第141話 勇者バージャス2

「はぁ、怖かった……」


早足でギルドを出た後、駆け足でギルドから離れてアカリフォルニの街を出た人魚のルア。


「あの人なんだろう、クロドさん。勇者って何?」


ルアの後ろを警戒しながらついて来たブラックドッグのクロド。


「魔王を倒す為に認定された職業だワン」


「ふ~ん、魔王ってなに?」


「魔族の王だワン」


「魔族って……?」


何時までも続く質問に丁寧に答えるクロドであったが、質問しているルアは分からない単語が多過ぎて、初めの勇者すら既に忘れていくのであった。


(やれやれ、まあそのうち分かる様になるだろうワン)


と気にしないクロドでだった。


その時、クロドは鼻をヒクヒクさせた。


「む、勇者が来たワン」


「くっくっく、こんな所にはいたのかい。探したよ人魚のルア」


勇者バージャスが現れた。


「な、なんでここにいるって分かったの?」


「ほほほ、私の魔力探知から逃げ果せる事は出来ないわ」


魔女ヴァユーがルアとクロドの後ろに出現した。


「くくく、俺から逃げる事は出来ないよ! さあ、モンスター2匹を倒して、水竜の杖を手に入れるぞ」


勇者バージャスが聖剣を抜いた。


「モンスターが人の街を彷徨くなんて、見逃す事は出来ません」


聖女ナリエはバージャスの後ろで杖を構えていた。


ルアも水竜の杖を構えて魔女ヴァユーと対峙し、クロドは勇者バージャスを睨む。


魔女ヴァユーがルアに魔法の杖の先端を向けて詠唱する。


「風よ、鋭利な刃となって、敵を切り刻め 『風刃』」


ルアは無詠唱で水竜の杖から水流を放った。


ヴァユーの風刃が水流に埋もれ、水流はそのままヴァユーを襲う。


「ちっ、無詠唱か厄介な」


ヴァユーは魔道具の指輪に魔力を流すと、障壁を張り水流を防いだ。


しかし、足元に水流が流れてくるのを嫌い、ヴァユーは空中に浮遊する。


「重力のくびきからこの身を解き放て。『浮遊』」


そしてルアの足元に目掛けて杖を詠唱した。


「闇よ 蔦となって、敵を拘束せよ 『闇蔦』」


ルアの足下が黒く変わり闇が蔦の様にルアの足下から生えて来た。


闇の蔦に絡めとられるルア。


一方バージャスとクロドは……。


バージャスの聖剣を余裕で躱すクロド。


「ちっ、只のブラックドッグじゃねえのか」


クロドはバージャスの聖剣を躱しながら、隙をみて爪でバージャスに攻撃する。それを躱そうとするが、躱しきれず傷付いていく。


しかし、聖女ナリエがバージャスの後方で自動回復の呪文を唱え、傷は見る間に治っている。


「くそっ、埒が明かねえな」


バージャスは飛び退き距離をとると、聖剣を振り翳し魔力を聖剣に集めた。


聖剣が輝き、光の刃が大きく伸びた。


「全力で行くぜ!!」


クロドは嫌な予感がして、後ろを見ると、ルアが闇の蔦に拘束されていた。


(拙いワン、躱すとルアに斬撃が当たってしまうワン)


バージャスはそれをみてニヤリと笑う。


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因みにジボーとズピー、勇者パーティーのフルネームは下記の通りです。


ジボー

ジボー・イジョー


ズピー

ズピー・トバーン


勇者バージャス

バージャス・ティンビー


魔女ヴァユー

ヴァユー・リャヴォルコ


聖女ナリエ

ナリエ・ナカーチ


※魔女と聖女は『t.〇.T.u.』のお二人をモデルにしています。


ご想像通りだったでしょうか?


皆さんデビュー当時の姿を思い浮かべながらキャラと重ねていただけると楽しいかと……。

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