第2話 出逢い
「あーあ、疲れたぁ」
帰り道を歩きながら今朝と同様前田が後頭部に両腕を組み溜息交じりで呟いた。
「そうだなぁ、さすがに今日は疲れたよ。何たって各教科は一限以外抜き打ちテスト、ホームルームは長引くし大変だったな」
石神が首を傾げ苦笑しながら答える。
「踏んだり蹴ったりだったな。連続抜き打ちなんてある意味奇跡だよ。まあ頑張って乗り越えたんだし、今日はパーッと行くか!」
両腕を左右斜め上に思いっきり伸ばし言い放った
「パーッとってどうするんだ? 」
キョトンとしながら前田に質問する
「それはだなぁ、よし! 飯食わせてくれよ!お前の手料理!」
石神を人差し指で指さしニッと歯を見せて笑いながら元気に答える
「どうせおばさんとおじさんは仕事が遅くてまだ家に居ないだろ?」
親友である前田は石神家のスケジュールをちゃんと把握しておりその上で食事の話を持ちかけた。
「んー? うーん…」
「どうした?腕組みなんかして、 無理か?なんなら俺ん家の食材持ってくぞ」
「あーいやそうじゃなくて、長い付き合いなのに未だにお前の好きな料理が掴めなくてな」
「お前の作った料理なら何でも好きだぜ!」
親指を立ててグッドにする。
「お前、本当に毎回毎回俺の作る何もかもが好きって言うからなぁ まぁいいか。じゃあ荷物置いて俺の家に来てくれ」
「おう!」
「なーなー」
「んー?」
ジュージューと音を立て料理を作りながら答える
「進路の話だけどさー、お前本当に調理師になるのかー?」
テーブルに突っ伏して進路表を持ちながら聞く
「そうだな、料理するの好きだしそっち方面かな」
「そっかー、俺はまだ考えてないんだよなー。まぁいっか! 何とかなるだろ!」
いつも通りの前向きな考えで進路表を投げてしまう前田
「よーし。出来たぞぉ」
「待ってました!食うぞ!」
「ご馳走様。いやぁやっぱり美味いよなぁお前の飯」
爪楊枝片手に満足そうな笑顔になる。
「そうか?なら良かったよ。じゃあ俺は片付けに入りますかね」
「さて、テレビでも見るかなぁ」
前田がソファーに腰掛けテレビをピッとつけると時刻は20時ちょい過ぎで生放送のニュースがやっていた
「えー今焼死体、水死体が見つかったとされる〇△公園に来ています。ご覧下さい警官達がまだ立っており現場はまだ新しいものとなっています!」
「えー〇△公園なんて近くじゃん、ちょっと興味湧くな。」
「物騒な事言うなよ。面倒事には巻き込まれたくないね。」
食器を拭きながら嫌な顔になる石神
「えー、いいじゃん。行こうぜ!食後の散歩がてらだ。」
そういうと前田は石神の手を引っ張り外へ飛び出す
「例の公園の周辺に着いた訳だけど何しよっか?公園には入れないし」
「考えてなかったのかよ!? じゃあ別にやる事ないんだし帰ってもいいんじゃないか? 散歩がてらだろ?」
「まぁそうだなじゃあ帰るか」
「!? ちょっと待て! 見えるか?向かいの家の屋根にいる2人組」
「あら?見つかっちゃったわね」
「そのようだな」
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