第44話
怪我をしてたアンディさんは、すぐに初級ポーションでなんとか治療できたみたい。本来なら、私が治癒とかできればいいんだろうけど、そこまでやらかしてしまうわけにはいかない。
他の人たちは全員馬車の中に入ってしまったけど、私は御者のおじさんや、アンディさん、メロディさんとともに、眠りこけている盗賊どもの前に立っている。そして、さも当然のように、イケメン上司が私の隣に立ってるんですけどっ!
「……あのぉ」
「なんだ?」
うえぇ……。
なんかデロ甘な笑顔を私に向けるんですが、なんでですかね? イケメンすぎてこっちが恥ずかしくなる。
隣に並んでびっくりだけど、メッチャ背が高いんですが。馬上にいた時はわからなかったけど、たぶん、百九十センチくらいあるんじゃないの? 思い切り見上げなきゃ、顔が見えません! ちなみに、あの怖い人たちも、同じくらいデカいんだけど。
お名前はイザークさんというらしい。とりあえず、悪意感知はしなかったから敵ではないんだろう。そういえば、オズワルドと呼ばれてた怖い人も悪意感知に引っ掛からなかった。
でも、そもそも、この国の連中も召喚したくらいだから悪意はないのか。そう気付いたら、悪意感知じゃ見つけられないことに気付いた。ちゃんと逃げられるんだろうか。
とりあえず、盗賊どもを縛り上げている間に、三人にマーカーをセットした。私らしき女の子を探してるってだけで、要注意だし……その上、三人とも鑑定出来なかったのだ。なんでだろう? 鑑定を邪魔するようなアイテムでもあるんだろうか。
「いや、えーと、冒険者ギルドの人たち、まだですかねぇ」
キョトキョトと街道の方の様子を見るフリをする。
実際、私たちは、先程襲撃を受けた場所から、一歩も動いていない。
盗賊どもの数、十八人。まだ眠ってはいるものの、全員を縄で縛り上げている。でも、もう少ししたら目が覚めちゃうかもしれないから、後で重ね掛けしないとダメかもしれない。暴れられたら、面倒だしね。
一応、イザークさんの指示のもと、オズワルドさんが今朝出てきた町のギルド宛に、何やら魔法で通報したらしい。魔法、便利。
「もうそろそろ来てもらわないと、次の野営の場所に着くころには真っ暗になっちまうんですが」
そう声をかけてきたのは御者のおじさん。そうだよね、そうだよね。早く、ここから動きたいよね! というか、私は猛烈に逃げたいデスッ!
「……大丈夫だ、どうやら、ギルドの連中がやって来たらしい」
その言葉通り、町のあった方から馬に乗った人たちの姿が見えてきた。
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