりも早く街中を逃げまわって一騒動を起こした。その後、お爺は大力おじを盗掘に連れていくようになった。そうして大力おじは「鬼顔家族」の一員となった。それからようやく落ち着き、今ではお金を稼ぐことに専念している。


 大力おじは車を運転しながら、ひっきりなしに電話に出ていた。電話からもれ聞こえる声は男の声であったり女の声であったりした。電話で話し終わるとその隙に、大力おじは僕と話しをするという感じだ。僕は服を引っ張って身体を覆い、少し寝る事にした。車が停まった時、慣性があまりに大きすぎて、僕は反応できずに前のめりになり頭をフロントガラスにぶつけてしまった。僕はあまりの痛さで怒り出した。「何だこのボロボロな車は!シートベルトをつけたってつけなくたって同じじゃないか!ぶつかるなんて!大力おじの運転技術は下手だな!」

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