第162話
屋敷の自分の部屋に戻り、部屋から出たところにいたメイドさんに、パメラ姉様かニコラス兄様がいないかと聞いたら、まだ、皆で客間に集まっている、と教えられた。
慌てて客間に向かうと、皆から驚かれ……そして、叱られてしまった。いきなり消えるとは、心配するじゃないか、と。……ごもっとも。
一応、結界が張れたことを報告した上で、みんなにピンバッチを渡していく。その場にいたセバスチャンさんにも。何かあった時のためにね。
そして、許可された人が乗っていれば荷馬車の乗り入れも出来たことを伝えた。でも、万が一、不審者が隠れていた場合もあるのでテストに誰か付き合って欲しいとお願いしたところ、ニコラス兄様が一番乗りで手を上げた。
「当然、転移で行くんだろ?」
目をキラキラさせながら聞いてきたので、私も苦笑いする。そこで誰も止めないところがリンドベル家なんだろう。むしろ、エドワルドお父様は自分も、とか言い出す始末。
あんまり期待されて失敗したら嫌だなぁ、と思いつつ、まずは一人でお願いします、と言うと、ニコラス兄様とエドワルドお父様、じゃんけん対決でニコラス兄様に決まった。(じゃんけんはシャトルワースからの逃亡中に暇な時に教えたものだ)
……結果として、私と手を繋いだ形で転移してみたら、簡単にいけてしまった。
「すげぇな!」
ニコラス兄様、あまりの興奮で、美しいお顔に反して、言葉遣いが崩れてますよ。まぁ、貴族とはいえ、冒険者だしね。
それはそれとして、外で待たせているゲイリーさんたちのことを思い出して、急いで家から出る私たち。
「まぁ! ニコラス様もいらしてたんですか!」
「ああ、そうなんだ」
満面の笑みで答えるニコラス兄様に、頬を染めるニーナさん。うん、イケメンパワー凄いね。
結果として、荷台に不審者が乗り込んでた場合、不審者だけ押し出されることがわかった。テストに付き合ってくれたのはニコラス兄様。荷台から転げ落ちて、思い切り土まみれになってしまったのに、なぜか大笑いしてた。
ゲイリーさんたちから合鍵を受け取ると、一旦屋敷に戻った私たち。
「転移陣のとは違って、気がついたら着いてた、みたいな感じだったよ」
屋敷に戻ってから、皆にどこか自慢げに報告したニコラス兄様。そしたら、皆が皆、転移してみたいと言い出した。
一応、ステータスを確認したら、魔力の数値はあまり減っていないようだったので(どんだけ魔力の値が高いのかは言うまい……)、確認してみることになった。
目的地は変わらず、魔の森の家。
一人、二人、三人……一応、今その場にいる冒険者である家族四人、プラス、セバスチャンさんの合計五人までは、飛べることはわかった。必ず、私の身体のどこかを掴んでないと駄目みたいだけどね。
……なんか、超便利なんですけど。
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