第143話 勇者バージャス4
「リヴァイアサン殿、助かったワン」
「有り難うございました。助かりました」
ブラックドッグのクロドと人魚のルアが、リヴァイアサンにお礼を言って、リヴァイアサンに駆け寄った。
「おう、ところでユウマはどうした? ユウマがいれば、あんな小僧どもいちころだろう」
「ちょっと出掛けているのです」
「そうか。その隙に狙われたんだな」
「クロドさんが護衛についてたので、大丈夫だと思っていたのです」
「面目ないワン」
「ははは、しょうがないな。じゃあ、ユウマが戻るまで、『海の洞窟』でユウマを待つか? 一緒に行こう」
「そうさせて貰うワン。ユウマには念話で連絡しておくワン」
リヴァイアサンの申し出を受けて、ルアとクロドは『海の洞窟』に行く事にした。
リヴァイアサンが出現した魔方陣の元に3人は移動し、周囲の水と一緒に魔方陣に吸い込まれていった。
リヴァイアサンの巨体と大きな物音がした事により、アカリフォルニの街ではちょっとした騒ぎになっていたが、幸い街の人達が様子を見に来た時には、既にリヴァイアサンとルアとクロドは『海の洞窟』に転移していた。
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勇者バージャスと魔女ヴァユーはリヴァイアサンに弾き飛ばされて、頭を下に足が上に大木に引っ掛かって気絶していた。
「う、うぅ……」
目が覚めるバージャス。
「世界が逆さまだ……」
ドスン。
身体を動かして頭から地面に落ちて、頭を抱えるバージャス。
「つぅ……、此処は何処だ……。」
周りを見渡すとバージャスと同じく逆さまになって、大木に引っ掛かり気絶している魔女ヴァユーを見つけた。
黒のマントコートとスカートが捲れて、パンティがあらわになっているヴァユー。
「眼福、眼福……」
じっと見ているバージャス。
スパーン!
後ろから聖女ナリエが杖でバージャスの後頭部を叩いた。
「バージャス! あんたねぇ! ボサッと見てないで、ヴァユーを助けなさいよぉ!」
「いてっ……、お、おう、そうだな」
バージャスは木に登って、ヴァユーを木から降ろした。
ナリエは二人に回復魔法を掛けて、怪我を癒す。
暫くすると、ヴァユーも目を覚ました。
「う、うぅ……、私達は……、リヴァイアサンにやられたのね……」
「そうだ、あの人魚と黒犬めぇ!」
「バージャス、これからどうする?」
「水竜の杖は是非とも手に入れたいな。益々欲しくなった。恐らく、リヴァイアサンは、ダンジョンの攻略報酬で手に入れた者の言う事を聞くと思うんだよね」
──全くの誤解で間違いなのだが、バージャスは知らない。
「そうかもね。でも、あの人魚から奪うのは難しいわ。リヴァイアサンを呼ばれたら、勝つイメージがまったくないもの」
ヴァユーも水竜の杖は欲しいと思っていた。
「別に人魚から奪わなくても、他に方法があるだろう。水竜の杖は『海の洞窟』の攻略報酬だ。『海の洞窟』を攻略して、水竜の杖をゲットだぜ!」
「そ、そうね!」
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