第142話 勇者バージャス3

ブラックドッグのクロドは、闇蔦に捕らわれた人魚のルアが後ろにいるため、勇者バージャスの攻撃を避けられない事から、闇の盾を展開し耐える事にした。


しかし、勇者バージャスの聖剣から溢れ出る聖なる光を見て絶望する。


「くっ、無理かワン……」


ルアも絡んだ闇蔦に抵抗し、必死に身体を動かし、背後の光に目を向け驚愕する。


「クロドさん、逃げてぇ。あの攻撃ではいかにクロドさんでも……」


「くくく、まだまだ威力は増して行くぞぉ」


バージャスは振り上げた聖剣に力を更に込めた。


「ふふふ、面白い事になったわ」


魔女ヴァユーがバージャスの横に飛んで来て、ニヤニヤ笑っている。


「リヴァイアサン、助けてぇ」


ルアが水竜の杖に魔力を込めた。


ルアとクロドの足元に大きな魔方陣が浮かび上がり、辺りの湿度が上昇していく……。


ブシュウウウウウウ!


地面が割れて魔方陣の中央から、地下水が噴水の様に柱を作って吹き上がった。


辺りが浸水していく。


「おう、どうした? ルア、変なのに絡まれてるのぅ」


リヴァイアサンが現れた。


「くくく、現れたかリヴァイアサアアアアアアアン! 丁度いい時、絶好の場所に現れたぜええええ!これを喰らえええええええ!そして、俺に従属するんだぁ!」


「ん? 何だお前?」


リヴァイアサンは勇者バージャスを振り向く。


勇者バージャスは聖剣をリヴァイアサンに振り下ろした。


ドン!


リヴァイアサンが右腕で聖剣の輝く斬撃を軽く弾いた。


「小僧、何かしたか?」


「え?……そんな……馬鹿な……」


「身の程を知れ」


リヴァイアサンが眼光鋭くバージャスを睨む。


「ひぃ」


ブウウウウウウウウン


物凄い質量で素早い動きのリヴァイアサンの尻尾が、勇者バージャスを弾き飛ばした。


ズドーン!!


「ぐへっ。」


慌てて聖剣でリヴァイアサンの尻尾を防いだが、聖剣ごと空高く吹き飛ばされる。


「ぎゃああああああああああああ」


リヴァイアサンはルアの闇蔦を見る。


「ふむ、この小娘の魔法か?」


闇蔦から伸びた魔力の跡を追う様に、魔女ヴァユーにゆっくり振り向く。


「ひ、ひゃぁ」


リヴァイアサンの迫力を見て、魔女ヴァユーは魔力で浮遊出来なくなり地に落ちた。


「いや……、た、助けて……」


腰を強かに打ち、腰を抜かしたヴァユーは首を振り座りながら後退る。


「おい、儂の仲間が世話になったようだのう……」


リヴァイアサンの顔が、ヴァユーと聖女ナリエに近付く。


「はわわわわわ」


ナリエも腰を落とす。


「ひゃあああああ」


四つん這いで逃げようとするヴァユーとナリエ。


「おいおい、逃げるなら術ぐらい解いていかんかい」


ビシッ!


リヴァイアサンはヴァユーを指で弾いた。


「ふひゃあああああああ」


弾き飛ばされるヴァユー。


その衝撃でルアの闇蔦の魔法が解かれ、闇魔法は消えた。


「お主はどうする?」


リヴァイアサンは残ったナリエを睨む。


「きゃああああああああ!助けてえええええ!」


ナリエは駆け足で逃げ出した。

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