第124話 解体の神トンエリ

その後、ナマドンさんに案内されて、解体所に行った。


「おう、俺は解体所のトンエリ・ツククラプだ。トンエリと呼んでくれ」


身長177cmの長身で眼鏡を掛けた老人だ。


「トンエリさんは解体の神と言われる、解体の達人なのよ」


「ふっ、俺の事はいい、今日はなんの用だ?」


ナマドンさんが人魚のルアに小声で。


「トンエリさんは、高速の解体技術が、余りにも速過ぎて逆にゆっくり見える事から、『スローハンド』とも言われてるわ。卓越した技術で正確且つ素早い解体は神の名に相応しいの」


そんな言葉を聞きながら。


「あ、俺はAランク冒険者のユウマです。素材の解体と買取をしていただく為に来ましたが、量が多いので直接解体所に提出するように、ナマドンさんに言われて来ました」


「成る程、分かった、こっちに来な」


トンエリさんに倉庫に案内されて付いて行く。


「ここに出してくれ」


俺はトンエリさんに言われて、広い空間に倒したモンスターを亜空間から出していく。


マーマン、ケルピー、ヒッポカンポス、シービショップ、巨大なマーマンであるグラウコスを出す。


「おい、まだあんのか?」


「はい、まだまだあります」


と言いながら巨大亀のアスピドケロン、ケートス、レモラの死骸を出す。


「こんなに、ここには置けないよぉ。って他の解体所では言われるだろうが、俺は大丈夫だ全部出して良いぞ」


と言って、トンエリさんはアイテムバッグに大きい死骸のグラウコスとアスピドケロンをしまった。


クラーケン、スキュラを出す。


「ほう、クラーケンとスキュラか、珍しいなぁ、これで終わりか?」


トンエリさんはアイテムバッグに死骸を収納していく。相当大きい容量のアイテムバッグを持っている様だ。


「最後はこいつです」


数頭のシーサーペントの死骸を展開した。


「おお! シーサーペントじゃねえか、こいつは美味いぜ……。そうか『海の洞窟』を攻略した冒険者はユウマか」


「はい、俺が攻略しました」


「良し、攻略祝いに色つけてやる。全部買取でいいのか?」


「はい、買取でお願いします」


「おう、しかし綺麗な死骸だ傷一つねえ。方法は聞かねえが、買取額は高いぜ」


「有難うございます。あっ、何だか攻略祝いの宴会をすると聞きました。シーサーペントが美味いなら1匹宴会に提供します。解体料は買取額から差し引いてください」


「おう、そうか。それじゃそのシーサーペントの解体は攻略祝いに無料でやってやる」


トンエリは1匹だけ、シーサーペントの死骸を残すと他はアイテムバッグに収納し、アイテムバッグから金貨を出して、金貨袋に入れて俺に差し出す。


そして、腰から解体用のナイフを抜くと、素早く解体を始めた。


そのトンエリのリズムよく解体をしていく姿に見惚れるユウマ。

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