第182話
変に威厳のあるオーラを出してる姿は、年若くても、彼も王族の一員ということなのだろう。見かけによらず、というべきか。
残念ながら、私はビビらないけど。だって、せいぜい、中学生か高校生なのよ?
「面倒なんで、単刀直入に聞きますね」
私の言葉に、ギョッとしたのは従者の男の子。ごめんね、マナーがなってなくて。
「あ、その前に、結界させていただきます」
サッと軽く結界をはる。さりげなく、地図情報、確認してます。悪意、当然、ありますよね。ほんのりピンク程度だけど。これからの会話、変な人たちに聞かれたくないのだ。
だけど、これで王子はムッとした顔になる。お子様だな、おい。
「そこまでする必要があるのか」
「そうですね。お互いのためにもね……彼は信用できるんですよね?」
私はジロリと従者くんに目を向ける。あの謁見の時も、彼の未来の側近くんが、嵌められてたわけだし。ただ、あの黒いモヤモヤみたいなのは見えないから、呪いの類はないと思うが。
「この者は、私の乳兄弟だっ。お前とは違うっ」
「王子」
「くっ!」
従者くんに窘められて、悔しがってる王子。可愛らしい外見とはよそに、なかなかしっかりしてるみたい。それに、リシャール様の彼への信用はかなり厚いみたいだな。一応、悪意感知にはひっかからない。姉様に目を向けると、苦笑いしてる。
「じゃぁ、本題」
ジーッと王子を見つめる。彼も負けじと睨みつけてくる。ちょっと可愛い、とか思ってしまったよ。なんていうか、いじりたくなるタイプ?
そんな気持ちは抑え込んで、言葉を続ける。
「なんでも、リシャール様と私の婚約の話があるとか。それも、リシャール様、ご本人から、ヴィクトル様と話をされてると聞きおよんでおりますが、どういうことでしょうか」
「ミーシャ、率直に聞き過ぎでしょ」
パメラ姉様は苦笑いしながら、呆れてる。王子もビックリしてる。
「いや、だって、午後の授業がすぐなんですよね。で、どうなんです?」
私の矢継ぎ早な質問に、王子も苦虫を嚙み潰したような顔になる。暫く、無言の時間が過ぎる。
「……はぁ。そうだな。兄上のお傍には、イザークがいるのであったな。私の詰めの甘さか……」
最後には大きなため息をついて、話し出した。
婚約の話を出したのは事実らしい。ただ、元々を言えば、偽聖女対策に、聖女である私をぶつけることで、自分の身を守るのが目的だったらしい。
やはり、側近の死のことが、彼には納得がいかなくて、その怒りの矛先が私に来たのだろうか。自分の婚約者ともなれば、偽聖女がきっと私にちょっかいを出してきて、嫌がらせをするだろうと。少しぐらい、嫌な思いすればいいと思ったのだろうか。
なんというか、お子様だなぁ。
あ。そういや、まだまだお子様だったわね。
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