第24章 おばちゃん、獣人の国へ行く

第280話

 四十階のセーフティーゾーンにある転移する部屋を利用して、ダンジョンの入口に戻った私たち。そのすぐそばにある冒険者ギルドの出張所に向かうと、遺体について報告した。

 当然、騎士に関しては、ボンボンどもが引き取ってくれるかと思いきや、気がついたら、生き残った騎士たちを連れて、馬車でさっさと出て行ったらしい。冒険者たちは放置かよ。

 仕方ないから、騎士の遺体と一緒に、冒険者の遺体と回収できたギルドカードを渡すだけ渡すと、すぐに飛び出してきた。何せ、怒りに任せてドンドン遺体を出したもんだから、受付の男性がぎゃーぎゃー煩いもんで。ボンボンの家に、勝手に報告してくれ。

 ヘリウスたち、生き残った数人の冒険者たちは、一応、護衛に関しては達成報告という形になるらしい。生きてダンジョンから出てこれたのだもの。ヘリウスに関してだけは指名依頼だったそうで、後で個別に、公爵に報告をしに行くらしい。

 どんな報告がされるのか、楽しみだ。わっはっは(腹黒い笑い)。


「おい、パメラ、ニコラス」


 コークシス王国に着いて早々、リンドベルの屋敷に預けていた馬を連れて来ていた私たちは、その馬を預けていた厩舎にいた。そこに現れたのが、ヘリウスとチビちゃん。なんと、彼らも馬を引き取りに来たようなんだけれど……いや、あれは馬じゃないな。だって、足の数が違う。何、八本!? 魔物? 厩舎の馬たちが一様に怯えているように見える。うちの子たちは少し離れたところにいたせいか、他の子たちよりは、マシな状態だろうか。


「街まで戻るんだろ。どうせなら、一緒に行かないか」


 私がその生き物にびっくりしているうちに彼らの間での会話が進んでいたようで、一旦、ダンジョンの近くの街まで一緒に行くという話になっていた。

 私と双子だけだったら、人のいなそうな所から気にせず転移で森の家か、リンドベル家にでも飛ぶんだけれど、何せ、ヘリウスとチビちゃんという同行者ができてしまった。

 背負っているリュックとかの見せる荷物が重くて、さっさと仕舞いたかっただけに、余計なことを、と内心苛ついたけれど、大人な私はなんとか笑みを浮かべることに成功する。何せ、チビちゃんが興味津々で私を見ているのだ。

 ヘリウスのちっちゃい版。なかなか可愛い。私よりも少し大きい感じだから、十三、四歳くらいだろうか。隣のヘリウスが馬鹿みたいにデカいから、余計に可愛く見えるのかもしれないけど。


 厩舎を出て街道を馬で進む。私はリュックを抱えながら、ニコラス兄様の前でしっかり座っている。ダンジョンと街を繋ぐ街道は、人の通りが多いせいか、踏み固められていて、馬も走りやすそうだ。

 隣を進むヘリウスたちはあの八本足の馬? に乗っている。この八本足、スレイプニルという生き物だそうで、中々貴重な生き物らしい。灰色の毛並が艶々としていて、堂々と進むスレイプニルに、時々、目が向いてしまう。

 うちの子たちと並ぶと、一回り近く大きいのがよくわかる。こんなのの隣を歩けるうちの子たち、優秀だわ。

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